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鈴木清順監督『ハイティーンやくざ』その1

2021-06-28 05:49:00 | ノンジャンル
 DVDで、鈴木清順監督の1962年作品『ハイティーンやくざ』を観ました。白黒映画です。

 ブルドーザーや疾走するダンプをバックにタイトル。
 母、息子の次郎(川地民夫)に「ガツガツ食べるんじゃありません」次郎の姉・初子「どうしたの?」「姉さん、俺の靴、知らない?」「知らないわ」。母に左官「初めての喫茶店にしてはいい設計だ」「何です? この“チモトコーヒー”ってのは?」「素人がコーヒー店を始める時、営業から店の設計までしてくれる便利な会社だ」。次郎「あった、あった。昨日の雨で濡れたのを乾かしてあったんだ。行ってきます」。母「出て行くまで何かしらこうなの」左官「どこも同じだよ」母「学校から帰ったらピラ貼りよ」次郎「そんな暇ないよ。そんなことして大学落ちたら後悔するぜ」左官「次郎ちゃん、暇がないのに、うちの芳夫とよくアルバイトしてるな。わかってんだぞ」「うちの手伝いをしても一銭にもならない。おじさん、金で人が動くってよく知ってるじゃないか。あっ、よっちゃん、もう行ったかな?」左官「寄ってみな。次郎ちゃんと同じように靴を探してるかも」。
 自転車に乗った次郎「よっちゃん、新しいアルバイト、どうする? なかなかいいとこ見つからねえんだよ。ちぇ、明日で競輪もおしまいだぜ」「補習はどうするんだよ」(中略)「いいよ。俺一人で探すから」。(中略)
「恵子、恵子、帰りに母さんが買い物して来いって」。紙片を渡される恵子(松尾嘉代)「オッケー」。
 競輪場。次郎「8400円もついたぞ!」。
 町民「ああ、町も大きくなるな」。疾走するダンプカーの列。
“中華そば 珍来軒”の暖簾。店主(佐野浅夫)「5枚で4万円か。いいとこだなあ」次郎「親爺さん、そば屋より予想屋やった方がいいんじゃない? 猛烈に勘がいいんだからさ」「おだてんな。ハハハハ。特別手当だ」「どうも。ごっつぁんです。実はねえ、俺たちも1枚ずつ買ったんです」「買ったのかね。それじゃ、こっちが配当をもらうところだ。ハハハハ。(客に)毎度あり。お勘定は?」、やくざの男、金を払わずに店を出ようとする。店主の娘・和子(田代みどり)「食い逃げよ」男「関係ねえ。ごっそり儲けたんだろ?」店主「おい、なめんなよ」「何を? 店をガタガタにしてもらいたいのか?」。男、去る。店主「まったく困ったもんだよ。あんなのが増えて」和子「次郎ちゃんよ。次郎ちゃん! 銀座通りにシャネルって店できたの知ってる?」「シャネル?」「いかーす店よ。行かない?(中略)今日はたんまり稼いだんでしょ? 私、買い物があるのよ」「ちぇ」。ウクレレを弾き出し、歌う次郎。店主「うちはジャズクラブじゃねえんだ」。「こんちは」。次々に入ってきては踊る若者たち。店は満員に。店主「いい加減にやめねえか!」。
 電気店。次郎、店主に「何とかお願いしますよ。月賦で払います。ていっても月4000円。いくらバイトで稼ぐっていっても」店主「まだすねかじりでしょ? うちの人の保証がないとね」「おふくろと姉さんをびっくりさせてやりたいんですよ。だからうちの人の保証人にしたくないんだ。(中略)(店員に)おい、クーラーと冷蔵庫、友川さんに」和子「豚を飼ってる家よ」次郎「何が豚だ。ブー。な?」。笑う和子。
 堤防の上。芳夫「よう、あのステレオほしいなあ」次郎「そのうち競輪で儲けるさ」。「イヤッホウ」バイクに乗ったヤクザ、ハンカチを手で回し、縄投げの真似をする。「金貸してくんないか?」「姉さんを紹介するんならな」。次郎、男の首根っこをつかみ、パンチ。「何だい?」。食い逃げ男が口髭を取り、帽子に土を入れて、男に加勢。次郎「この野郎!」。
 子供を抱え、妻を従えている男「何? 1万円? そんな大金になるアルバイト、あるのかね?」次郎「競輪をやったんです。でも車券は人に頼まれて買ったんです」「しかし君たちが買ったのは確かなんだろうな? 大体君、高校生のくせに車券を買うなんて、とんでもないことだ。襲った奴は、お前たちの仲間なんじゃないのか?」「仲間?」「分け前のことから喧嘩でもしたんだろう。そうだろ? うん?」次郎「よっちゃん、行こう」。
 次郎の姉の初子「でも何となく寂しいわ。銀行を辞めて」初子の許嫁「サラリーマンより、よっぽどいいよ」「毎日寄ってくれる?」「毎日?」「当たり前でしょ」「照れるな」「照れる?」「アハハハハ」。
 母「4つ、5つの子じゃあるまいし」次郎「うるさい。自転車で転んだんだよう」「うっかり物も預けられないね。お前には」初子「ただいま」母「お帰り」「どうしたの?」母「ケンカでもしたんだろう。きっと。競輪場のアルバイトなんかするんじゃないよ」「アルバイトしてんの? 次郎ちゃん。大学大丈夫?」「けっ、鬼が笑わあ」。次郎、二階へ。初子「はい、これしかないの。退職金」母「これで助かるわ」。

(明日へ続きます……)