イタリア:平均年齢48歳レンツィ新政権 閣僚半数は女性
毎日新聞 2014年02月22日
◇外交・安全保障の重要閣僚が共に女性
【ローマ福島良典】イタリア新首相に指名された中道左派・民主党のレンツィ書記長(39)は21日、新政権の組閣作業を終え、ナポリターノ大統領に閣僚名簿を提出した。これにより、イタリア史上最年少の首相となるレンツィ氏率いる新政権が樹立された。経済再生と構造改革のカギを握る経済・財務相には経済協力開発機構(OECD)のパドアン事務次長(64)が起用された。新政権は弊害が指摘される選挙制度の改革や、硬直的な労働市場の自由化に取り組む。
新政権閣僚は16人。レンツィ氏は名簿提出後、記者団に「閣僚の半数(8人)を女性が占めるイタリア初の内閣となった」と強調した。イタリア紙コリエレ・デラ・セラ(電子版)によると、閣僚の平均年齢は48歳弱で1948年以降、最も「若い」内閣となる。新閣僚は22日に大統領府で就任宣誓式に臨む。
パドアン新経済・財務相は国際通貨基金(IMF)理事、OECDチーフエコノミストを務めた国際派。OECD時代、財政緊縮策の行き過ぎに異を唱えていた。前々任のグリリ氏(元経済・財務次官)、前任のサッコマンニ氏(元イタリア銀行副総裁)に続き、3代連続の実務家出身の経済・財務相となる。
経済・財務相の人選は難航し、イタリア国家統計局次期局長に内定していたパドアン氏に土壇場で白羽の矢が立った。パドアン氏は主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のためオーストラリア・シドニーに滞在中だったが、急きょローマに向かった。
外相にモゲリーニ下院議員(40)、国防相にピノッティ国防政務次官(52)が登用され、外交・安全保障の重要閣僚が共に女性となった。レッタ前政権で副首相兼内相を務めていた中道右派新党「新中道右派」のアルファノ党首(43)は内相として留任した。
新政権はレッタ前政権と同様、上下両院第1党の民主党、中道勢力諸会派、「新中道右派」などによる連立。24日に上院、25日に下院で信任投票が実施される。民主党内にはレンツィ氏の「レッタ前首相降ろし」への反発がくすぶっており、政権の安定に向けては課題が多い。