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佐藤多佳子『一瞬の風になれ』

2007-01-14 16:02:01 | ノンジャンル
 今年に入ってから「コンバット」の放送時間が変わりました。NHK・BS2で毎週土曜日深夜0時30分から1時15分までです。ちなみに今週の回は、あのおちゃらけ者のカービーが逃亡罪で軍法会議にかけられ、死刑を求刑される、という変わり種でした。もちろんサンダース軍曹の活躍で死刑は免れるのですが‥‥。

 さて、このところ続いている、朝日新聞の特集記事「2006年 この一冊」の対談に出てきていた本の紹介。今日は佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」です。
 Jリーグにもスカウトされている優秀なサッカー選手を兄に持つ主人公は、中学ではサッカーをしますが、走るのは速いがボール扱いが上達せず、高校進学とともに陸上部に入ります。彼にはめちゃくちゃ足の速い連という友人がいて、彼も同じ高校に進学し、陸上部に入りますが、根がちゃらんぽらんなヤツなので、周りから反感を抱かれることもしばしばです。3年が卒業してから、主人公と連は先輩二人と400mリレーの選手に選ばれ、陸上では無名の彼らの学校の、陸上の有力校との戦いが簡潔な文体でいきいきと描かれて行きます。
 この小説のすばらしいところは、見事に体育会系の小説になっているというところ。先輩たちのすがすがしい姿、監督の人間味あふれる存在、そして走ることの楽しさが、無駄のない文章で語られていきます。台詞も自然で、今風の若者がいかにもいいそうな言葉のやりとりが楽しく、読んでいて元気をもらいました。佐藤多佳子さんは、この特集記事をきっかけに知った天童荒太さん、宮崎誉子さん、デイヴィッド・ソズノウスキさんに次いで、4人目のお気に入りの作家になりました。
 まだこの小説を読んでない方、読まないと後悔するかもしれない、そんな小説です。