制度いじりより、保育所を増やして
みどり 育休中の先輩から「子どもが保育所に入れそうもない。四月に復職できないかもしれない」ってメールがきたの。
陽子 まあ大変ね。保育所入所希望が殺到してるってニュースを見たわ。
「自己責任」なの
みどり 不況の影響だよね。家計が苦しくなって、働きに出ざるをえない母親が増えているんだって。
陽子 そんな大変な状況を逆手にとるように、厚生労働省が保育制度の改悪を打ち出したのよ。市町村の保育実施義務をなくし、保育所入所を親の「自己責任」にしてしまおうとしているの。
みどり 「保育所を親が自由に選べる」って報道されてたけど、いいことじゃないの?
陽子 全然違うのよ。いまでも、親は希望の保育所を選んで市町村に申し込んでいるの。市町村は優先度の高い順に入所を決める。希望通りに行かず、家から遠い保育所などに決まってしまうのは、保育所が足りないからよ。
みどり 確かに、直接保育所に申し込んでも、定員以上に希望者がいたら、全員は入れないよね。「保育所を増やすために制度を変える」とも聞いたけど?
陽子 それも何の保障もない話なの。いまの制度では、保育を必要としている子がいたら市町村は保育所を整備する義務がある。待機児がいるのは、本来、違法状態なのよ。市町村の保育実施義務をなくしたら、だれが責任を持って保育所を増やすのかしら?
みどり そうだね。企業とかが参入しても質が悪かったら困るし、企業はもうからなければ撤退しちゃうしね。
国の本音どこに
陽子 国の本音は「保育所は増やさなければいけないが、お金はかけたくない」ってこと。保育所を増やすのは民間任せだし、財源はもっぱら消費税増税頼みよ。
みどり ひどい。だいたい、いま制度いじりの議論をやってる場合じゃないよね。緊急に保育所を増やさないと、子どもたちはどうなるの?
陽子 そうよ。定額給付金に使う二兆円があれば、待機児を解消するだけの保育所を国の責任で一気につくれる。それこそ、景気・雇用対策としても少子化対策としても有効なのにね。
〔2009・2・28(土)〕