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世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

この暴走にストップをかけないと、とんでもない社会になります。

2014-01-13 | 市民のくらしのなかで

東京都知事選23日告示

宇都宮けんじさん(67)決意と抱負

憲法と生きた弁護士として

 
 
 

 

 23日告示、2月9日投票の東京都知事選挙に立候補を表明した日本弁護士連合会前会長の宇都宮けんじさん(67)=無所属、日本共産党など推薦=に決意と抱負を聞きました。(聞き手・青野 圭/写真・山城屋龍一)


写真

(写真)インタビューに答える宇都宮けんじ都知事候補

 私は弁護士として42年間、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命」(弁護士法第1条)として取り組んできました。

 しかし、安倍政権の政策や行動―国民のごうごうたる反対の声を無視した特定秘密保護法の強行採決と首相の靖国神社参拝、従来の自民党政府すら認め なかった集団的自衛権の行使を法律や閣議決定で容認する動きなど―は、実質的な憲法の破壊・クーデターです。憲法施行後67年間で、最大の危機です。

 憲法とともに生きてきた弁護士として、到底認められない政権です。この暴走にストップをかけないと、とんでもない社会になります。

激励の賀状

 都知事選は自治体の選挙ですが、日本の将来がかかった選挙です。日本全体が選挙の行方をかたずをのんで見守っていると思います。今年のお正月は、都民以外の多くの方から激励の年賀状が届きました。全国のみなさんの願いを受け止めてたたかいたい。

 石原・猪瀬都政の14年間で、東京は貧困と格差が広がり、福祉は切り捨てられました。私は政策の第一に「働きやすく、くらしやすい希望のまち東京」を掲げ、“生活都市”をめざします。

 石原・猪瀬都政は都営住宅を1戸も建てませんでしたが、「住まいは人権」です。高齢者や子育て支援、環境と防災重視、原発のない社会をめざします。

 教育行政の基本は、子どもが生き生き学ぶことができる学校づくりです。「日の丸」「君が代」を強制し教員への管理・統制を強める教育は、憲法改悪と表裏のもので一番の犠牲者は子どもたちです。

 猪瀬直樹前知事は裏献金疑惑で辞職しましたが、これで一件落着・幕引きを許すわけにはいきません。都政のあり方が問われている問題です。私が知事になったら都議会に百条委設置を要求します。

 東日本大震災被災者や原発事故の被害者に歓迎されるオリンピックにするためにも、被災者・被害者の救済と生活再建、原発事故の収束を急がなければなりません。

賭場許せぬ

 見逃せないのは、オリンピックにからめてカジノを招致しようという動きがあることです。私は長い間、多重債務者の救済に取り組んできましたが、 ギャンブル依存症の方が多く、家庭崩壊や自殺、犯罪などの悲劇が絶えませんでした。カジノは刑法が禁止するばくちです。青少年に夢を与えるオリンピックに 合わせて賭場を造るなどとんでもありません。

 都民本位の都政をめざす私たちの選挙は、政策を前面に出して都民に納得してもらうことが重要です。前回の都知事選で、私は96万8960の支持を得ました。これを土台に運動の輪を、さらに広げていきたい。

 弁護士として歩んできた42年間が私の財産です。サラ金・ヤミ金問題や貧困問題に取り組んできました。社会的弱者に寄り添い、サラ金規制法の改正など法律や制度を変えてきた経験を都政でいかしたい。

 うつのみや・けんじ 1946年、愛媛県旧東宇和郡(西予市)生まれ。67歳。日本弁護士連合会前会長。東京大学法学部在学中に司 法試験に合格。多重債務、サラ金・ヤミ金被害者の救済に尽力。約6万超の悪徳業者を告発しました。現在、反貧困ネットワーク代表、年越し派遣村の名誉村 長、脱原発法制定全国ネットワークの代表世話人などを務めています。

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隣国の首脳をこのように表現すること自体がレベルの低さを表している!

2014-01-12 | 日本と韓国・朝鮮・中国との友好

今度は野田前首相…「韓国トップが女学生のように言いつけ外交」

2014年01月11日/中央日報日本語版

  野田佳彦前日本首相が10日、「女学生のような言いつけ外交をしている」と朴槿恵(パク・クネ)大統領を批判した。この日報道された毎日新聞とのインタビューでだ。

  「安倍晋三首相が外国首脳との会談で、海洋進出を狙う中国を牽制する発言を繰り返している」という質問に対し、野田前首相は「韓国 トップが米欧に行っては、女学生のような言いつけ外交をやって日本を批判しているのと同じように見える」と答えた。続いて「中国も(日本と)同様な思いを 持っているかもしれない。やはり首脳同士(会談を)しなければいけない」とし「言いつけ外交はお互いやめた方がいい」と話した。

  就任後、外国首脳を含む主要人物との会談で、日本の正しい歴史認識を強調してきた朴大統領の外交を卑下したのだ。「女学生」という表現は“言いつけ”を日常的に行う存在として女性を蔑む側面もある。

  駐日大使を務めた権哲賢(クォン・チョルヒョン)世宗財団理事長は「首相を務めた人が外交慣例に外れる常識外の妄言を吐いたのに驚く」とし「一言の妄言がどれほど大きな致命傷を負わせ、両国関係を崩壊させるか知らないようだ」と批判した。

  韓国政府と駐日韓国大使館では「政治を間違って政権を譲り渡した敗北者の言葉にいちいち対応する必要があるのか」「隣国の首脳をこのように表現すること自体がレベルの低さを表している」など不快感を表す反応が出てきた。

  野田前首相は、安倍首相になるまで3年3カ月間続いた民主党政権の最後の首相。民主党か自民党か区分できないほど保守偏向的な「自民 党第2中隊」政策と分裂で民主党を瓦解させた。突然、消費税増税に「政治生命をかける」といって無理に国会を解散し、結局、政権を安倍首相と自民党に献納 した。韓国政府の関係者が「失敗者」として烙印を押す理由だ。

  インタビューでの問題発言も在任時の失敗を釈明する途中に出てきた。日中関係をこじらせた「尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化」に関 し、「国有化は決断」 「東京都が購入するよりかはよい決定」と話しているところだった。安倍首相を非難しながら自分を浮き彫りにしようとしたが、とんでもなく朴大統領に食いつ いたのだ。「女学生」という表現は、自衛隊員の息子で保守色濃厚な松下政経塾第1期生であることを履歴の前面に出してきた普段の態度と無関係ではないよう だ。

  問題は、野田前首相のように妄言は吐かないが、日本政府や政界・メディア界などオピニオンリーダー層に似た考えが広まっているという 点だ。私的な席で会った日本政府の関係者の中には、揺れる韓日関係が話題になれば、「朴大統領が外国の人たちの前で日本をけなすのだけはやめてほしい」と 指摘する人たちが少なくない。韓国を訪問しても朴大統領と会う機会があまりにも少ないため、知韓派議員の間でも「日本人にはなぜ会わないのか。不満があれ ば直接日本人に表現するべきではないのか」と吐露する人がいる。

  9日、在日本大韓民国民団の新年会に出席した日韓議員連盟会長の額賀福志郎議員が韓国について、「相手の弱点を強調して自身の利益を 得るような誤った方法は互いにやめるべきではないか」と述べたのも、こういう日本国内の雰囲気を反映している。しかし安倍首相の靖国参拝に続き、野田前首 相の突然の妄言が出てきた中、「両国の相互配慮」を強調する志ある日本人の立つ瀬がさらに狭まっている。
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日本の過去の侵略戦争を美化・正当化する「靖国史観」の宣伝センターの役割

2014-01-11 | 世界の変化はすすむ

靖国神社って何? 「参拝」何が問題?

首相は「国に殉じた人に尊崇の念を」言うが…

 
 
 

 

 安倍晋三首相の靖国神社参拝をめぐって、NHKなど一部のメディアが「『不戦の誓い』をした」などという首相の説明を無批判に流しています。靖国 神社とは何か、首相の参拝がなぜ世界から厳しい批判をあびるのか、問題の根本を説き明かした報道はほとんどみられません。靖国神社のそもそもを知れば、首 相の参拝が「内政問題」や「内心の自由」では絶対に片付かない、深刻な問題であることがはっきり見えてきます。


戦前・戦中はどんな施設

戦争動員の精神的支柱

 靖国神社は、明治時代の1869年、新政府軍と旧幕府側との間で戦われた戊辰(ぼしん)戦争で戦死した軍人をまつるために創建された「東京招魂 (しょうこん)社」が前身です。79年に「靖国神社」へと改称。「別格官幣(かんぺい)社」という特別の社格を与えられ、国家神道の中心的神社と位置づけ られました。

 一般の神社とは異なり旧陸軍、海軍両省が管理する軍事的宗教施設でした。明治維新からアジア・太平洋戦争までの戦没者240万人余をまつっていますが、いずれも“天皇のため”にたたかって死んだ軍人・軍属だけです。

 このため、西南戦争(1877年)で天皇に背いた“賊軍”の西郷隆盛や捕虜となって病死した兵士、原子爆弾や空襲の民間犠牲者、旧「満洲」など外地で死んだ一般国民などはまつられていません。

 天皇制政府と軍部は、天皇への「忠義」を尽くして戦死し「靖国の英霊」になることを最大の美徳として宣伝。靖国神社を、侵略戦争に国民全体を動員するための精神的な支柱として持ち上げました。

 安倍首相は、「国に殉じた人に尊崇(そんすう)の念を示す」などと繰り返しています。しかし、靖国神社への合祀(ごうし)は、天皇のためにたた かって死んだかどうかにあり、死者を選別することに本質があります。また「英霊」としての合祀は、戦死者や遺族の意思に関わりなく行われます。戦争遂行や 侵略戦争美化の“道具”として人の死を利用することは、戦争犠牲者を冒とくするものではないでしょうか。

戦後果たした役割

戦争美化する発信地に

 靖国神社は戦後、信教の自由や政教分離を厳格に定めた日本国憲法のもと、一宗教法人となりました。しかし、“日本の行った戦争は正義の戦争だっ た”とする特異な戦争観を「国論」とするための策動が、同神社を中心に続きました。「国家護持」や天皇・首相などの「公式参拝」を求める運動などです。

 とりわけ、1986年に同神社の付属施設・遊就館(ゆうしゅうかん)が再開されると、日本の過去の侵略戦争を美化・正当化する「靖国史観」の宣伝センターの役割を強めていきます。

 遊就館は、「近代史の真実」を学ぶパネルや「英霊」の遺書・遺品、当時の兵器を展示している軍事博物館です。いまでも、「先の『大東亜戦争』は、 わが国の自存自衛と人種平等による国際秩序の構築を目指すことを目的とした戦いでありました」(3月から靖国神社が開く「遊就館特別展 大東亜戦争七十年 展Ⅲ」の案内チラシ)などと公然とのべています。

 こうした靖国神社の本質は、小泉純一郎首相(当時)らの度重なる参拝や神社の実態を批判した日本共産党の不破哲三議長(同)の講演(05年5月) をきっかけに広く知られるようになり、国内外のメディア・世論から「軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心」(米紙)などと厳しい批判が起 こりました。

 07年には、遊就館の展示パネルを一部改修。太平洋戦争が「資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要」したルーズベルト米大統領の陰謀だったかのように描いた「反米」的な部分を削除しましたが、先のチラシのように戦争を賛美する本音は隠しきれません。

 首相の参拝は、日本の過去の侵略戦争を肯定・美化する靖国神社の立場に自らを置くことを意味します。それは、日独伊のファシズムと侵略戦争を断罪した戦後の国際秩序への挑戦とみなされるのです。

戦争指導者を「神」

国際社会への公約違反

 靖国神社は1978年に、東京裁判(極東国際軍事裁判)でA級戦犯とされ処刑された東条英機元首相ら14人を合祀しています。

 A級戦犯とは、東京裁判で、侵略戦争を計画・準備・開始・遂行した「平和に対する罪」(a)、占領地での殺人や捕虜への虐待などの「戦争犯罪」 (b)、「人道に対する罪」(c)などすべての罪で裁かれた犯罪人です。一般将兵がbとcの罪に問われた「BC級戦犯」と区別し、A級戦犯と呼びます。

 安倍首相の祖父、岸信介元首相も東条内閣の商相などを務めたA級戦犯容疑者でした。

 靖国神社は、このアジアと日本の国民に多大な犠牲を強いた戦争指導者を、“神”としてまつっているのです。実際、遊就館には「靖国の神々」のコーナーでA級戦犯の東条元首相らの写真を展示しています。

 A級戦犯合祀の理由について、宮司だった湯澤貞氏は、同神社の崇敬者総代会で「A級戦犯だけ合祀しないのは極東裁判(東京裁判)を認めたことにな る」との意見もあり、合祀が決まったと語っています(『正論』05年8月号)。合祀の狙いは、日本の戦争を侵略と断罪した東京裁判を否定する意思を示すた めなのです。

 日本は、米国など連合国と結んだサンフランシスコ平和条約(51年調印)で東京裁判を受け入れており、同裁判を否定することは国際社会への公約に反することです。

 A級戦犯合祀が明らかになって以降は、昭和天皇も現天皇も同神社を参拝していません。

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われわれがどういう理論的立場に到達しているか

2014-01-08 | 世界の変化はすすむ

日本・ベトナム理論交流での不破団長の報告

 

日本共産党綱領制定にあたっての社会主義理論の研究 (上)

 

 
 
 

 

図

 

 日本共産党とベトナム共産党は2013年12月16、17の両日、東京の日本共産党本部で第5回両党理論会談を開きました。不破哲三社会科学研究 所長が日本共産党代表団の団長を務め、ベトナム共産党側はディン・テー・フイン政治局員・書記局員・理論評議会議長が代表団長を務めました。「新しい情勢 における社会主義理論の発展」をテーマとした同会談で、不破団長は「日本共産党綱領制定にあたっての社会主義理論の研究」と題して、次の報告を行いまし た。(3回にわたって掲載)

 

第5回日本ベトナム両党理論交流

 

(2013年12月16~17日) 不破団長報告

 

 私の報告を始めたいと思います。

 

 私たちの党は一九六一年に党綱領を制定しましたが、二〇〇四年に党綱領のかなり抜本的な改定を行いました。来年一月が、改定した新しい綱領の決定からちょうど十年になるところです。

 

 今回の主題は、新しい綱領の改定にいたるまでの党の理論的な発展、とくに社会主義論の研究の経過と到達点についての報告です。

 

一、日本共産党の理論活動の歴史

 

 これまで私たちは、両党間で四回の理論交流を重ねてきましたが、わが党の理論的な発展の問題についてはこれまで報告したことがありませんでした。 理論問題についての両党間の相互の理解を深めるためにも、この機会に、はじめに日本共産党の理論活動の歴史について若干の点を語っておきたいと思います。  

 

自主独立の立場の確立が理論活動の起点

 

写真

(写真)発言する不破哲三日本代表団団長=昨年12月16日、党本部

 

 私たちの理論活動において、大きな起点となったのは、一九五〇年代に自主独立の立場を確立したことでした。それに先立って、私たちは一九五〇年に ソ連の党と中国の党の共同による激しい干渉を受け、党が分裂し、国外から武装闘争路線を押しつけられるという、たいへん苦難に満ちた経験をしました。その 前の一九四九年の総選挙では衆議院で三五議席を得ていたものが、その干渉を受けた時期の一九五二年の選挙では全議席を失うという困難な事態も経験しまし た。私たちは、その苦難の時期を抜け出したときに、自主独立の立場、すなわち、相手がどんな大国であっても外国からの干渉を許さない、どんな問題でも日本 の党の方針は自分の頭で考えて決定する、この立場を確立しました。 

 

 発達した資本主義国である日本で、まず民主主義革命をおこない、ついで、それを社会主義革命に発展させるという二段階の戦略路線を、党綱領で確立したのも、この立場に立ってでした。

 

 一九六〇年のモスクワで開かれた国際会議(八一カ国共産党・労働者党会議)の時には、この革命路線にたいして、ソ連をはじめヨーロッパの諸党から猛烈な批判を受けましたが、われわれはそれを論破して私たちの立場を貫きました。

 

ソ連との論争と干渉攻撃

 

 その後、ソ連の党との論争は、アメリカの戦争政策の評価をめぐって起きました。米ソが外交面で和解したということから、ソ連共産党が「アメリカの 戦争政策はもはや危険ではなくなった」と主張しはじめ、それにそった行動を開始しました。私たちはそれを認めないで、「アメリカが平和的な政策と見せかけ ているのは、社会主義大国のソ連にたいしてであって、その他の社会主義国や民族解放運動に対する侵略の危険は現実に存在している」ことを指摘しました。こ の意見の違いから、一九六四年、ソ連共産党は、わが党の立場・路線を全面的に非難する長文の書簡を送りつけてくると同時に、わが党の内部に手を突っ込ん で、ソ連追従の分派を旗揚げさせて猛烈な干渉攻撃に出ました。われわれはもちろん全面的な反撃を行いました。

 

 この論争そのものは、当のアメリカがその年一九六四年八月にベトナム侵略戦争を開始したことによって、どちらが正しいかの決着がつきました。その 過程で、フルシチョフからブレジネフへのソ連の指導部の交代が行われましたが、その後も、日本共産党に対する干渉攻撃は続けられました。

 

侵略戦争下のベトナムでの会談

 

写真

(写真)日本ベトナム両党理論会談。左から3人目は不破哲三日本代表団団長、右から5人目はディン・テー・フインベトナム代表団団長=昨年12月16日、党本部

 

 こうして、われわれはソ連の干渉攻撃に反対する闘争の激しい最中でしたが、現実に起こったベトナム侵略戦争に対しては、世界のすべての勢力が団結 してたたかう国際統一戦線の結成が急務だと考えました。そのためには、アジアの主要な党、侵略攻撃を受けているベトナムの党をはじめ、中国や北朝鮮の党と の意見の一致をかちとることが重要だと考えて、われわれは、一九六六年二月~四月に、諸党の合意を得て、これら三国の歴訪を計画しました。当時書記長だっ た宮本顕治同志がこの代表団の団長でしたが、私もそれに参加し、これが私の最初の外国訪問となりました。

 

 最初の会談は、ハノイでのベトナムの党の指導者たちとの会談でした。一九六六年の二月十七日に、中国の南寧から飛行機で真夜中、ハノイ郊外の空港 に、比較的小さな軍用空港に着きました(ベトナム側‥「ザーラム(空港)ですね」)。戦争中ですから、街灯もなく何も見えない暗い道を、車でまっすぐハノ イに向かいました。ハノイの迎賓館に近づきますと、そこはこうこうと明かりがついて、アオザイを着た女性たちが大勢集まっており、ベランダの上ではホー・ チ・ミン同志が手を振って歓迎してくれました。非常に感動的な光景でした。

 

 会談は二月十九日から行いました。日本共産党とベトナムの党が本格的な会談をやったのは、これが初めてです。当時の会談は、まだ、われわれの方に はベトナム語の分かる同志がいませんでしたし、ベトナムの党の側でも、日常会話のできる通訳はいても、会談で日本語の通訳ができる同志はいませんでした。 ですから、中国語を介した二重通訳でした(ベトナム側、笑い声)。中国から飛んできて、中国語を介しての通訳ですから、いったいこの党がどういう立場の党 なのか、最初は、疑問に思っただろうと思います。(大笑い)

 

 会談は五日間かかりました。戦争をめぐる情勢を中心にした同じ主題の報告ですが、ベトナム側の報告の内容が、日がたつごとに深まってゆくのです。(笑い声)

 

 それで、会談の前半で、国際統一戦線の問題では両党の意見が完全に一致したのですが、その途中にホー・チ・ミン同志が入ってきて、私もまったく日 本の同志の意見に賛成だといって、こういう話をしました。「いまはソ連の党も中国の党もわれわれを援助している。しかし、こういう援助だ」と、掌(手のひ ら)をパッとひろげたのです。つづいて、「われわれが求めているのは、こういう援助だ」と掌をぐっとにぎりました(小さな笑い声)。われわれが提唱した国 際統一戦線ということを行動で表したものでした。

 

 ベトナム側の代表団の団長はレ・ジュアン同志だったのですが、会談の最後の日、レ・ジュアン同志に不幸があって、発言がチュオン・チン同志に変わ りました。その時に、ベトナムがジュネーブ会談以来取ってきた態度、そしてソ連、中国がベトナム問題で取ってきた態度を詳しく、われわれは聞きました。 ジュネーブ会談でのベトナムの南北分割にはベトナム代表団は賛成しなかったこと、その時に、南では必ず総選挙をやって政権問題を解決するということが条件 として厳重に確認されたこと、しかし会談が終わると、アメリカが南ベトナムの政権を牛耳り、総選挙をボイコットして、それでベトナムの解放勢力に大弾圧を 加えたこと、村々にギロチンを持ち歩いて解放勢力を片っ端から殺したことまで、伺いました。南の同志の決起の要望を受けて何べんもモスクワと北京に相談す るけれども、武装決起についての合意は得られず、最後に、ベトナムの党の自主的な決断で、南部の武装闘争に決起したことを聞きました。

 

 これらの歴史を詳しく伺って、われわれ日本共産党が五〇年代に中国、ソ連の干渉を受けて、そのなかから自主独立の立場を確立したのと、まったく状 況は違うけれども、ベトナムの党が、同じ性質の苦難の歴史を経て、自主独立の同じ立場に到達したのだということを、われわれは歴史の重みをもって確認しま した。

 

 こうして、この会談は、当面の国際統一戦線の課題でも、それから、世界の共産主義運動における自主独立という根本問題でも、両党が共通点を確認しあった、同志的連帯の本当の起点になりました。

 

 その後、宮本同志はハノイに残って、ホー・チ・ミン同志と両党の今後のことをいろいろ相談し、その中では、双方で直接自国語で通訳できるような学 生を養成しあおうじゃないかということも含まれました。私たち代表団の一部は、分かれて、爆撃を受けている最前線のタインホア省を訪問しました。ハムロン 橋を守る高射砲陣地を視察したり、村を守る女性民兵の人たちと交流したりしました。高射砲陣地に行った時は写真をいただいたのですが、「これは発表すると 高射砲の性能がアメリカに分かるから、戦争が終わるまで発表しないでくれ」と言われ、私はこの写真だけはベトナム戦争が終わってから、機関紙「赤旗」に発 表しました。(笑い声)

 

中国・毛沢東派の干渉攻撃

 

 その後、われわれは中国に行き、中国の同志たちと会談しました。北京の会談では、劉少奇同志が団長で、小平同志も加わり、ここでも四日間にわた る会談をしましたが、ここでは、国際統一戦線の問題では意見が分かれたままでした。ただ、会談が終わった時に、劉少奇同志が、「どちらが正しかったかは歴 史の審判に待ちましょう」と、理性的な態度だったことが記憶に残っています。しかし、その後の毛沢東との会談は、完全な決裂に終わりました。われわれが彼 の意見に同意しないことを言うと、もう「会談はなかったことにしよう」ということになり、会談が終わってわれわれが帰国するとすぐ、猛烈な干渉攻撃が始ま りました。やり方はソ連と同じで、中国に同調する反党分派を作り、これが本物の日本共産党だと礼賛して、日本共産党をつぶしにかかるという攻撃でした。会 談では意見の相違の焦点はベトナム支援の統一戦線の問題にあったのですが、干渉攻撃に出てきた時には、われわれの革命論に対する、レーニンの『国家と革 命』を振りかざしての非難が中心でした。

 

 われわれは、六〇年代にソ連の党と中国の党と両方の干渉と激しい闘争をして、だいぶ鍛えられました。さきほどの休憩の時間に話に出た一九七〇年代のわが党の躍進が準備されたのは、この闘争を通じてです。

 

 それで、ソ連の党とは、攻撃が始まってから十五年たって、七九年にブレジネフ書記長との首脳会談で、ソ連側が干渉の誤りを公式に反省し、それで党関係を正常化しました。

 

中国共産党との関係正常化

 

 中国の方はだいぶ時間がかかりました。「文化大革命」が終わった小平時代に、一九八五年に関係正常化の会談をやりたいという申し入れがありまし たが、中国側が持ってきたのは、「お互い、過去は水に流そう」という無反省な態度でした。しかも、彼らの干渉の落とし子である反党集団との関係は維持す る、というものでしたから、これは合意に至りませんでした。

 

 一九九八年に、江沢民、胡錦濤指導部の時代に関係正常化の申し入れがあり、その会談では、中国側が過去の干渉について「真剣に総括し是正する」ということを公式に言明し、そのことを確認して関係を正常化しました。中国との断絶の期間は三十二年続きました。

 

ソ連流「マルクス・レーニン主義」の総点検

 

 ソ連共産党および中国・毛沢東派との論争のテーマはたいへん多方面にわたりましたが、その論争のなかで、われわれは、ソ連が中心になって唱えてき た「マルクス・レーニン主義」という従来型の理論の総点検をする必要がある、ということを感じました。そして、一九七六年の党大会で、党の綱領・規約から 「マルクス・レーニン主義」という用語を削除し、「科学的社会主義」という用語を公式の呼称とすることを決めました。

 

 この総点検の作業のなかで、われわれは、スターリン以来、マルクスの理論的到達点の重要な部分が否定されたり、歪曲(わいきょく)されたりしてき たこと、特に革命の理論、社会主義の理論の分野でその被害が大きかったことを明らかにしました。レーニンについても、彼はマルクスの理論の偉大な継承者で したが、いくつかの重要な問題で誤りがあることを明らかにしました。

 

 それで二〇〇四年に行った党綱領の改定は、その研究の成果を全面的に取り入れて、いわばマルクスの本来の立場を二十一世紀の新しい時代に発展的に具体化するという意志と立場でつくりあげたものです。

 

ソ連体制そのものの研究

 

 ソ連そのものの研究について言いますと、われわれは、スターリン時代の五〇年代に、それからまた、フルシチョフ・ブレジネフ時代の六〇年代以後 に、ソ連の覇権主義的干渉との激しいたたかいを余儀なくされました。その経験に立って、スターリン以来の覇権主義については、ずっと歴史の研究を行い、公 表もしてきましたが、ソ連という社会の実態についても、内部的な研究を行ってきました。

 

 ソ連の崩壊後に最初に開いた一九九四年の党大会で、私たちはソ連について、あの社会は“社会主義とは無縁な、人間抑圧型の社会”だったという結論的な評価を下しました。

 

 これからの社会主義の理論と実践のためにも、ソ連が、スターリンがどこで社会主義の道を踏み外して変質し、それからどんな間違った道に踏み出した のかということの研究が非常に重要だということを、われわれは痛感しています。かつてソ連の党内で秘密にされていた公文書がいま大量に流出し、表に出てい ます。われわれが受けた五〇年代や六〇年代の攻撃についても、われわれは、ソ連崩壊後にソ連側の内部文書を大量に入手しました。そこには、彼らがいかに早 くから日本共産党攻撃の準備をしていたか、それから、どういう人物といつ連絡をとって、党内の分派結成の応援をしてきたか、そういうことが全部記録されて います。

 

 また、スターリン時代の国際政策についても、現在、大量のそういう公文書が公表されています。私は、党の機関誌『前衛』に今年(二〇一三年)の一 月から、スターリンの国際政治において犯した誤りについての歴史を連載しています。書いている本人が驚かざるをえないほど、恐ろしい歴史です。

 

 以上、報告のいわば前段として、われわれがどういう理論的立場に到達しているかということを紹介しました。

 

 (つづく)

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安倍政権の暴走をストップし、憲法を守る。猪瀬直樹前知事の裏献金疑惑の徹底究明!

2014-01-07 | 市民のくらしのなかで

「東京から国政変える」

 

宇都宮健児氏 五つの基本政策発表

 

 
 
 

 

 宇都宮健児氏は6日、確認団体となる予定の「希望のまち東京をつくる会」の中山武敏選対本部長(弁護士)らと行った会見で、「都民一人ひとりが暮 らしやすい街にしたい」と強調。「世界一働きやすく、くらしやすい希望のまち東京を」「安倍政権の暴走をストップし、憲法を守り、東京からアジアに平和を 発信」など基本政策の五つの柱と、猪瀬直樹前知事の裏献金疑惑の徹底究明など、二つの特別政策の柱を発表しました。

 

 宇都宮氏は記者の質問に対し、特別養護老人ホームや保育所の増設、「ブラック企業」の規制を強化し過労死防止条例の制定、防災対策強化を図ると語りました。

 

 また、安倍政権の秘密保護法や社会保障切り捨ての強行、集団的自衛権行使容認などの暴走に反対し、「首都で平和と憲法を守る都政をうちたてる」と強調。2020年東京オリンピックは環境・平和と友好の祭典にしたいと語りました。

 


 

あすと11日に集会

 

 宇都宮氏を擁立する「希望のまち東京をつくる会」は8日午後7時から、豊島区の豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)で「東京都を変えていくキックオフ集会」を開催します。

 

 日本共産党や民主団体でつくる「革新都政をつくる会」は6日の臨時総会で宇都宮氏の推薦を決定。11日午後6時半から墨田区の墨田リバーサイドホールで決起集会を開きます。

 

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「『自共対決』時代の本格的な始まり」という新しい情勢を開いた年

2014-01-06 | 日本共産党の機関決定文書

開始された躍進を政治変える本格的流れに

2014年党旗びらき 志位委員長のあいさつ

 
 
 

 

 日本共産党の志位和夫委員長が4日の党旗びらきで行ったあいさつは次のとおりです。


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(写真)あいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 みなさん、2014年、あけましておめでとうございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、新春にあたって心からのあいさつを送ります。

 私たちは、この新春を、第26回党大会を目前にひかえて迎えました。

党勢拡大の高揚のなかで党大会成功をかちとり、「大運動」目標総達成を

 まず報告しておきたいのは、「第26回党大会成功・党勢拡大大運動」のとりくみについてであります。

 昨年12月は、全党の大奮闘で、約2000人の新しい党員を迎え、「大運動」4カ月の通算で新入党員は4700人を超えました。私は、この間、新しく党の一員となったすべての仲間のみなさんに、心からの歓迎のメッセージを送ります。(拍手)

 昨年12月、「しんぶん赤旗」の読者の拡大は、日刊紙1800人、日曜版5800人、あわせて7600人の前進をかちとりました。この前進幅は、 12月としては20年ぶりの成果となりました。10月、11月、12月と、3カ月連続の前進であり、「大運動」の通算では、日刊紙2400人、日曜版1万 人、あわせて1万2400人の増加であります。私は、大奮闘された全党と後援会員のみなさんに、心からの敬意と感謝を申し上げるものであります。(拍手)

 この間のとりくみの最大の特徴は、参議院選挙での日本共産党の躍進、安倍政権の暴走と「自共対決」の様相が鮮明になるもとで、「暴走を止めたい。 政治を変えたい。それができるのは共産党しかない」という党への新しい期待が広がり、こうした情勢の変化に働きかけたところでは、これまでにない広範な 人々が入党し、読者になってくれるという状況が広がっていることです。そして、こうした情勢の特徴と党の役割を深くつかむうえで、大会決議案が大きな力を 発揮していることです。

 奈良県・奈良地区委員会は、昨年末までの大奮闘で、「大運動」目標とした150人の党員拡大を超過達成しました。西本文子地区委員長は、つぎのような報告を寄せています。

 「党員と読者の拡大で歩けば歩くほど、『共産党に頑張ってほしい』という声にあたります。秘密保護法反対のたたかいのなかで、『安倍政権は怖い』 など危機感を語る人が多く、話し込むと『頼りは共産党だけ』『自分にも何かできることはないか』などの話になり、入党を決意する経験があちこちで生まれて います。消費税増税反対の署名と結んで働きかけると『消費税で頑張っているのは共産党だけだ』などの対話になり、入党の働きかけになります。入党している のは、有名な中小企業の元社長、党組織が空白だった職場の労働者、重要な職場の管理職、教員や自治体職員、大きな農家の夫婦など、年齢も階層も多士済々で す。その一つひとつの経験が、『大会決議案では、情勢が変わっているといっているが、やっぱりほんまなんや』という確信になり、運動が加速する状況が生ま れました。大会決議案の内容をつかみ、狭くせず、広い視野で対象者をとらえて、働きかけることです。そうすれば情勢の変化を実感し、次々と入党してくれま す」

 大会決議案を力に、情勢の変化に確信を持ち、広く足を踏み出せば、必ず飛躍はかちとれる。奈良地区委員会の経験はこのことを示していると思います。

 「大運動」の期日は1月末までであり、党員拡大、読者拡大の党大会時の到達は、1月末時点の到達が記録されます。

 みなさん、党勢拡大の大きな高揚のなかで党大会の大成功をかちとり、「大運動」の目標総達成に挑戦する――この決意を新しい年の初めにみんなで固めあおうではありませんか。(拍手)

全党の奮闘によって「『自共対決』時代の本格的始まり」という新しい情勢を開いた

 昨年の特徴を一言であらわすならば、全党の奮闘によって、「『自共対決』時代の本格的な始まり」という新しい情勢を開いた年となったということにあります。

昨年5月、7中総報告 で打ち出した「自共対 決」のスローガン 

 一昨年12月の総選挙で誕生した安倍・自公政権は、325議席という衆議院での圧倒的多数の力を背景に、あらゆる分野で暴走を開始しました。「ア ベノミクス」の名での国民犠牲・大企業応援の政治、原発の推進、TPP(環太平洋連携協定)の推進、沖縄新基地建設のごり押し、憲法改定にむけた動きな ど、国政の全分野で逆流がつくりだされました。

 こうした安倍政権の暴走のもとで、すべての政党の立ち位置が試され、浮き彫りにされていきました。野党に転落した民主党は、安倍政権の暴走のどの 問題をとっても、自分たちが政権についていた時期に手を付けた問題であるだけに批判もできず、野党としても存在意義を失いました。維新の会やみんなの党な ど「第三極」といわれた勢力も、構造改革推進、憲法改定の先兵になるなど、自民党の補完勢力そのものの姿をあらわにしていきました。

 こうした情勢のもとで、日本共産党は、都議選、参院選を目前にして開催された5月の第7回中央委員会総会で、「自共対決」というスローガンを正面から打ち出しました。7中総報告では、つぎのように呼びかけました。

 「他党がみなそろって、『自民党へ、安倍首相へ』となびくなかで、国民とともに安倍政権の暴走と正面から対決しているのが日本共産党でありま す。……『自民党対共産党』の対決――“自共対決”こそ、参議院選挙の真の対決軸であります。この真の政党対決の構図を押し出しながら、必ず勝利をつかも うではありませんか」

「自共対決」にたった論戦は、都議選・参院選躍進に実を結んだ

 この提起は、全体としてきわめて積極的に受けとめられました。当初、一部からは、「独り相撲になるのではないか」という声もありました。しかし、 「自共対決」という提起、その姿勢にたった論戦は、多くの国民の共感を広げていきました。それは、選挙戦での躍進という結果に実を結ぶことになりました。

 わが党は、6月の東京都議会議員選挙で、8議席から17議席に倍増、民主党を抜いて都議会第3党に躍進しました。「朝日」大阪本社版は、社会面トップで「都議選躍進『自・共対決だ』」と報じました。

 続いて、7月の参議院選挙で、改選前の3議席から8議席へと躍進し、議案提案権を獲得しました。国政選挙での躍進は15年ぶりの出来事となりました。

 私は、昨年の選挙で寄せられたご支持、ご支援にあらためて感謝を申し上げるとともに、開始された躍進を決して一過性のものに終わらせることなく、 日本の政治を変える本格的な流れに発展させるために全力をつくす決意を、新しい年の年頭にあたって表明するものであります。(拍手)

秘密保護法をめぐる攻防は、「自共対決」をいっそう浮き彫りにした

 参議院選挙の結果生まれた政党地図は、「自共対決」という対決構図を、いっそう際立たせるものとなりました。

 とりわけ臨時国会での秘密保護法をめぐる攻防は、すべての政党の本性を浮き彫りにするものとなりました。維新の会とみんなの党は、自公との「修正 合意」をして、希代の悪法の共同提案者となり、「翼賛政党」ぶりをあらわにしました。民主党は、最後まで「廃案」を主張できず、右往左往を繰り返しまし た。法案が採決された参院本会議は、民主党、みんなの党、維新の会が退席し、討論を放棄するなかで、賛成討論を行ったのは自民党議員、反対討論を行ったの は共産党の仁比議員と、「自共対決」を象徴する光景となりました。

 こうして、昨年は、「『自共対決』時代の本格的な始まり」という新たな情勢を開く歴史的画期をなす年となりました。この情勢は自然に訪れたもので はありません。「二大政党による政権選択論」や「第三極論」など、長期にわたる日本共産党排除の反共作戦に抗しての、全党の不屈の奮闘が、この時代を切り 開いたということを、私は、強調したいと思うのであります。このことをみんなの深い確信にして、新しい年のたたかいにのぞもうではありませんか。(拍手)

「自民一強」というが――暴走の具体化の一歩一歩が国民との矛盾を広げている

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(写真)2014年党旗びらきであいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 さて、今年の展望はどうでしょうか。

 「そうはいっても自民一強ではないか」という声もあるかもしれません。たしかに自公政権が衆参両院で多数を握っているのは事実であります。しかし、日本社会全体の力関係ではどうでしょうか。

 「大会決議案」は、「安倍政権の暴走の具体化の一歩一歩が、多数の民意に逆らうものであり、国民とのあいだでの矛盾を深めつつある」とのべていま すが、この指摘どおりの情勢が進展しているではありませんか。とくに、昨年末の安倍政権の暴走につぐ暴走は、この政権の国民との矛盾、さらには世界との矛 盾を劇的に拡大するものとなりました。

秘密保護法の強行――廃止・撤廃のために力をつくそう

 昨年の12月6日、国民多数の反対の声を踏みつけにしての秘密保護法の強行は、安倍政権の「終わりの始まり」を告げる出来事となりました。

 この問題で何よりも重要なのは、ごく短期間に、これまでにない広大な人々が反対の声をあげ、たちあがったことであります。法律家、学者・研究者、 文化人・芸術家、メディア関係者、市民団体、労働組合、地方自治体など、あらゆる層の団体や市民が、廃案を求めてたちあがりました。その多くは、法案が強 行された後も、秘密保護法の廃止・撤廃を求めて、声をあげ続けています。そして、多くの人々が、この企ての真の目的が、「海外で戦争する国」づくりにある ことを、見抜きはじめています。これは、日本国民の中の平和と民主主義を求めるエネルギーがいかに広く、深いものであるかを示すものであります。安倍政権 はその全体――日本国民の良識の全体を敵にまわしたのです。

 さらに秘密保護法にたいして、国際的にも批判と懸念が集中しました。国連人権高等弁務官、国連人権理事会、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ ウォッチ、国際ジャーナリスト連盟、国際ペンクラブなどから、つぎつぎと批判の声がおこりました。米軍の準機関紙「スターズ・アンド・ストライプス(星条 旗)」までが、「日本がジャーナリストを沈黙させかねない秘密法を強行」と批判的に報道しました。安倍政権の暴挙は、人権と民主主義を求める世界の流れに てらしても時代逆行、時代錯誤というほかないものでありました。

 秘密保護法とのたたかいは、今年も引き続く重要課題となっています。日本共産党は、通常国会に、秘密保護法の廃止法案を提出します。憲法違反の希 代の悪法の問題点を、国会の場で、また広く国民のなかで徹底的に明らかにし、これを廃止・撤廃するために力をつくそうではありませんか。(拍手)

「海外で戦争する国」づくりへの青写真――国民的共同で包囲しよう

 安倍政権は、秘密保護法強行に続いて、12月17日、「国家安全保障戦略」、新「防衛計画の大綱」、新「中期防衛力整備計画」を閣議決定しました。

 これらの一連の文書は、「海外で戦争する国」づくりへの野望の青写真となっています。「国家安全保障戦略」の基本理念として「積極的平和主義」な るものが据えられました。その内容は、明示こそされていないものの、集団的自衛権行使をはじめ、憲法9条の破壊を志向していることは、これまでの首相の発 言から明らかであります。

 一連の文書には、「専守防衛」というこれまでの建前すら投げ捨て、「統合機動防衛力」を掲げ、今後5年間に約24兆6700億円の軍事費をつぎ込 み、自衛隊を海外派兵の部隊へと大改造する計画が盛り込まれました。さらに、「武器輸出三原則」を廃止し、国民に「愛国心」を強要しようとしていることも 重大であります。

 こうして、「海外で戦争する国」づくりへの暴走は、戦後、保守政治がまがりなりにも掲げてきた諸原則すら、ことごとく否定するものとなっています。

 保守の立場にたつ作家からも、「問題を戦争で解決しないという誇りを日本の保守政党、自民党が守ってきた」、「今の自民党は、保守政党じゃなくて 右翼化した全体主義政党」という批判の声が寄せられていることは偶然ではありません。安倍政権の暴走は、保守の人々も含めて、日本国憲法の平和主義を守ろ うという広大な人々の大きな批判をよびおこさざるをえないでしょう。

 みなさん、日本国民の理性と良識を総結集し、今年を、「海外で戦争する国」づくりを許さない国民的共同を大きく発展させ、安倍政権の暴走を包囲していく年にしようではありませんか。(拍手)

靖国参拝に内外の批判広がる――歴史問題での逆流の一掃を

 安倍首相は、12月26日、靖国神社参拝という暴挙に打って出ました。

 靖国神社は、戦争中は、国民を戦場に動員する道具としての役割をになった神社でした。そしてこの神社は、現在も、過去の日本軍国主義による侵略戦 争を、「自存自衛の正義のたたかい」「アジア解放の戦争」と美化し、宣伝することを存在意義とする特殊な施設となっています。戦争を起こした罪を問われた A級戦犯が、戦争の犠牲者として合祀(ごうし)されている施設であります。この施設に首相が参拝することは、侵略戦争を肯定・美化する立場に自らの身を置 くことを、世界に向かって宣言することにほかなりません。首相は、「不戦の誓い」をしたと弁明しましたが、「不戦の誓い」に最もふさわしくない場所が、靖 国神社なのであります。

 第2次世界大戦後の国際秩序は、日独伊による侵略戦争を不正不義のものと断罪することを共通の土台としています。首相の行為は、今日の国際秩序に対する正面からの挑戦であり、断じて許すわけにはいきません。

 首相の靖国参拝に対して、内外からごうごうたる批判がわき起こっています。中国政府、韓国政府からのきびしい批判はもとより、米国政府も「失望し た」との異例の批判を行いました。さらに批判の声は、国連事務総長、欧州連合、ロシア政府、シンガポール政府にも広がりました。安倍首相は、自らがよって 立つ特殊な右翼的勢力――「靖国」派にこびを売る行動によって、文字通り、世界全体を敵にまわしたのであります。

 このような行動を続けるならば、日本は世界のどの国からもまともに相手にされない国となるでしょう。日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけ で反対を貫いた党として、今年を、歴史問題での逆流を日本の政治から一掃していく年にしていくために、全力をあげて奮闘するものであります。(拍手)

沖縄新基地建設問題――「沖縄は屈しない」という決意に全国が応えよう

 さらに、翌日の12月27日には、沖縄問題をめぐって重大な動きが起こりました。

 沖縄県の仲井真知事は、安倍政権が申請していた名護市辺野古(へのこ)に新基地を建設するための公有水面埋め立てを承認すると表明しました。これ は、辺野古移設反対という沖縄県民の総意を踏みにじり、「県外移設」という自らの公約にも背くものであり、沖縄県民に対する歴史的裏切りといわなければな りません。

 裏切った者の責任はもとより重大ですが、裏切らせた安倍政権の責任はさらに重いものがあります。安倍政権は、強圧をもって沖縄県選出の自民党国会 議員と自民党県連に「県外移設」の公約を撤回させ、新基地建設容認に転じさせました。そして、沖縄振興費など、「札束」の力で仲井真知事に圧力をかけ続け て、埋め立てを承認させました。アメとムチによって、公約を撤回させ、自分たちの仲間を裏切り者にして、新基地建設を押し付ける。これは民主主義の国では 決してあってはならない理不尽な暴政であり、断じて許すわけにはいきません。

 政府は、知事の承認によって問題が解決するかのように歓迎しています。しかし、実際には、これは手続き面での一段階にすぎず、新基地建設は簡単に 進むものではありません。「オール沖縄」の意思は、昨年1月の、沖縄の41の市町村長と議会議長が署名した「建白書」に示されるように、オスプレイ配備撤 回と、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念にあります。この声は、強圧や裏切りによって決して揺らぐものではありません。この総意を踏みつけにした暴走 によって、安倍政権は、沖縄県民全体を敵にまわすことになったのであります。

 日本共産党は、沖縄県民の総意を踏みにじる辺野古埋め立て承認の撤回を求めます。普天間基地の無条件撤去を強く求めてたたかいます。

 1月19日投票の名護市長選挙は、沖縄の未来のかかった重大なたたかいとなりました。私たちは、この4年間、辺野古の海にも陸にも基地をつくらせ ないという態度をきっぱり貫いてきた稲嶺ススム市長の勝利のために、多くの人々と手をつないで、全力をあげて奮闘します。この歴史的たたかいで必ず勝利を かちとるために、全国のみなさんのご支援を心から呼びかけるものです。(拍手)

 「沖縄は屈しない」――沖縄県民のこの決意に、全国が応えようではありませんか。今年を、「基地のない沖縄」「基地のない日本」に向けて、歴史が動いたと記録される年にするために、がんばりぬこうではありませんか。(拍手)

原発問題――国民世論によって、推進勢力を包囲・孤立させる年に

 私たちは、稼働原発ゼロで新しい年を迎えました。今年は、原発推進への暴走を許すのか、原発ゼロに道を開くのか。この問題をめぐっても激しい対決の年となります。

 安倍政権は、12月13日、原発を「重要なベース電源」として将来にわたって維持・推進し、「再稼働を進める」とした「エネルギー基本計画案」を 発表し、1月にも閣議決定しようとしています。こうした政府の姿勢を受けて、全国の48基の原発のうち16基が再稼働の申請を行っています。1月以降、さ らに再稼働申請の動きが続くとみられます。

 しかし、昨年末に行われた「毎日」の世論調査でも、原発の今後について、「今すぐ廃止」が24%、「将来は廃止」が59%で、合計83%と圧倒的 多数になっています。首相自身、「(再稼働を)決断するときには秘密保護法以上に国民世論は厳しくなるかもしれない」と語りました。日本社会を「3・ 11」以前の“原発依存社会”に引き戻そうとする時代逆行の道を暴走するならば、ここでも安倍政権は多数の国民を敵にまわすことになるでしょう。

 この分野で、原発ゼロをめざす運動が持続し、広がっていることは、大いなる希望であります。2012年3月に始まった首相官邸前の毎週金曜日の抗 議行動は、主催者の熱い思いと、参加者の熱意によって、85回を数えたとのことです。同様の抗議行動は全国各地に広がっています。節々で、東京と全国各地 で大規模な集会がとりくまれています。福島では、被災地復興と一体に「オール福島」で原発ゼロの運動が広がっています。これらは、日本の国民運動史上にも かつてない創意的で画期的な運動であります。

 みなさん、今年、この運動をさらに発展させ、圧倒的な原発ゼロを求める国民世論によって、原発推進勢力を包囲・孤立させる年にしていこうではありませんか。(拍手)

「アベノミクス」の本性があらわになった――抜本的対案示し奮闘しよう

 国民の暮らしをめぐっても、今年は激突の年となります。

 12月24日に発表された2014年度政府予算案は、「アベノミクス」なる政策の正体を浮き彫りにするものとなりました。国民には、4月からの消 費税8%への引き上げで、8兆円もの負担増が襲いかかろうとしています。社会保障でも、年金、生活保護の削減に加えて、お年寄りの医療費の窓口負担増な ど、あらゆる分野で手あたり次第の切り捨てが進められようとしています。

 その一方で、大企業に向けては、復興特別法人税の廃止など大減税をばらまき、「国土強靱(きょうじん)化」の名で、東京外環道をはじめ三大都市圏 環状道路、国際コンテナ港湾など、巨大公共事業に税金をばらまこうとしています。新「中期防」の初年度として、2年連続で軍事費が増額されようとしていま す。

 消費税大増税で庶民から吸い上げ、大企業と軍拡に税金を注ぐ――あまりの逆立ちぶりに、メディアからも、「家計 増す重圧 優遇策は企業偏重」(「毎日」)、「暮らしより安保 増税の痛み顧みず」(「東京」)など、批判が寄せられました。

 首相は、昨年末、株価が上がったことをもって、「来年もアベノミクスは買いだ」と自慢げに語りました。しかし、金融的操作で一時的に株価が上がっ ても、庶民に恩恵はありません。何よりも働く人の賃金は下がり続けたままであり、消費は低迷し、経済成長も急減速しています。「アベノミクス」の本性はす でにあらわになっているのであります。ここに巨額の負担増をかぶせれば、暮らしと経済をどん底に突き落とすことになることは、明らかではありませんか。

 日本共産党は、「4月からの消費税増税中止」の一点で、国民的共同を広げ、増税の実施を阻止するために、最後まで力をつくします。働く人の賃金と 安定した雇用を増やして日本経済を立て直す、消費税に頼らない別の道で社会保障充実をはかり、財政危機を打開するという、抜本的対案を示して、奮闘するも のであります。

今年を、国民運動でも党建設でも画期的成果を記録する年に

 秘密保護法、「戦争する国」づくり、靖国参拝、沖縄基地問題、原発問題、暮らしの問題と見てきましたが、どの問題でも、今年は、安倍政権の暴走と国民のたたかいが激突する年となります。

 安倍政権の暴走は、国民多数の声に背き、世界の流れに背く逆流であります。この暴走の先に未来はありません。逆流は、必ず歴史と国民によって裁かれます。大義は国民のたたかいにあります。ここに深い確信をおいて、新しい年にのぞもうではありませんか。

 そして、どの問題でも、国民多数の声にたって、この暴走と正面から対決できる党は、日本共産党をおいてほかにありません。今年は、「自共対決」こ そが、日本の政治の真の対決軸であることが、いよいよ際立つ年となるでしょう。また、そういう年としていくために、力いっぱい奮闘しようではありません か。(拍手)

 2月9日投票の東京都知事選挙は、都政の進路とともに、安倍政権の暴走への審判をくだす重大な意義をもつたたかいとなりました。すでに、1年前に 都政刷新のために奮闘された宇都宮健児氏が出馬表明をされ、近く公約などを正式に発表するとのことであります。党としての態度表明は、それを受けておこな うことにしたいと考えています。日本共産党は、政策で一致する政党、団体、個人の共同のたたかいの一員として大いに奮闘し、都知事選の勝利をめざして全力 をあげる決意であります。(拍手)

 歴史的党大会は目前に迫りました。「党勢拡大大運動」の目標総達成に正面から挑戦し、党勢の大きな高揚のなかで党大会を大成功に導こうではありま せんか。そして、今年を、あらゆる分野での国民運動の発展に力をつくすとともに、強く大きな党をつくる仕事でも画期的な前進を記録したといえる年としよう ではありませんか。

 一つひとつの中間地方選挙で着実な勝利を積み重ねながら、来年のいっせい地方選挙、来るべき総選挙と参議院選挙では、開始された党躍進を本格的な流れに発展させる成果を必ずかちとろうではありませんか。

 今年を新しい躍進の年にしようではありませんか。そのことを最後に呼びかけて、年頭にあたってのあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)

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安倍・自公政権が最重要視する日米同盟関係にも矛盾が生まれている!

2014-01-04 | 世界の変化はすすむ

2014外交展望

国際的に孤立、日米同盟にも矛盾 行き詰まる安倍外交

 
 
 

 

 “展望なき安倍外交”―。今年の日本外交を展望すれば、こうした言葉がぴったりきます。昨年末の安倍晋三首相による靖国神社参拝は、中国、韓国との関係ばかりでなく、世界各国との関係でも矛盾を広げています。日本外交の行き詰まりは誰の目にも明らかです。(榎本好孝)


靖国神社参拝 米批判は異例

 安倍首相は昨年1年間でのべ29カ国の外国訪問をこなしてきました。第1次安倍政権時(2006年9月~07年9月)ののべ20カ国に比べても際立った多さです。年初からも中東、アフリカ、スイス(世界経済フォーラム出席)、インドと立て続けに外遊します。

 しかし、第1次政権時と違い、最も近い中国と韓国を訪問できず、首脳会談の展望も開けませんでした。

 最大の壁となっているのは、領土問題での対立に加え、日本による過去の植民地支配と侵略戦争を美化しようとする安倍首相の姿勢です。

 特に、昨年末の靖国神社参拝は、首相自ら侵略戦争を肯定・美化する立場に身を置いたことを意味し、中韓両国との亀裂を修復不能といわれるまでに広 げました。批判は中国、韓国にとどまらず、米国やロシア、ヨーロッパにも広がり、文字通り「世界全体を敵に回す」(日本共産党の志位和夫委員長)ことにな りました。

 なかでも注目すべきは、安倍・自公政権が最重要視する日米同盟関係にも矛盾が生まれていることです。

 アジア太平洋重視の「リバランス」(再配置)戦略の下で中韓両国との緊張緩和を日本に求めてきた米政府は、首相の靖国参拝について「失望」を表明しました。米軍準機関紙「星条旗」は「最も親密な同盟国に向けられた異例の批判」と報じました。

 沖縄の米軍新基地建設問題をめぐり、首相の靖国参拝翌日に予定されていた小野寺五典防衛相とヘーゲル米国防長官との電話会談も米側の申し出で取りやめになりました。防衛省関係者は「靖国参拝がなければ電話会談は実現できていただろう」と語っています。

 一方、仲井真弘多・沖縄県知事に強圧を加え米軍新基地建設のための埋め立てを承認させた安倍政権は、今年1年をかけ、予定地の名護市辺野古沿岸部の調査と設計に乗り出そうとしています。

 しかし、新基地建設反対という沖縄県民の総意は揺らいでいません。今月の名護市長選をはじめ、安倍政権は県民世論と激突せざるを得ません。今後の米国との調整でも、靖国問題が影を落とす可能性があります。

戦争できる国 動きが本格化

 安倍・自公政権は昨年末、中国への軍事的対決姿勢を前面に打ち出した「国家安全保障戦略」と新たな「防衛計画の大綱」を決定しました。これらに基づいて、尖閣諸島など南西諸島の防衛を口実に、本格的な戦争態勢づくりを進めようとしています。

 中国の軍事的台頭を口実に、日本を海外で戦争ができる国にする集団的自衛権行使への動きも本格化します。首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は年明けから、集団的自衛権の行使解禁を提言する報告書のとりまとめに入ります。

 米軍と自衛隊の役割・任務分担を定めた「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」の改定作業も年内の終了が目標になっています。

 一方、米国は、尖閣諸島をめぐる“不測の事態”が米軍を巻き込んでの本格的な紛争に発展することを懸念。日中間の緊張をこれ以上激化させないよう 促してきました。日本の集団的自衛権行使への動きについても歓迎を表明しつつ、中国や韓国を刺激しないようくぎを刺してきました。

 安倍首相が「戦争する国」づくりを進めれば進めるほど、国民との矛盾が激しくなるだけではなく、米国の戦略とのあつれきも強まらざるを得ません。

 オバマ政権は2月に「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」を議会に提出します。アジア太平洋地域への「リバランス戦略」がどのように反映されるのか注目されます。

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福祉・暮らし・営業の充実を進める都政への転換を訴えました。

2014-01-03 | 市民のくらしのなかで

国民の共同広げよう

日本共産党が新春宣伝

 
 
 

 

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(写真)高尾山参拝客に新年のあいさつを行う(前列右から)清水、田村、吉良、笠井の各氏、松本良子市議=1日、東京都八王子市

 日本共産党は衆参国会議員や地方議員が党支部・後援会員らとともに、元日から初詣でにぎわう神社前や商店街などで安倍政権の暴走と対決し、新しい日本を目指しますと訴えました。

東京で笠井・田村・吉良氏

 東京都八王子市の高尾山登山口で1日、日本共産党の笠井亮衆院議員、田村智子、吉良よし子両参院議員、清水ひで子都議、党八王子市議団が参拝客らに新年のあいさつを行いました。

 笠井氏は「暮らしと平和を守るため、積極的な提案を示し、国民の共同を広げ頑張る」と表明。安倍政権が消費税増税や原発再稼働を進めようとする 中、「増税ストップ、賃上げで景気回復を。原発即時ゼロで力を合わせよう」と呼びかけました。23日告示、2月9日投票で都知事選が行われることにふれ、 「安倍政権の暴走ストップ、清潔で暮らしを守る都政実現のため日本共産党も全力をあげる」と力を込めました。

 清水氏は、昨年都議選で日本共産党が議席を倍増し、その力で猪瀬直樹前知事の徳洲会裏献金疑惑の追及に取り組み、辞職に追い込んだとのべ、福祉・暮らし・営業の充実を進める都政への転換を訴えました。

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あけましておめでとうございます。 やっぱり、人間の尊厳というものがそうさせるのかな。

2014-01-02 | ちょっと気になるマスコミ報道

新春対談

バイオリニスト・荒井英治さん 音楽の一番深い意味

日本共産党委員長・志位和夫さん 時代超え人々励ます

ショスタコーヴィチと秘密保護法と

 
 
 

 

 

 バイオリニストで東京フィルハーモニー交響楽団のソロ・コンサートマスターとして活躍する荒井英治さんと、志位和夫委員長が、音楽から政治、社会の問題まで縦横に語り合いました。


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 志位 あけましておめでとうございます。

 荒井 おめでとうございます。

 志位 荒井さんは何と言ってもショスタコーヴィチ(旧ソ連の作曲家)の弦楽四重奏曲に情熱を傾けて取り組んでおられるということ で、僕もショスタコーヴィチは大好きな作曲家なのでとても身近に感じて聞かせてもらっています。荒井さんの演奏するバイオリン協奏曲第2番、弦楽四重奏曲 第13、14、15番を聴きに行きました。CDも聴いています。

 荒井 ありがとうございます。志位さんは音楽に詳しい政治家だと存じ上げていたのですけど、僕がショスタコーヴィチのバイオリン協 奏曲第2番を弾いたときに聴きにいらしてくださって、そのときお話ししたのが最初の出会いでした。ショスタコーヴィチが好きだというお話をうかがって、存 在がとても身近に感じましたね。あのとき、演奏中にバイオリンの弦が切れたんですよ。(笑い)

 志位 あっ、そうでしたね(笑い)。普段は東京フィルでコンサートマスターをしてらっしゃいますけど、コンサートマスターとはどういうお仕事なんですか。

 荒井 コンサートマスターというのは、オーケストラの音楽面でのとりまとめ役といいますか、モーツァルトの頃までは今のような指揮 者がいませんで、バイオリンのリーダーが弾きながら弓でメンバーに合図をしていたのです。その名残がコンサートマスターという称号で、今では指揮者をサ ポートするような役目ですね。志位さんが、ショスタコーヴィチにひかれたのはどういうことから。

 志位 ショスタコーヴィチは、旧ソ連のスターリンの圧政下で、その暴圧に抗して、芸術家としての良心を守り抜いた作曲家ですが、僕 は、彼の音楽は、時代は違っても、あらゆる世の中の暴圧とたたかっている人々へのエールにもなっていると思うんです。いま、日本を「戦争する国」にするき な臭い動きがあるじゃないですか。それとたたかっている人々への励ましのメッセージにもなっていると思います。

 荒井 そうですよね。音楽というのは、心の安らぎだったり癒やしだったりするのかもしれないけれど、一番深いところの意味っていう のは、人々に勇気をあたえる、困難に立ち向かうものを呼び覚ますようなパワーをあたえるところにある。いま、どんどん世の中が右傾化していると思うのです けれども、僕なんかも流されてしまうかもしれないけれども、その中で良心に従って「これはおかしい」と声を上げていく、そういう力は抹殺できないですよ ね。

 志位 できないですね。昨年、秘密保護法に反対してあらゆる分野で声が上がったじゃないですか。法律家のみなさんから、吉永小百合さん、山田洋次さんなど映画界の人まで、これはおかしいと。

 荒井 秘密保護法は怖い。戦争中を思い出させるような、治安維持法とかありましたでしょう。国民が疑心暗鬼になって、人間同士の信頼が失われていくような、本当に恐ろしいものじゃないかと思います。しかも、そういう圧政はニコニコしながらやって来るんですよね。

暴圧者が恐れた音楽の力 志位さん

“人間の声”が魂に訴える 荒井さん

バイオリン協奏曲第1番の衝撃

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 志位和夫 1954年、千葉県生まれ。東京大学工学部物理工学科卒業。1990年から2000年まで日本共産党書記局長。2000年幹部会委員長、衆院議員。

 志位 僕の最初のショスタコーヴィチ体験というのは、中学生の頃にFMラジオで聴いた、レオニード・コーガン(旧ソ連のバイオリニ スト)演奏のバイオリン協奏曲第1番でした。「夜想曲」から始まってとても不気味な感じがしましたね。こんな音楽がこの世にあるのかと驚いて、録音した テープを何度も聴きました。

 荒井 そうですか。僕も初めてバイオリン協奏曲を聴いたのがコーガンの演奏でした。

 志位 そうすると同じ盤の。

 荒井 そうだと思います。僕はバイオリンを小学校4年生、10歳のときから始めたのですけども、僕もあの曲は怖い曲だなと思いました。第1楽章は、何か僕は、独房に入れられて小窓があって、そこから格子の向こうに見える月を眺めているような、そんな風景を思い描いたんですね。

 志位 僕は、何というか、うっそうとした薄暗くて不気味な森があって、沼がいっぱいあるような、そこを歩いているような感じ。

 荒井 何か、言い知れぬ闇を感じますよね。

 志位 そうですね。あの曲をショスタコーヴィチが作曲したのが1947~48年、初演が1955年で、スターリンが死ぬ(53年)までは初演できなかったわけです。

「悔い」を拒み交響曲第4番作曲

 志位 ショスタコーヴィチはスターリン体制のもとで、2度にわたって命の危険にさらされています。最初は、1936年から37年の時期です。オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に対して1936年に「プラウダ」(ソ連共産党機関紙)が突然乱暴な非難をくわえた。

 荒井 「音楽の代わりの荒唐無稽」という批判ですね。

 志位 悪名高い批判です。スターリンは一種の直感で、これは危ないなと感じたのではないか。これは民衆の心を歌っていると、民衆の心に訴える強い力を持っている。こういう音楽は危ないぞ。そう恐れたからこそ、弾圧しようと考えたと思うのです。

 荒井 そうそう。ショスタコーヴィチは民衆を扇動していると。スターリンはこのオペラを劇場で見ているんですよ。聴衆はすごい拍手喝采していたでしょうから。

 志位 大喝采ですものね。音楽というのは人間の心に直接訴えかけるものではないですか。言葉というのは論理や事実で語りかけてくるものですが、音楽は直接魂に訴えかけてくる。音楽がそういうものであればあるほど、スターリンのような暴圧者は恐れたのだと思います。

 荒井 音楽そのものは理解できなくても、音楽の持つ力については理解していた。

 志位 そうですね。だからこそ迫害した。このときは、ショスタコーヴィチは本当に危なかったわけです。ガリーナとマクシムという彼 の2人の子どもの回想録(『わが父ショスタコーヴィチ』)が出ているのですが、それによると、1937年にトハチェフスキーという赤軍の元帥が処刑され る。そのとき、彼と親交があったということでショスタコーヴィチも危うく間一髪で粛清されるところだったという話も出てきます。

 こういう危機の時期にあって、ショスタコーヴィチが書いたのが、交響曲第4番(作曲は1934~36年)でしょ。

 荒井 そうですね。

 志位 彼は、「『プラウダ』の批判にたいして、私は悔いることを拒否した。悔いる代わりに私は交響曲第4番を書いた」といっています。

 荒井 まさにそういう内容ですね。それこそ民衆の怒り、不安をあらわすいろいろな内容が入っている。

 志位 交響曲第4番は大変な傑作だと思うんですが、これは、そのすぐあとにやってきたスターリンの大量弾圧を予言するような内容がありますね。

 荒井 そうです。まさにそういった民衆を押しつぶすような圧力を感じさせるようなものがあります。

 志位 だから、すぐに演奏できなくて、初演されたのは25年後の1961年でした。

 荒井 あれはよほどつらかったのではないかと思います。あの曲は僕は3度くらいしか演奏してないですけれども、第3楽章になると、 何ていうか、巨大な墓地に寒風が吹きすさぶ中で一人立っていて、自分たちの仲間や家族がみんな亡くなって眠っていて、自分は生き残っていて何か語りかけて いるような、そういったイメージを持って演奏しますね。そうさせられる。

 志位 最後は、短調のピアニッシモで終わりますね。

 荒井 そうです。あのへんを演奏しますと、バルシャイ(ソ連の指揮者・ビオラ奏者)も、「人間、一番悲しいときは、もう涙も出てこ ない、そういう悲しさなんだ」と言っていましたが、そういうものを感じますね。ショスタコーヴィチの15の交響曲のなかで短調で終わるのは、あの曲だけな んですね。

 志位 あの終わり方は、ピアニッシモなのに心に突き刺さるような恐ろしい力がありますね。

スターリンの暴圧を風刺・告発

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 荒井英治さん 1957年生まれ。桐朋学園大学に学ぶ。新星日本交響楽団、東京交響楽団のコンサートマスターを経て、現在は東京フィルハーモニー交響楽団ソロ・コンサートマスター。

 志位 ショスタコーヴィチの2度目の危機は、1948年のジダーノフ(ソ連共産党政治局員)からの「形式主義的・西欧追随的」とい う批判です。このときも大変な苦境に立たされるわけですけれども、彼がとった行動というのは、スターリンの暴圧を厳しく風刺・告発する「反形式主義的ラ ヨーク」という曲をひそかに作曲することでした。

 荒井 そうです。公開で初演されたのは死後ですよね。

 志位 死後ですね。この時も、芸術家としての良心を、内面では守り通した。バイオリン協奏曲第1番という大傑作を残したのも、2度目の弾圧を前後した時期でしょ。

 荒井 そうですね。

 志位 そう考えると、私たちは、スターリン以後のソ連社会について、強制的な農業集団化や大量弾圧を経て社会主義とは無縁の覇権主 義と専制主義の社会に変質したと厳しく批判していますけれども、そういう中で、それに屈せずに、人間の良心を守って、それで深い精神性をたたえた記念碑的 傑作を残したというのはすごいことだと思いますね。

 荒井 ショスタコーヴィチの音楽にはユダヤ人をテーマに扱ったものがありますね。スターリンはユダヤ人を迫害していますよね。それがわかっていて迫害された人々へのシンパシー(共感)を音楽にしています。

 志位 バイオリン協奏曲第1番にも、ユダヤ的調子があらわれていますね。

人間としての良心 今でもお手本

 志位 僕は、15の交響曲のなかで、一番好きなのは第4番で、最高傑作だと思っているのは第8番(1943年)ですが。

 荒井 僕もそう思います。僕も4番と8番です。15番(1971年)も大好きなんですけれど。

 志位 その点も含めて一致しました(笑い)。4番と8番というのは、スターリン体制の抑圧のなかで、ものすごい葛藤をかかえながら、どんなことがあっても芸術家の魂を守り抜くぞという固い信条のようなものが貫かれていて、ものすごく好きですね。

 荒井 ショスタコーヴィチの素晴らしいところは、弱いところでファゴット一本にずっと演奏させる。クラリネットであったりフルートであったりチェロとか。延々と演奏させる。

 志位 独白するような。

 荒井 そう。あれって一人の人間としての声なんですよね。これは人間の心情といいますか、魂に訴えかけてきますね。交響曲8番では、第3楽章の行進曲がすごい。背筋が寒くなるような。恐ろしい音楽ですね。

 志位 恐ろしいですね。恐怖社会のなかでの人間の痛切な叫びが込められている。第3楽章から第4楽章に移るときの和音は、奈落の底に突き落とされるような感じを持ちますね。

 荒井 無理やり連行されていくような。

 志位 そう。連行されていくような。

 荒井 これは本当に傑作だと思うんですけれど、彼の音楽のいたるところに、社会の姿があらわれている。当時これを、演奏を生で聴いたロシアの人たちというのは、みんな言葉がなくても、言いたいことが全部わかっちゃう。

 志位 うん。わかっちゃう。

 荒井 ここに全部、縮図としてあらわされていますよね。

 志位 本当に。すごい曲をつくったものですね。

 荒井 やっぱり、人間の尊厳というものがそうさせるのかな。

 志位 どんな強大な権力でも、芸術家の良心をつぶすことはできないぞ、という強い意志がありますね。僕は、スターリンのもとでの旧 ソ連社会というのは、たくさんの迫害や裏切り、むごたらしい犠牲者を生んだけれども、そこにはそれに抵抗して、人類の歴史に残る芸術的文化的遺産を残した 人間の不屈の営みもあったということも、記録されるべきだと思います。

 荒井 もちろんショスタコーヴィチほどの才能が無ければ到底できないことだと思うんだけど、それにプラス意志ですよね。いくらでも 書ける才能を持っていたけれども、そういう人が本当に書きたいものに心血を注ぐとこういうものができるんですね。そういう人がいたということは、単に時代 の証言であるにとどまらないで、今の世の中でも何か人間としての良心のお手本であるように思います。

 志位 どんな権力をもっていようと、人間の良心を押しつぶすことはできない、真の芸術家の魂を思うように操ることはできない、人間の素晴らしさを示していると思いますね。

国民の素晴らしいエネルギー

 志位 時代が違うけれども、たとえば今の日本ってずいぶんきな臭いじゃないですか。秘密保護法とか。ああいう暴政とたたかうときに、ショスタコーヴィチの音楽は、時代が違っても、励ましになりますよね。

 荒井 そうですね。困難に立ち向かうパワーを呼び覚ます力がありますね。ピカソの「ゲルニカ」もそうですよね。あそこから出てくる 強烈なメッセージ、エネルギーというのはやはりすごい、人々の胸を打ちます。僕はテレビは天気予報を見るためにつけるのだけれども、最近はニュース番組を 見ていてもだいたい腹が立って消しちゃうんです。偏向報道と感じるときもあるし、何かアナウンサーが自分の言葉ではなくて、何かこういうふうに言わされて いるような、そういうことがすごくもどかしい。

 志位 芸術家の直感ですね。(笑い)

 荒井 秘密保護法についても、反対の声はほとんど紹介してきませんでしたよね。

 志位 テレビ局によっていろいろでしたが。そんななかで、私が希望だと思ったのは、これまでにない広大な国民が声を上げたことで す。たとえばノーベル賞を受賞された益川敏英さんや白川英樹さんを含め学者・研究者の方が「特定秘密保護法案に反対する学者の会」をつくって、賛同者を 募ったら、3500人以上の方が集まって、5000人を目指しているというのですね。法案が通った後でも、名称から「案」だけはずして、「特定秘密保護法 に反対する学者の会」になって、廃止運動をしているといいます。これは平和や民主主義を守ろうという日本国民の素晴らしいエネルギーを示していると思いま す。

 荒井 音楽家は少なかったですね。音楽家は団結しにくい。(笑い)

 志位 今からでも遅くありませんよ。(笑い)

弦楽四重奏団で被災地を巡る

 志位 荒井さんは、モルゴーア・クァルテットという弦楽四重奏団の活動で、最近、プログレッシブ・ロックにもとりくんでおられるん ですね。私も、CDで何曲か拝聴しました。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲なんかも、たとえば5番などを聞くと、ロックのビートが聞こえてくるようなと ころがあります。つながっているものがありますね。

 荒井 そう。そうです。モルゴーア・クァルテットはショスタコーヴィチの全弦楽四重奏曲を演奏することを目的につくったのですが、 プログレッシブ・ロックにも挑んでCDも出しました。今、第2弾をつくっているんです。志位さんがご存じかどうか分からないですけど、ピンク・フロイド (イギリスのロック・バンド)で「原子心母(げんししんぼ)」という有名な曲があって。

 志位 ええ、知っています。

 荒井 もとの題は「アトム・ハート・マザー」といって、原子力の心臓ペースメーカーを埋め込んで生きながらえている妊婦のことを書 いた新聞記事にちなんだものなのです。曲自体は反原発とかまったく関係ないのですけれども、その曲を今度アレンジするにあたって、原子力となるとやはり福 島のことが。

 志位 原発事故ですね。

 荒井 震災後の6月には、モルゴーア・クァルテットは福島市の3カ所を回って演奏したんですが、なかなか、こちらの方も苦しい気持 ちでしたね。クァルテットでビオラを弾いている小野富士(おの・ひさし)は福島市の出身なんですね。音楽を受け入れてくださる方もいますけど、やはりまだ 音楽なんか聴けるような心境ではないという人もたくさんいらっしゃるということが分かって、胸が痛むような思いだったのです。そんなことがありまして、こ の原子心母をアレンジするときに、僕としてはちょっと細工しまして、「3・11」という数字を曲に取り入れたのです。ここでそのネタばれをしてしまうとつ まらないのですが。

 志位 ショスタコーヴィチも、自分のイニシャル(D・Es・C・H)を音にして曲のなかにたくさんちりばめていますが、ショスタコーヴィチの精神が生きてますね。(笑い)

 荒井 そうですか。ちょっと、その気持ちがね。あと、キース・エマーソン(イギリスのキーボード奏者・作曲家)という人が去年、吉 松隆さんという作曲家の還暦コンサートのために来日しまして、コンサート後のパーティーで会ったのですけれども、そのときに「自分は福島の被害でとても心 が痛んでピアノ曲(『日出(い)ずる国へ』)を書いた。それをクァルテットにしたらどうか」と提案を受けたのです。だからそれも取り入れたのですよ。そう すると、全体として震災の犠牲者にささげるというイメージのアルバムになるような気がして、そのためにも頑張らなければと思っているところです。これはい いアルバムにしなければいけないな、と思っているところです。

 志位 それは楽しみですね。福島原発事故の被害を受けて苦しんでいる方々に、思いが伝わるといいですね。でも、その細工は、よほどよく聴かなければ分からないかも。

人間を痛めつける社会変えねば

 志位 4月から消費税が8%に上げられることが計画されています。私たちは中止を求めているのですが、上げられたらコンサートの運営も大変になるでしょう。

 荒井 もうこれ以上チケット料金は上げられませんしね。本当に大変なんですよ。人件費はかかりますし、これを効率化するなんてでき ないですからね。マーラー(オーストリアの作曲家・指揮者)の交響曲といったら100人必要なのです。それを50人に減らしましょうなんていうことは成り 立たないんですよ。ですから、経済状況が悪くなると、ますます生演奏を聞けなくなってしまいます。今、文化予算は国の予算の…。

 志位 0・11%です。

 荒井 ひどいですね。何とか国の助成金を引き上げてほしい。

 志位 消費税増税の問題とともに、「過労死」を生むよう長時間・過密労働や、派遣労働などの「使い捨て」労働といった問題があります。人間の働き方をまともにしないと、コンサートどころか、文化的要求を満たす時間も金もない。

 今、安倍政権が「成長戦略」といって、「企業が世界で一番活動しやすくなる国」をつくるといっていますが、解雇を自由にするとか、派遣労働を野放 図に拡大するとか、「ただ働き」を合法化するとか、「働く人が世界で一番粗末にされる国」にしていく方向ですから、ますますコンサートなど遠くなります。 消費税増税にしても労働法制の改悪にしても、働く人が粗末にされる社会では、文化が豊かに発展する土台そのものがどんどん細っていくことになる。そんな社 会では立ち行きません。

 荒井 人間、とくにこれからの日本を背負って立つ若者が特にそうだと思うのですけれども、健康で職につけて、力を発揮できてこその 社会ではないですか。どんどん賃金を下げたり、解雇が自由になったり、今のあり方はすごく逆だと思うんです。もっと底辺の人たちに目を向けてほしいです よ。人間あっての社会ではないですか。そこを痛めつけているのは、砂上の楼閣のような、弱い日本になってしまうと思います。

 志位 その通りですね。働く人が粗末にされ、「使い捨て」にされていては、経済も立ち行かなくなるし、社会も病んでいきます。

 私たちは、ここをただそうと主張しています。長時間・過密労働、「使い捨て」労働、ブラック企業をなくしていく。人間らしい雇用を拡大し、賃上げ を実現する。人間らしく生きることができる社会保障を築く。消費税増税をやめさせる。国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」を築きたい。今年、 日本共産党は26回目の大会を開きます。「国民の苦難のあるところ日本共産党あり」の精神で、大いに頑張りたいと思います。

「軍事力」より「文化力」の政治を

 荒井 私は週に半分以上は東京の音楽大学で教えているのですけれども、今の学生たちを見ていて思うのは、自分が考えるより先に「あ あしなさい、こうしなさい」とあてがわれて育ってきて、自分で物を考えるということが弱いのではないかと。オーケストラというのは、一人ひとりが全体のた めに埋没するんじゃなくて、一人ひとりが自立して自分の感性・自分の気持ちを持って演奏して、それでお互いに聴きあってアンサンブル(合奏)する。これ は、自分の意見を持ちつつ、どうしたら意見のすり合わせをするか、社会の縮図だと思っているんです。

 志位 なるほど。

 荒井 教える方としては、「ああしなさい、こうしなさい」と強制するのではなくて、自分が何を感じるのか、何をしたいのかというの を見つけさせて、まず自分の心にあるものを探しだす、自分の声を見つけ出す方向へ導きたい。これが今年の抱負かな。音楽とは、音楽家が自分の中に持ってい る叫びなんですね。愛する気持ちや怒りだったり、自分の中の叫びが音楽なんですね。社会を構成する人間としても、自分の意見を見つけて発言する。音楽を通 じて自分の意見を伝えようとする。その気持ちなしに音楽はなりたたないんですね。

 志位 そのためにも自由な社会でなければいけないですね。

 荒井 そうです。この間、ある講座で「オーケストラの歴史」というテーマで話したのです。調べてみて面白かったのですが、ルネサン ス時代というのは王侯貴族がいろいろいて、そうした君主が自分の力をアピールするのが、「軍事力」、「経済力」と同じように「文化力」だったのですね。王 侯貴族が優秀な音楽家を集めてオペラを上演して、自分の領土ではこんな素晴らしい上演ができるんだという「文化力」が誇りだったのです。今は「軍事力」は いらないけれど、ルネサンス時代の人は現代人よりも賢かった、見識が高かったのではないかと、今の日本の現状を見て思うところがあります。

 志位 なるほど。レオナルド・ダ・ビンチを召し抱えたミラノ公・ルドヴィーコ・スフォルツァも、「軍事力」「経済力」だけでなく、ダ・ビンチの「文化力」が必要だった。

 そう考えると、安倍政権の現状はひどいものです。来年度予算案は軍事費をうんと増やすという。「国家安全保障戦略」を策定し、「海外で戦争をする国」づくりに急いでいる。「軍事力」にはことのほか熱心です。

 「経済力」はどうか。もっぱら財界・大企業にさえもうけさせればよい。税金も、庶民からは消費税大増税で吸い上げ、大企業には減税をばらまく。これでは日本経済も立ち行きません。

 そして「文化力」には、まともな関心をもたない。国の予算も文化にはすずめの涙しかあてない。これが今の政治ですから。

 荒井 ですよね。

 志位 これは根底から変えないといけませんね。

 荒井 もうぜひ、そうしてほしいですよ。戦争に協力してくれそうな企業は大事にするという構図なんでしょうか。

 志位 秘密保護法を強行したというのも、平和や民主主義、暮らしを守ろうという国民のたたかいを許さないために、まず国民の目と耳と口をふさいじゃえというわけですからね。これはショスタコーヴィチの抵抗の精神で断固拒否していかないと駄目ですね。

 荒井 そうですね。みなさんにぜひ、ショスタコーヴィチを聴いていただきたいですね。(笑い)

 志位 きょうはどうもありがとうございました。

 荒井 また演奏会にいらしてください。


 ドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906~75年) 旧ソ連の作曲家。13歳でペトログラード音楽院に入り、19歳に卒業作品とし て作曲した交響曲第1番で世界から天才作曲家として認められました。36年に「プラウダ批判」、48年に「ジダーノフ批判」を受けますが、スターリン圧政 下でも芸術家としての良心を守り抜き、15曲の交響曲、15曲の弦楽四重奏曲をはじめ、あらゆる分野に多くの傑作を残しました。

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新年のご挨拶

2014-01-01 | 日本と韓国・朝鮮・中国との友好

2014年 明けましておめでとうございます。


旧年中はお世話になりました。


本年もよろしくお願いいたします。



 

       約2000人が共産党入 「赤旗」読者は7600人増   12月

 

 
 
 

 

 日本共産党は1月15日から開く第26回党大会の成功めざしてとりくんでいる「党勢拡大大運動」で、昨年12月度、約2千人の新入党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者は日刊紙1800人、日曜版5800人、あわせて7600人前進しました。

 

 昨年の東京都議選と参院選で躍進し、秘密保護法など安倍政権の暴走に正面から対決する党への共感・期待が高まりました。党躍進の本格的な流れをつくる展望を示す党大会決議案の討議を力に、「政治を変える根本的な力を大きく」と、全国の党組織が奮闘しました。

 

 党員拡大は一昨年7月以降最多の入党数で、地域や職場をはじめ、法曹界、宗教者、研究者、農民、中小企業家など多彩な分野の人々が各地で党に加わりました。青年・学生分野での入党も広がり始めています。

 

 12月に、日刊紙・日曜版あわせて7千を超える読者を前進させたのは20年ぶりのことです。党本部への購読申し込みも230人から寄せられました。

 

 「大運動」は1月末までおこなわれます。

 

 

 

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