豊洲新市場 共産党都議団が調査
青果棟地下 大量の水たまり
強アルカリ性 化学物質含む可能性
日本共産党東京都議団(吉田信夫団長、17人)は14日、都が築地市場の移転先とする豊洲新市場予定地(江東区)で、土壌汚染対策として行うはず の盛り土を行わなかった問題で、予定地の青果棟を調査し地下の空洞にたまった水を採取しました。調査は7日の水産卸売場棟に続き2回目。
青果棟地下では、大量の水がたまっていることが明らかになりました。水深は深いところで20センチほどに達していました。都議団が試験紙で簡易測定したところ、水質はpH12~14の強いアルカリ性を示しました。
調査後、都庁で行った会見で都議団は、採取した水の分析を調査機関に依頼したことを明らかにしました。
曽根はじめ都議は、水質が強アルカリ性を示したことについて「何らかの化学物質の影響が考えられる」と指摘。「地下水の影響が大きいと思う」と話しました。
予定地はガス工場跡地で、高濃度の発がん性物質ベンゼンやシアン化合物などで汚染されています。都は土壌汚染対策で、施設の地下では盛り土を行わなかった事実が、共産党都議団の調査で発覚、大問題になっています。
この問題をめぐり、党都議団は12日、「豊洲新市場整備をめぐる重大な問題点と徹底検証のための提言」を発表。食の安全・安心に関わる重大問題だとして、徹底究明を求めています。
豊洲への市場移転
欠陥は明白、中止含め再検討を
東京都の築地市場(中央区)の移転先とされる豊洲新市場(江東区)で、土壌汚染対策として必要とされた4・5メートルの「盛り土」が主要な建物の 下で行われていないことが発覚し大問題となっています。日本共産党都議団の現地調査により判明したもので、「食の安全・安心」の根幹にかかわる重大問題と して都民の怒りを広げています。先に築地の豊洲移転の延期を表明した小池百合子知事は、新たな事態を受け、豊洲の安全性の確認や経過の調査を指示しまし た。次々と問題が噴出している築地の移転計画は、中止を含め抜本的に再検討することがいよいよ必要です。
虚偽説明で都民あざむく
東京ガスの工場跡地で、発がん性物質ベンゼンなどで高濃度に汚染された豊洲の土壌対策として行うとしていた、土の入れ替えや盛り土が、水産棟、青果棟など主な建物の下では実際に行われず、最下部は薄いコンクリートや砕石を入れただけの地下空間だった―。
今回発覚した東京都の豊洲新市場整備をめぐる新たな問題は、大きな衝撃を広げています。都はこれまで「きれいな土と入れ替え、きれいな土を盛るか ら安全」などと繰り返してきましたが、事実は異なっていたのです。豊洲移転に反対してきた人たちだけでなく、移転を推進してきた市場関係者からも強い憤り の声が上がっています。都民、国民をあざむき続けた都の責任は極めて重大です。
汚染対策を検討した専門家会議が2008年7月に盛り土などの対策を提言しました。この提言自体、第三者の専門家から「絵に描いた餅」と酷評され たものですが、その後の08年11月の別の会議(技術会議)で、なぜ地下空間案を検討したのか。なぜ都は、専門家会議の提言から逸脱して盛り土をしなかっ たのか。都はなぜその事実を都民や都議会に隠し続けたのか―。徹底的な究明が急がれます。
豊洲移転は、石原慎太郎知事時代の01年に高濃度の汚染があるのを知りながら強引に決定されました。しかも、用地買収後の検査で環境基準の4万 3000倍のベンゼン、猛毒のシアン化合物、ヒ素などが検出されたのに、移転を見直しませんでした。都民の不安や批判をかわすため、盛り土などをするから 安全だとして858億円を投じ「対策」を実施してきました。しかし、都が今春実施した検査では建物内の空気中からWHO(世界保健機関)基準を超えるベン ゼンが検出されるなど問題が顕在化していました。
盛り土が行われなかった建物下の地下空間の底には、水たまりができたところや、砕石がむき出したようなところもありました。豊洲新市場の土壌汚染 対策は、食の安全と同時に、市場で働く人の健康にかかわる大問題です。地下空間や地下の水にとどまらず全面的な調査と点検が求められます。
都民利益第一の解決こそ
豊洲新市場整備では土壌汚染対策だけでなく、移転用地選定の不明瞭な経過、談合疑惑を含めた巨額な税金の使い方、業者にとって使い勝手の悪さなど 問題が山積しています。小池知事が11月移転を先延ばししたのも、新市場の矛盾が噴出した結果です。日本共産党都議団は新市場建設の経過の徹底検証を求め ています。移転中止を含め都民の利益にかなう最善の解決方法をとることが重要です。