大阪市長選挙もソウルのように・・・・・・・・見出しは管理者
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社説:視点…ソウル市長選 論説委員・中島哲夫
非正規労働、就職氷河期、世代間格差。こうした現象に苦しむ日本の若者たちは、明るい展望が見えない中で、ただ耐え続けるしかないのだろうか?
◇隣国の怒れる若者たち
やはり就職難が深刻で貧富の格差も拡大している韓国では、極めて多くの若者たちが既存の政治に不満を爆発させ、反旗を翻す1票を投じ始めた。この波は来年末の大統領選にまで影響し、
韓国社会に相当大きな変動をもたらすかもしれない。
先週のソウル市長選で野党系の無所属候補が勝利したことの最大の意味は、おそらくそこにある。隣の日本からも見ておくべきポイントだろう。
市長に当選した朴元淳(パク・ウォンスン)氏は、人権派弁護士であり、市民運動家だ。今は亡き金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノム・ヒョン)両元大統領の流れを引く民主党など野党の支援も
受けたが、無所属を貫いた。政党の枠にはまるのを嫌ったわけだ。
出口調査の分析によれば、朴氏は20~40代の有権者から圧倒的支持を受けた。この集票に大きく貢献したのが、ソウル大学教授の安哲秀(アン・チョルス)氏という、日本ではなじみのない
人物である。
安教授は韓国の若者の間でカリスマ的人気がある。医学部助手時代にコンピューターウイルス対策ソフトを開発して無償公開し、ベンチャービジネスの 起業家となり、新自由主義的な経済運
営や格差・就職難といった問題では弱者に同情的な発言を続けてきた。その結果、若者たちから「正義」や「公正」の体現 者と受け取られたようだ。
インターネット空間には安教授が持論を語る動画があふれている。収益最優先の企業経営に対する厳しい批判を、男女学生たちが感動のまなざしで聞く場面もある。
この安教授にソウル市長選出馬の意向ありとなった時点から世論調査が始まり、とたんに支持率1位。朴元淳氏との調整で不出馬が決まると、今度は大 統領選の候補者としてならどうかとい
う世論調査が相次ぎ、それまで断然トップだった与党ハンナラ党の朴槿恵(パク・クンヘ)元代表と互角の支持率を得てい る。
これは尋常なことではない。朴槿恵氏は韓国の高度経済成長を指揮した元大統領の長女だ。退潮期のハンナラ党を率いて善戦した実績もある。しかし今回のソウル市長選では全面支援した
女性候補が敗れ、「怒れる若者たち」の動向を恐れねばならなくなった。
大統領選はまだ先の話だし、安教授がからむとは限らない。だがウォール街のデモとも一脈相通ずる不満は、容易には解決できまい。日本にも影響があるかもしれないと思っている。