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デボラ・ブラム『幽霊を捕まえようとした科学者たち』

2014-02-23 12:23:00 | ノンジャンル
 スタンリー・キューブリック監督・製作・共同脚本の'64年作品『博士の異常な愛情 又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』を再見ました。ピーター・セラーズがアメリカ大統領とイギリス士官とストレンジラブ博士の3役を演じていて、“ショット”の繋がりがストーリーをスムーズに語る心地よさを感じました。

 さて、河野多惠子さんがはまったというデボラ・ブラムの'06年作品『幽霊を捕まえようとした科学者たち』を読みました。
 目次を引用させていただくと、
「前奏曲 ~タイタス事件~」(私はここにいる――失踪した少女から届いたメッセージは本物だった。しかし彼女の命はすでにない。幽霊の存在を科学的に証明しようとしたゴーストハンターたちが調査に乗り出す。)、「1 ポルターガイストと幽霊屋敷」(クロウの幽霊譚が出版され、フォックス姉妹の最初の超常現象を体験した1848年以降、欧米で心霊ブームが巻き起こる。いんちき霊媒も登場、それを暴く科学者たちととの闘いが始まる。)、「2 『科学 VS 宗教』の時代」(伝統的な世界観を覆した進化論。その生みの親ダーウィンとウォレスはその後、袂を分かつ。魂の問題は進化論では説明できないとしたウォレスは、やがて心霊研究にのめりこんでいく。)、「3 ケンブリッジの三人組」(1882年、ケンブリッジ大学のシジウィック、マイヤーズ、ガーニーはいまだ解明されない心霊現象を研究するために心霊研究協会(SPR)を設立。著明な科学者が多数参加した。)、「4 サイコメトリー」(イギリスで始まった心霊研究運動は大西洋をわたり、アメリカ心霊研究協会が結成される。その中心人物ジェイムズは偶然、霊の声を聞き、物の記憶を読みとる霊媒パイパー夫人と出会う。)、「5 死の間際のメッセージ」(遠く離れた家族や友人の死の瞬間を垣間見る。偶然では片付けられないほど頻繁に現れるこの現象は、テレパシーの証拠なのか。SPRの研究成果をまとめた『生者の幻像』が刊行される。)、「6 幻覚統計調査」(盟友ガーニーを突然の死で失ったSPR。だが後のノーベル賞受賞者リシェの参入で勢いを取戻す。1889年、パリの国際会議で研究結果を発表、大規模な幻覚統計調査の実施が決まる。)、「7 テレパシーか、霊との交信か」(霊媒は周囲の人間の思考を読みとるのか、それとも霊界からのメッセージを受けとるのか。イギリスを訪れたパイパー夫人の調査に、生まれたばかりの無線通信の研究者、ロッジが挑む。)、「8 エクトプラズム」(隙あらばいんちきに走る物理霊媒エウサピア。だが、彼女にはそこにない物を現出させたり、物体を動かしたりする不思議な力があった。研究者の評価も二分する問題霊媒、ここに現る。)、「9 よみがえった霊」(パイパー夫人の交霊会に、ホジソンの亡き友G・Pを名乗る人格が現れた。続々と集まる死者との交信の記録。覆したい証拠を前に、SPR随一の懐疑論者がついに霊の存在を確信する。)、「10 死の予言」(自殺したアニーをひそかに想い続けたマイヤーズ。彼はトンプソン夫人の予言どおりこの世を去る。先に癌で逝ったシジウィックも含め、創立者を失ったSPRは壊滅的な打撃を受けた。)、「11 交差通信」(職業霊媒の嘘を暴き続けた心霊研究の第一人者ホジソンが急死する。だが、彼の霊はパイパー夫人の交霊会へ戻ってきた。4人の霊媒を巻き込んだ交差通信。霊の存在がついに明らかに。)、「12 終わりなき探求」(ロッジが交差通信の結果を発表、長年の論争に決着がつくかと思われたが、問題霊媒エウサピアがすべてを台無しに。結論を見ないまま、ウィリアム・ジェイムズが最期の瞬間を迎える。)
 私は「前奏曲 ~タイタス事件~」と「1 ボルターガイストと幽霊屋敷」の部分だけ読ませていただきましたが、具体的なエピソードが出てくるのはいいものの、それがあまりに膨大な数なので読むのが苦痛になるほどでした。それに加え、科学と宗教と神秘体験の論争になると、まったく興味を失ってしまいました。目次を見て、面白そうなところだけ先に読むというのも手かもしれません。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/