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川上弘美『夜の公園』

2007-01-02 16:26:21 | ノンジャンル
 昨年に引き続き、朝日新聞の特集記事「2006年 この一冊」における松田筑摩書房編集員とタレントの真鍋かをりさんとの対談で言及されていた川上弘美さんの「夜の公園」を紹介します。
 幸夫とリリ35才は夫婦ですが、幸夫はリリの親友で女子高教師の春名と愛人関係で、リリはショッピングセンターで出会い、肉体を鍛えることに熱心で夜中に公園の周りを自転車で疾走する、宅配のバイトの暁と愛人関係です。春名は遠藤とも肉体関係を持っていましたが、しばらく会わない内に遠藤は結婚してしまい、暁の兄である会社員の悟とも愛人関係にあり、ある日、悟から求婚されます。リリは暁の子供を妊娠し、それを機会に暁とも幸夫とも別れる決意をします。
 というふうに、非常に限られた登場人物の中で、どうどうめぐり的な人間関係が描かれ、読んでいて閉息感に捕われます。
 また、理解に苦しむ文章も多々あり、たとえば、「わたし、あんまりさみしくなくて、それがさみしいな。」(p.30)とか、「暁の言葉の意味がわからなかった。暁の言葉の意味は、よくわかった。けれどやはりその意味は、ぜんぜんわからなかった。」(p.116)などです。
 対談の中で松田さんは「不倫の話なのに、全然ドロドロしてない」ということは、言葉を変えれば気軽に異性と寝る人間ばかり出て来るということです。「言葉がホンワリとしてあったかい」というのも同意しかねるところです。また真鍋さんの「女性作家の作品って、温かみがあって、気分がやすらげる感じがします」の発言は、三崎亜記さんの存在を無視しています。(三崎さんって、もしかして男?)対談で字数が限られてることもあると思いますが、この対談の真鍋さんは断定が多く、この発言も「感じがする傾向があります」とか「感じがするものが多い」とか言えば、私みたいな人間にいちいち文句を言われなくてすむのになあ、と思いました。
 川上弘美さん、多作の方らしいですが、もし推薦する本がありましたら、ぜひ教えて下さい。