フランスの『シンドラー』

　今日の朝日新聞の朝刊に、興味深い記事が載っていました。
　第二次世界大戦中にフランスにいたユダヤ人の命を救った市民2725人の名誉をたたえる国家式典が、18日に国の英雄をまつるパリのパンテオンで開かれたのだそうです。
　無宗教墓所パンテオンで開かれた式典には、シラク大統領のほか、ユダヤ人生存者や、彼らをかくまうなどした市民の家族ら約250人が参加しました。地下の納骨堂に記念碑が埋め込まれました。名誉をたたえられたのは、危険を冒してユダヤ人を救ったとして、イスラエルのユダヤ人大量虐殺記念館から「諸国民の中の正義の人」の称号を受けた人のうちのフランス人2725人です。この称号は、映画になったドイツ人実業家オスカー・シンドラー氏や日本の外交官、杉原千畝氏（ともに故人）にも授与されたそうです。
　こうしたことを国家が行うというのが、面白いと思いました。日本では考えられないことです。
　また、この新聞記事には、名誉を与えられた人たちの写真が多く飾られ、それを参加者たちが見守るという印象的な写真も添えられていました。
　このことで考えた事は、イラクで拘束され、日本に帰ってきた時に「自己責任」の名のもとにバッシングされた高遠さんら３人のボランティアの人たちのことです。今回フランスで称えられた人たちは「自分の命の危険を顧みず、人の命を守った」人たちですよね。これは高遠さんたちにもあてはまる言葉だと思います。なのにバッシングを受けたのはどうしてなのか？　バッシングをした人たちは「人に迷惑をかけて、自分の好き勝手なことをやって」という論理で攻撃したのだと記憶しています。人の命を救うために、人に迷惑をかけてはいけないのでしょうか？　人の命を救うために棄権地帯に向かうことが、「自分の好き勝手なことをやって」という言葉で非難できるのでしょうか？
　私は今改めて、あの３人の日本人の名誉回復をすべきだと思いました。