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斎藤美奈子さんのコラム・その85&前川喜平さんのコラム・その46

2021-06-06 16:30:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず6月2日に掲載された「とんだお荷物」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「東京ほかの緊急事態が二度目の延長期間に突入し、東京五輪をめぐる状況はいよいよ「開催に固執する主催者側VS延期を求める民意」の様相を呈しはじめた。
 「ワクチンという新しい武器で対策を講じれば(開催は)十分可能」と豪語する菅首相。「開催に向けた総仕上げを確実に行う」と語る小池東京都知事。問題はしかし、開催可能かどうかじゃないのよね。コロナ下で開催される五輪は、すべての人に多大な負担を強いるってことなのだ。
 ただでさえ逼迫(ひっぱく)している医療現場にとって、世界中から何万人もの選手や関係者が流入する五輪は新たな感染リスクを増やす要因でしかなく、市民にも当然影響は及ぶ。
 ワクチン接種や感染拡大対策で手いっぱいの自治体にとっても、五輪はもうお荷物に近いんじゃないか。聖火リレーで頭を悩まし、事前合宿や行事には厳しいルールが課せられ、半面、市民との交流は望めない。インバウンド観光が夢と消えた以上、旅行業や飲食業や小売業が劇的に回復するとも思えない。
 仮に五輪のメリットがあるとすれば、五輪をダシにワクチン接種が急ピッチに進むくらいだが、それだって七月の開催時期までに間に合うという保証はない。
 IOCの支配下で大きなお荷物を背負わされてしまった日本。五輪とともに沈没するのだけはやめて!」

 また、5月30日に掲載された「買収目的交付罪」と題された前川さんのコラム。
「2019年参院選の買収事件で昨年6月に河井克行・案里夫妻が逮捕されたときから、その買収の原資は党本部から支給された1億5千万円なのではないか、その支出には安倍前首相が関与しているのではないかと疑われてきた。
 県連の反対を押し切って案里被告を公認したのは安倍総裁の意向だ。案里被告の選挙には安倍事務所の秘書たちが投入され、買収の対象になった地方議員らを回っていた。案里被告の後援会長は、克行被告から白封筒に入った現金三十万円を渡された際「安倍さんから」と言われたという。
 5月17日、自民党の二階幹事長はこの資金支出に「私は関与していない」と言った。彼は克行被告の議員辞職についても「他山の石」と他人事(ひとごと)のように評していた。
 二階氏は24日の会見では「党全体を統括しているのは総裁と幹事長だ。組織上の責任は我々にある」と言った。つまり「俺は責任はあるが関与はしていない」というのが二階氏の言い分だ。だとすると、責任ある関与をしたのは総裁すなわち安倍氏だということになる。「捕まえるのは、俺じゃない。あいつだ」と二階氏は特捜に発信しているのだろう。
 事件はもう詰んでいる。買収目的交付罪に問われるべきは安倍晋三氏だ。あとは検察庁が動くか、動かないか、いつ動くかである。」

 そして、6月6日に掲載された「人種差別をなくす実験授業」と題された前川さんのコラム。
「四日午後十一時からEテレで放送された「人種差別をなくす実験授業」は極めて興味深かった。ロンドンの学校で行った「無意識の人種的偏見」をなくす授業。生徒は十一歳で、半分が白人、半分が非白人だ。
 差別主義者ではないと自任する者も実際には無意識に差別的な行動をとる。「カラー・ブラインドネス」(人種の違いに目をつぶる態度)では差別を解消できない。この授業の問題意識だ。
 まず生徒たちは、肯定的な単語と否定的な単語を白人と黒人に振り分けるテストをする。多くの生徒が無意識に白人を好む意向をもつと知りショックを受ける生徒たち。
 次に白人と非白人に分かれて話し合う。活発な非白人グループと沈滞する白人グループ。さらに境遇によりスタート地点が異なる徒競走で、白人の社会的優位を可視化する。アジア系は黒人と一括(ひとくく)りはおかしいと、別のグループになる。その後生徒たちは、人種の違いを明確に意識しつつ互いの思いを伝え合う。
 三週間後、もう一度初会と同じテストをする。結果は、無意識の偏見が大きく減少し、ほとんど中立的になっていた。歓声を上げて喜ぶ生徒たち。感動的な場面だ。
 「学校には共生社会を実現する使命がある」と明言する校長。日本の学校でもこの授業をやったらいい。ついでに自民党でもやったらいい。」

 どの文章も一読の価値がある文章だと思いました。