後半
正されるべき日本経済の病理はどこにあるのか――日本共産党の提案
みなさん。それでは本当に正されるべき日本経済の病理はどこにあるでしょうか。
大企業のもうけがいったいどこにまわっているのか、この1年間の動きについて調べてみました。2013年度の決算を集計してみますと、上位500 社で見て、利益は1年間で12兆円から22兆円へと2倍近くに急増しています。この利益がどこにまわったか。1人あたりの役員報酬は11%増と大幅アップ しています。株主への配当金総額は20%増と大幅アップしています。ところが正社員に払われた給与総額はわずか1%しか増えていません。その一方で、 500社の大企業の内部留保は、1年間で20兆円も増えました。
大企業の利益が増えても、そのお金は、株主への配当、役員報酬の引き上げ、そして内部留保に積まれてしまい、労働者の賃金には少しもまわらない。ここにこそ、メスを入れるべき日本経済の一番の病理があるということを私は訴えたいと思います。(拍手)
そういう診断が明瞭になれば、処方箋もおのずから明らかになるのではないでしょうか。私は、この日本経済の病理を正し、日本経済を再生させるために、二つの改革を提唱したいと思います。
第一は、税金は負担能力に応じてという「応能負担」の原則に立った税制改革を進めることであります。
トヨタ自動車が、2008年度から12年度までの5年間、法人税ゼロだったということが話題になりましたが、大企業の法人税負担率はさまざまな優 遇税制のおかげでたいへんに低いのです。500社の集計をやってみますと、法人税負担率はわずか24%にすぎません。政府・財界は、口を開けば、日本の法 人税実効税率は35%で諸外国に比べて高いから、「20%台をめざす」といいますが、実際はもう少しで20%台を割り込むところまで税負担率は下がってい るのです。
みなさん。増税するなら、巨額の株の配当などで潤っている富裕層、そして巨額の利益をあげている大企業への優遇税制をただし、もうけ相応の税金を払ってもらおうではありませんか。(拍手)
第二は、大企業の内部留保を、日本経済に還流させ、国民の所得を増やす経済改革に取り組むことです。
日本共産党は、これまで、大企業の内部留保の1%を取り崩すだけで、「月1万円以上」の賃上げが可能だと主張してきました。しかし、いまや多くの 大企業は賃上げのために内部留保を取り崩す必要すらありません。この1年間で増えた内部留保――20兆円の一部を使うだけでも、大幅賃上げは可能になりま す。全労連は、消費税増税による「賃下げ効果」も考慮し、「月1万6000円以上」の賃上げを要求していますが、これは、この1年間で増えた内部留保のわ ずか2割程度を使えば実現します。
みなさん。大企業の巨額の内部留保を活用して、すべての労働者の大幅賃上げを実現しようではありませんか。(拍手)
労働者派遣法を抜本改正して、「雇用は正社員が当たり前の社会」をご一緒につくろうではありませんか。(拍手)
「過労死」を生む長時間・過密労働を是正して、安定した雇用を増やそうではありませんか。(拍手)
中小企業への手当てをしっかり行いながら最低賃金を時給千円以上に引き上げ、この日本から「働く貧困層」をなくしていこうではありませんか。(拍手)
若者を使いつぶす「ブラック企業」を厳しく規制しましょう。(拍手)
中小企業と大企業の公正な取引のルールをつくり、適正な単価を実現させようではありませんか。(拍手)
ここにこそ、国民の暮らし第一で日本経済再生をはかる大道があります。
私は、日本共産党が示す改革こそ、日本経済の病理を正し、未来に責任を負う唯一の方策であると確信するものであります。(拍手)
みなさん。その実現のためにともにたたかおうではありませんか。(大きな拍手)
原発再稼働を許さず、「原発ゼロの日本」への道を開こう
被災地切り捨て政治は許せない――「オール福島」の声に連帯してたたかう
つぎに原発の問題についてお話ししたいと思います。
安倍政権は、原発を永久に使い続ける「エネルギー基本計画」を決定し、原発再稼働への暴走を行っています。まず私が強調したいのは、この暴走が、被災地・福島の願いに真っ向から背くものだということであります。
東日本大震災と原発事故から3年4カ月。いまだに13万人もの県民のみなさんが先の見えない避難生活を余儀なくされておられます。福島県の調査に よりますと、県内外に避難されている家族の49%が2カ所以上に離れ離れになって暮らさなければならなくなっています。避難後心身の不調を訴えるように なった人がいる世帯は68%に達しています。「震災関連死」は1700人を超えて増え続けています。
にもかかわらず安倍政権の姿勢はどうでしょうか。原発再稼働や輸出に向けた環境づくりのために、収束も、賠償も、除染も「終わったことにしよう」――これがその姿勢ではありませんか。
福島原発では汚染水問題がますます深刻になっています。地下水をくみ上げて海に放出する地下水バイパスを行っていますが、くみ上げ用井戸1カ所で 放射性トリチウムの上昇が続き、基準値を上回りました。ところが東電は、汚染地下水を他の地下水と混ぜて、基準値を下回ったとして、海への放出を続けてい ます。「薄めれば捨ててよい」ということが許されるなら、およそ海への放射能汚染水の放出は天下御免になります。こんな無責任な姿勢を許すわけにはまいり ません。(「そうだ」の声、拍手)
避難指示を解除し、住民が戻ろうが戻るまいが、1年後に避難にかかわる賠償を打ち切るという避難者切り捨て政策が始まっています。除染について も、従来の目標である「年間追加線量1ミリシーベルト以下」を引き上げて、事実上「除染は終わり」という状況を広げようとしています。
そして石原伸晃環境大臣の「最後は金目でしょ」の発言です。地元紙「福島民報」は、「『金など要らない。古里を返せ(拍手)、元の暮らしを返せ』 この心の叫びが国には聞こえないのか」と厳しく批判しました。この発言は単なる「失言」ではなく、安倍政権の被災地切り捨て政策の本性が露呈したものとし て、断じて許すわけにはいきません。(大きな拍手)
「収束宣言を撤回し、住み続けられる福島に戻せ」「福島原発の全基廃炉を決断せよ」「徹底した除染と完全賠償を行え」――日本共産党は、「オール福島」のこの声に固く連帯し、福島復興のために最後まで力をつくす決意を表明するものです。(大きな拍手)
原発再稼働差し止めの福井地裁判決の歴史的意義
原発再稼働に突き進む安倍政権に痛打を与える画期的な出来事が起こりました。5月21日、福井地裁は、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め を命じる歴史的判決を下しました(拍手)。私は、判決文を、何度も読みましたが、福島原発事故から真摯(しんし)に教訓を引き出し、誰もが納得できる、簡 単には覆すことのできない太い論理に貫かれています。私は、とくに四つの点に深い感動を覚えました。
第一は、この判決が、憲法で保障された「人格権」を最優先していることです。
判決では、「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益」の全体を「人格権」とよび、人格権は憲法上の権利であって、日本の法律のもとでは「こ れを超える価値を他に見出(いだ)すことはできない」と宣言しています。「人格権はもっとも尊い権利なのだ」と天下に宣言したのです。そして原発の運転に よって、この「根源的な権利が極めて広汎に奪われる」という事態を招く「具体的危険性が万が一でもあれば、その差し止めが認められるのは当然である」とし て、運転差し止めを命じたのであります。(拍手)
ひらたく言いますと、“国民の命と暮らしを守ること以上に大切なことはない”という当たり前の大原則にたって、原発再稼働ストップの判定を下したのであります。(拍手)
第二は、この判決が、原発の他の技術とは異なる「本質的な危険性」を繰り返し強調していることです。
判決は、「原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる」と指摘し、次のよ うに述べています。「原子力発電においては、…いったん発生した事故は時の経過に従って拡大して行くという性質を持つ。このことは、(他の技術とは)異な る原子力発電に内在する本質的な危険である」。他の技術の場合には、仮に大事故が起こっても時とともに収束に向かいます。ところが原発は違う。ひとたび大 事故が起こったら、時とともに事故の被害は拡大していきます。
日本共産党は、原発は他の技術にはない「異質の危険」を持っている、ひとたび大事故が起こったら、被害は空間的にも時間的にもとめどもなく広が る、だから人類と原発は共存できないと主張してきましたが、同じ論理が司法によって下されたことはたいへんに重要なことだと考えるものであります。(拍 手)
第三は、判決が、原発「安全神話」に対して厳しい断罪を下したということです。
関西電力は、訴訟の中で、基準地震動――想定される最大の地震の揺れ――を超える地震が到来することはまず考えられないと主張しました。それに対 して判決は、「全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの間に到来してい るという事実を重視すべき」だと一蹴し、つぎのように述べました。
「この地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満 たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫し た危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない」
原発「安全神話」に対して、司法による峻烈(しゅんれつ)な断罪が下されたのであります。(拍手)
第四に、判決は、国民の安全よりもコストを優先する考え方をきっぱりと退けました。一番最後の部分なのですが、判決のなかでも特に感動的な部分であります。判決は、こう述べています。
「被告(関電)は、原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利 と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている」 (拍手)
多数の人々の命と電気代の高い低いの問題は、次元を異にする問題であって、天秤(てんびん)にかけること自体、「法的には許されない」。素晴らしいですね。(「その通り」の声、拍手)
さらに判決は、日本の国の国富――国の富とは何かについて深い考察を示しました。
「このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ…原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出 や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であ ると当裁判所は考えている」(拍手)
くわえて判決は、地球温暖化対策を理由にした原発推進論に対して、次のように一刀両断の批判をくわえています。
「被告(関電)は、原子力発電所の稼働がCO2(二酸化炭素)排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深 刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子 力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである」(大きな拍手)
これらはみんな、私が言っているのではありませんよ(笑い)。司法の判断なのです。(拍手)
みなさん。この四つの判断は、大飯原発だけでなく、全国すべての原発にあてはまるものではないでしょうか。(拍手)
私は、安倍政権がこの判決を重く受け止めて、全国すべての原発の再稼働を断念することを強く求めるものであります。(大きな拍手)
それにしても、こうした事実と道理に立った理性的判決がなぜ生まれたか。根本には国民の世論と運動があると思います。
官邸前で、全国各地で、粘り強く続けられた「再稼働反対・原発ゼロ」の運動が、司法への不当な圧力をとりはらい、司法をよみがえらせた。司法が本 来の「法と正義」に基づく理性的判決を下すことを可能にしたのではないでしょうか(拍手)。その点ではこの判決は、国民のたたかいが勝ち取った判決ともい えるのではないでしょうか(拍手)。これをみんなの確信にして、国民のたたかいで「原発ゼロの日本」への道を開こうではありませんか。がんばりましょう。 (大きな拍手)
米軍新基地建設ストップ、基地のない平和な沖縄を
「銃剣とブルドーザー」による土地強奪の再現――この暴挙は許せない
つぎに沖縄の米軍基地問題について訴えたいと思います。
安倍政権は、7月1日、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行したその日に、もう一つの暴挙を開始しました。沖縄県名護市辺野古のキャンプ・ シュワブ内で、米軍新基地建設の工事に着工したのであります。政府は、7月中にも、埋め立て工事に向けた海底ボーリング調査を強行しようとしています。
地元紙はそろって、政府の動きを、60年前、「銃剣とブルドーザー」で住民を追い出し、家に火を放ってなぎ倒し、土地を強奪して基地を拡大した蛮 行とうり二つだと糾弾しました。県民の7割以上が反対し、稲嶺進名護市長も断固反対しているなかで、この声を一顧だにせず強行する姿勢は、およそ民主主義 国家とはいえません(拍手)。みなさん。ここでも「亡国の政治」がむき出しになっているではありませんか。(拍手)
この間、安倍政権は強圧をもって、沖縄県選出の自民党国会議員と自民党県連に「県外移設」の公約を裏切らせ、仲井真弘多知事を裏切らせ、新基地建 設を容認させました。しかし、裏切りは許せないとの声がわきおこり、「オール沖縄」はいよいよ結束を固めつつあります。新基地建設の現場では、海上デモ、 反対集会、座り込みなど、粘り強いたたかいが日夜進められています。
私は、言いたい。どんな強圧をもってしても沖縄県民を屈服させることは不可能だということを政府は思い知るべきであります。(「そうだ」の声、大きな拍手)
沖縄「建白書」こそ団結の要――保守・革新の枠組みをこえ島ぐるみのたたかいを
「オール沖縄」の団結の要となっているのは、オスプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖・撤去、県内移設断念を求める2013年1月の沖縄「建白書」で あります。沖縄の全41市町村長、議会議長、県議会と、主要な経済的、社会的団体の代表が直筆で署名し、連名で提出したこの歴史的文書にこそ、「オール沖 縄」の総意が込められています。一部の勢力が裏切り、脱落しても、「オール沖縄」のこの総意はみじんも揺らぐことはありません。反対に、これまでの保守・ 革新の枠組みを超えて、文字通りの島ぐるみのたたかいが力強く前進しています。
「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」が立ち上げられ、7月末には結成総会が予定されています。すでに「島ぐるみ会議」の呼 びかけに呼応して、日本共産党から自民党の那覇市議団まで、超党派で県議・市町村議130人が参加し、議員団会議が発足しています。県の経済界の中から も、「基地頼みでは沖縄の未来はない」「裏切りは許せない」と「建白書」実現をめざす動きが起こっています。
60年前の「銃剣とブルドーザー」による土地強奪の暴挙は、島ぐるみの本土復帰闘争を呼び起こしました。本土でも全国各地で沖縄の復帰闘争を支持 し連帯するたたかいがわきおこりました。それは乗り越えることが不可能にも見えた壁を乗り越え、本土復帰へと実を結んでいきました。今回の安倍政権によ る、県民の総意を踏みつけにした暴政もまた、島ぐるみのたたかいの巨大な発展を呼び起こさずにはおかないでありましょう。「沖縄は断じて屈しない」――沖 縄県民のこの決意に、全国が応えようではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
日本共産党は、名護市辺野古への新基地建設に断固反対するとともに、普天間基地の無条件撤去、基地のない平和な沖縄をめざして、最後までたたかいぬく決意を表明するものです。(拍手)
みなさん。11月に行われる沖縄県知事選挙は、県民を裏切って新基地建設を進める勢力と、「建白書」の実現をめざす「オール沖縄」の勢力とのたた かいとなるでしょう。この歴史的なたたかいに必ず勝利するために、全国のみなさんの支援を集中することを心からよびかけるものであります。(大きな拍手)
安倍政権打倒の国民的大運動をよびかける
みなさん。集団的自衛権、暮らしと経済、原発、米軍基地――四つの問題を見てきましたが、安倍政権がやっていることは、どの分野でも、日本の国を亡ぼし、日本国民を亡ぼす、文字通りの「亡国の政治」ではないでしょうか。
安倍政権は、歴代自民党政権のなかでも、戦後最悪の反動政権と言わなければなりません。(「そうだ」「その通り」の声、大きな拍手)
このような内閣は、1日続けば、その分だけ、日本と国民に災いをもたらすことになることは、もはや明らかではないでしょうか。(大きな拍手)
私は、心からよびかけたい。安倍政権打倒の国民的大運動を起こそうではありませんか。(歓声、長く続く大きな拍手)
日本共産党は、このたたかいの先頭に立つとともに、国政の緊急の四つの転換を強く求めてたたかいます。
第一は、「海外で戦争する国」づくりを中止し、憲法9条を生かした平和日本に転換することであります。(拍手)
第二は、暮らし破壊の「逆立ち」経済を正し、暮らし第一で日本経済を再生することであります。(拍手)
第三は、原発再稼働をストップし、「原発ゼロの日本」に転換することであります。(拍手)
第四は、米軍新基地建設をストップし、基地のない平和な沖縄を実現することであります。(拍手)
みなさん。それぞれの分野で、一致点にもとづく共闘――「一点共闘」を広げに広げ、それを安倍政権打倒の国民的大運動へと大合流させようではあり ませんか(大きな拍手)。みんなの力で安倍政権を打ち倒そうではありませんか。(「おう」「そうだ」の声、歓声、鳴りやまない大きな拍手)
未来に責任を負う党――日本共産党を強く大きく
綱領――未来への確かな羅針盤を持つ党
みなさん。日本共産党こそ、未来に責任を負う政党です。最後に私は、この党の特質を、三つの角度から訴えたいと思います。
第一は、日本共産党が、綱領という未来への確かな羅針盤を持っているということです。
私たちの綱領では、日本の政治のあらゆる問題の根源に、「アメリカいいなり」「財界中心」という二つの異常なゆがみがあることを明らかにし、この ゆがみをただし「国民こそ主人公」の新しい日本への改革の展望を指し示しています。私たちが、今日お話ししたように、外交でも、経済でも、安倍政権の暴走 に正面から対決するとともに、国民の立場にたった具体的で建設的な対案を示すことができる根本には、綱領の力があるということを強調したいと思うのであり ます。(拍手)
さらに私たちの綱領は、人類の歴史は資本主義で終わりでない、この矛盾に満ちた社会をのりこえて未来社会――社会主義・共産主義社会に進むという 展望を明らかにしています。その未来像の特質は、一言で言えば、人間の自由、人間の解放であります。私たちの党は、資本主義で世の中が終わりと思っている 政党とは違うんです。ましてや日々の目先の株価にしか(笑い)関心のない安倍政権とは違うんです(「そうだ」「違う」の声、拍手)。壮大な人類史的視野を もった政党が、日本共産党であります(拍手)。日本共産党という党名は、私たちのこの理想とかたく結びついた名前であり、これからも大切に使っていきたい ということを申し上げたいと思います。(拍手)
歴史――確かな歴史を持つ党でこそ、未来を拓く先頭に立てる
第二に、日本共産党は、ちょうど今日で党をつくって92年になりますが、確かな歴史を持つ党でこそ、未来を拓く先頭に立てるということを私は訴えたいと思います。
かつて日本が、戦争か平和かの歴史的岐路に立ったとき、政党の真価が厳しく試されました。1931年9月18日、日本軍国主義が中国侵略戦争を開始したとき、これに敢然と反対の旗を掲げて立ち向かった政党は、日本共産党だけでありました。(拍手)
今日ここに持ってまいりましたが、これは戦争が開始された翌日の9月19日、日本共産党が発表した声明です。次のようによびかけています。
「日本帝国主義の満蒙侵略を撃退せよ! 奉天並びに一切の占領地から、即時軍隊を撤退せよ! 中国満州に於ける日本軍隊軍艦の即時撤退! 一人の兵士も戦線に送るな!」。(拍手)
それから日本敗戦までの15年間、日本共産党は、多くの先輩たちを弾圧で失いながらも、反戦平和の旗を不屈に掲げ続けました。(拍手)
このとき、他の政党はどうだったか。日本共産党以外の各政党――自民党の前身の民政党や政友会、社会党の前身の社会民衆党は、積極的に侵略戦争を 支持しました。政友会は、議員総会で、「満州事変は在満同胞の保護と既得権益の擁護とを基調とする自衛権の発動」であり「断じて撤兵を許さず」と決議しま した。何やら安倍首相と同じようなセリフが(笑い)並んでいるではありませんか。これらの諸党は、太平洋戦争を前にして党を解散し、「大政翼賛会」に合流 して侵略戦争を推進しました。
どの党が日本の未来に真に責任を負う党だったか。すでに歴史の審判ははっきり下っているのではないでしょうか。(拍手)
みなさん。今再び、日本は、戦争か平和かの歴史的岐路に立っています。
「日本を取り戻す」という名で、歴史を偽造し、「戦前を取り戻そう」という勢力に決して負けるわけにはいきません。(「そうだ」の声、大きな拍手)
日本共産党は、92年の歴史で、反戦平和を一筋につらぬいた政党としての存在意義にかけて、「海外で戦争する国」づくりを許さないために全力をあげる決意を、党創立92周年のこの記念すべき日にあたって表明するものであります。(大きな拍手)
草の根――国民の力を一つに集め、歴史を動かし、未来を拓く力に
第三は、日本共産党が、草の根で国民と結びつき、国民とともに未来を拓く政党だということです。
日本共産党は、全国に2万の党支部、30万人を超える党員、2687人の地方議員をもち、草の根で国民としっかり結びついた自前の組織をもつ唯一 の政党です。結党以来、企業・団体献金を一円も受け取らず、政党助成金も一円も受け取らず(拍手)、財政も自前でまかなう唯一の政党が日本共産党でありま す。(拍手)
社会の進歩は、支配勢力と国民との客観的矛盾が深刻になるだけでは現実のものとはなりません。社会変革の主人公は国民です。主人公である国民のな かに「社会を変えよう」という多数派がつくられてこそ、それは現実のものとなります。一人ひとりの国民の力は小さくとも、それを一つに集めるならば、国を 動かし、歴史を動かし、未来を拓く力に必ずなっていきます。国民の力を一つに集め、社会を変える多数派をつくる仕事に、全国で草の根からコツコツと取り組 んでいる政党が日本共産党であります。国民とともに希望ある未来をつくる政党が日本共産党なのであります。(拍手)
日本共産党への入党を心からよびかけます
みなさん。日本共産党を大きくすることに、日本の未来はかかっています。実は、いま私たちは、「躍進月間」と申しまして、党創立92周年、いっせ い地方選挙勝利をめざして、党を強く大きくする運動に取り組んでいます。今日の私の話を聞いていただきまして、共産党もなかなかいいことをいうなと、共感 していただいた方は、今日お会いしたのも何かのご縁ですから(笑い)、この記念すべき日に日本共産党に入党されることを心から訴えたいと思います。(拍 手)
私も、大学1年生の時に日本共産党に入党しまして、今年で41年になります。私の場合、父も母も日本共産党員でありまして、“家業”を継いだと (笑い)いう面もあるのですが、もちろん私自身の意思で選んだ道であります。振り返ってみまして、この道を選択してよかったなとつくづく思います。いいと こですよ(笑い)。温かい人間的絆で結ばれた人間集団が日本共産党です。どうかご一緒に新しい日本への世直しに取り組もうではありませんか。(拍手)
みなさん。「亡国の政治」と決別し、日本共産党とともに、未来に責任を負う新しい政治を築こうではありませんか(「そうだ」の声、大きな拍手)。 そのことを訴え、私自身、日本共産党のさらなる躍進の先頭に立ってがんばりぬく決意を申し上げて、記念講演を終わります。(「よーし」の声、大きな拍手)
日本共産党創立92周年万歳!(会場から「万歳!」の声)
ありがとうございました。(歓声、鳴りやまぬ大きな拍手)