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西條奈加『金春屋ゴメス』

2007-01-09 18:17:00 | ノンジャンル
 昨日から始まったスカパー708チャンネルでの「日本侠客伝」シリーズ。2作を見て感じたのは、「次郎長三国志」シリーズとの共通点でした。ワイプによるシーン転換、次郎長シリーズでも歌われていた歌、男女のからみなど、次郎長シリーズを見ているような気がした部分がありました。また、2作目「浪花篇」では、鶴田浩二が刑務所に入ってる間に、その恋人で女郎に身を落とした南田洋子を無理矢理自分の女にした鶴田の親分大友柳太郎が、人足の長門裕之と相思相愛の女郎・八千草薫を無理矢理身受けしようとした弟子とともに、長門裕之をかばおうとした南田洋子二人とも殺してしまうことが、鶴田浩二と長門の兄貴分・高倉健を怒らせ、大友一家を皆殺しにするという話で、最後の斬り込みの理由というのが、愛する者を殺されたということだったのが、驚きでした。

 さて、今日は朝日新聞の特集記事「2006年 この一冊」の中で有隣堂ランドマーク・プラザ店の店員さんがファンタジー系の小説として推奨していた西條奈加さんの「金春屋ゴメス」を紹介します。
 現代の北関東近辺に新たに出来た江戸という自治領。辰次郎と松吉と奈美は何百倍という競争率の中、江戸への入国を許されます。辰次郎は表は飯屋の金春(こんばる)屋、その裏で働く長崎奉行のゴメスという怪奇な姿の巨人の使い走りをさせられることになります。やがて自分が生まれた村へ連れて行かれ、昔の記憶を呼び戻すよう、強制されます。そしてその理由というのが、当時かかったら助からない奇病が頻発し、その病気にかかって助かったのが自分だけで、自分の記憶から病気が治った原因のヒントを得ようとしているのだということが分かります。そして、やがて、それが江戸を去る船に乗る前に飲まされた砂糖水のようなもので、それを飲ませた者が誰かも、自分の生まれた村を再訪することで分かり、江戸に隠れていた病原体をばらまいていた一味を捕まえます。
 現代の中に江戸がある、というシチュエーションから何が出て来るのかと思っていたら、主人公が江戸に入ったら、それからの話はすべて江戸の中での話で、つまるところ時代小説。時代小説は説明文が長く、登場人物が多いので私は苦手です。しかも病気を広めた犯人捜しという、これまた私の苦手なミステリー。文体は読みやすく、それなりに楽しめましたが、積極的に人に勧めるところまでは行きませんでした。こういうジャンルがお好きな方にはどうぞ、といった感じです。