みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

上野さんの最新刊『ニーズ中心の福祉社会へ 当事者主権の次世代福祉戦略』と『ケアその思想と実践4』

2008-10-12 17:18:59 | ジェンダー/上野千鶴子
先日「東大ジェンダーコロキアム」に行ったとき、
上野千鶴子さんの最新刊を何冊か入手してきました。

まずは、『当事者主権』を書いた中西正司さんとの共編著、
『ニーズ中心の福祉社会へ 当事者主権の次世代福祉戦略』。

分厚い本ですが、読みやすくて、とてもよい本です。

この本は、つれあいにも読んでほしいので、
わざわざ連名でサインをもらってきました。
ともちゃん、ちゃんと読んでね。

  
『ニーズ中心の福祉社会へ 当事者主権の次世代福祉戦略』
(上野千鶴子・中西正司 /医学書院 /2008.9)

「当事者になる」ことは、みずからニーズの主体となり、社会がそれを満たす責任を要求するクレイム申し立て活動と不可分である。いまだ存在していないニーズを生成し、顕在化させるプロセスは、どういう社会がのぞましいか、という社会構想力をともなう創造的な過程である。それには、規範的、政治的な選択が関わってくる。「ニーズ中心」という本書の立場は、そのための理論的基礎を提供することを目的としている。

理念(当事者とは誰か?―ニーズ中心の福祉社会のために);
ニーズとサービス(ケアサービスのシステムと当事者主権;
高齢者のニーズ生成のプロセス―介護保険サービス利用者の語りから;
ニーズはなぜ潜在化するのか―高齢者虐待問題と増大する「息子」加害者);
事業(福祉多元社会における協セクターの役割;
福祉事業における非営利・協同セクターの実践―
生活クラブ生協千葉の事例から);
制度(三つの福祉政府体系と当事者主権;
これからの社会保障政策と障害福祉
―高齢者ケアとの統合を含む社会サービスの可能性を視野に);
アクション(楽観してよいはずだ;
当事者主権の福祉戦略―ユーザユニオンの結成へ)


最初からずっと読んできて、共感するところ、目からウロコで納得、も多く、
大沢真理さんの地方政府と中央政府のかかわり方はそのとおりと思ったのですが、
最後の章でちょっと違和感がありました。

「当事者主権の福祉戦略」のユーザユニオンの結成はよいのですが、
「政治参加の手法」は代弁・代表の論理なので、
市民自治にかかわっているわたしとしては、
国や政府官僚だけが相手ならこれでよいのかもしれませんが、
自治体政治も同じでよいとは思えず、
もう少し書き込んでほしかったと、もの足りない感じがします。

「次世代戦略」というのなら、政治過程の手法も、
「当事者主権の次世代戦略」でなくちゃ。
前著の『当事者主権』を読んだときには感じなかった「意外な発見」です。



 『ケア その思想と実践 4』(岩波書店)
「家族のケア 家族へのケア」


岩波書店の『ケア その思想と実践』シリーズの最終巻の
「家族のケア 家族へのケア」がどこを探してもみつからないので、
上野さんが余分をお持ちでないかたずねてみたら、
なんと、この日、著者にも届いたばかりということで、
出来立てのほやほやを一冊分けていただきました(嬉)。


先月買った「6ケアを実践するしかけ」には、
上野さんが書かれた「先進ケアを支える福祉経営」も収録されています。


『ケア その思想と実践 6』(岩波書店)
「ケアを実践するしかけ」

政府による社会政策が、家族や企業、NPOなどの制度・慣行と好適にかみ合ってはじめて、誰もが公平に良質なケアを受けることが可能となる。病院、NPO、生協、ケア産業、第三者評価機構、地域社会など、さまざまなセクターでの実践例を紹介。その分析を通して、日本の「福祉混合」の最適化の方向を提言する。

福祉の最適混合を目指して;
地域でターミナルケアを支える―ケアタウン小平の取り組みから;
先進ケアを支える福祉経営;
NPOの実践からみえるもの;
介護NPOの達成と課題;
生協の介護事業;
介護施設の福祉経営論;
ケア産業論;
ケアの人事管理―雇用管理と報酬管理;
介護事業と第三者評価;
ケアのための空間;
市民セクター福祉を育てる;
ともに生きる社会と福祉の町づくり;
住民参加による地域福祉の実現


『ケア その思想と実践』は、順番に読んできて、
これで全部そろったことになります。


『ケア その思想と実践1』(岩波書店)
「ケアという思想」


 
『ケア その思想と実践』(岩波書店)の
 「2 ケアすること」「5 ケアを支えるしくみ」

どれも読み応えがある本なので、ケアに関心がある方はぜひお読みください。

わたしのだーいすきな『サヨナラ、学校化社会』も
ちくま文庫から再刊が出てたので、2冊も買ってしまいました。



わたしはそもそも「サヨナラ、」というほどには
学校化社会に出会ってなかったので(笑)、
「学校化社会の論理を内面化」してるとは思えないのですが、
うんうんそうだってスッキリ、共鳴するところの多い本です。
で、この本は、上野さんが絶賛する京都の「四流校」に行ってた子に
プレゼントしようかなと思って買いました。
文庫本のあとがきと解説が、メチャおもしろいです。

この日は上野さんにお会いしてしてすぐに、

最新刊の『atあっと13号』を、
「はい」と手渡され、ラッキーでした。

上野さんの『ケアの社会学』の連載を楽しみに読んでいるので、
ひょっとしてもらえるかな、と思い(笑)、
出たのは知っていたのですがまだ買っていませんでした。

今回は13号の特集「ケア・介護のあり方」の冒頭に
「第11章 官セクターの成功と挫折-秋田県鷹巣の場合」という
論文が収録されています。

このテーマは、市民自治に関わっているわたしにとっても、
とても興味深いもので、帰るまでに読んだのですが、
予想通り、共感できるところが多かったです。

ということで、『atあっと13号』の「ケアの社会学」
「官セクターの成功と挫折-秋田県鷹巣の場合」については、
あらためて、ちゃんと書きたいと思っています。



今日は一日、PCの前で講座の課題のやりとりなどしていました。
ふと目をやると、まどの外に見える、酔芙蓉の色がわりが素敵です。


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