みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「少女売買」(長谷川まり子著)に新潮ドキュメント賞/『性犯罪被害にあうということ』(小林美佳)

2008-09-03 19:19:36 | ジェンダー/上野千鶴子

ちょうど、長谷川まり子さんの新刊、
『少女売買 インドに売られたネパールの少女たち』(光文社)を読み終わったら、

  
今日の中日新聞夕刊で、この本が、
「第7回新潮ドキュメント賞」に選ばれたという記事を見つけた。

探したら他の新聞にも載っていた。

 毎日の本棚
小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞:「寡黙なる巨人」に小林秀雄


 第7回小林秀雄賞、新潮ドキュメント賞(いずれも新潮文芸振興会主催)の選考会が28日、東京都内で開かれ、小林秀雄賞に多田富雄さんの「寡黙なる巨人」(集英社)、新潮ドキュメント賞に長谷川まり子さんの「少女売買 インドに売られたネパールの少女たち」(光文社)が選ばれた。賞金はそれぞれ100万円。多田さんは1934年生まれの免疫学者、東大名誉教授。長谷川さんは65年生まれのフリーライター。
毎日新聞 2008年8月29日 東京朝刊



小林秀雄賞に多田富雄さん 闘病つづった「寡黙なる巨人」

 第7回小林秀雄賞(新潮文芸振興会主催)は28日、免疫学者多田富雄さんの「寡黙なる巨人」(集英社刊)に決まった。
 多田さんは2001年に脳梗塞で右半身がまひし、言葉に障害が残る。受賞作は闘病生活などをつづったエッセー集。妻の式江さんと会見した多田さんは、キーボードを打つと音声を発する機械で「本当にうれしい。渾身で書いた。修道僧のように書くことだけが生きがい。(病気の後で)強くなった」と喜びを述べた。
 同日発表の第7回新潮ドキュメント賞(同振興会主催)はフリーライター長谷川まり子さんの「少女売買」(光文社刊)が選ばれた。両賞の賞金は各100万円。贈呈式は10月3日、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京で。
2008.8.28 共同通信


この本を読んだきっかけは、やっぱり子どもの売買を描いた
「闇の子供たち」。

8月12日に伏見ミリオン座で映画を見て、眠れなくなってしまった。

 

それで、眠れぬ夜をすごすために、

『セックスワーカーとは誰か』(青山薫/大月書店/2007)を読み、


ますます目が冴えて、眠りは浅くなり、

『少女売買 インドに売られたネパールの少女たち』を読んでいたというわけ。
「闇の子供たち」はフィクションではなかった。

どの本も、重い現実に胸がふさがる思いだ。

この本の最後には、著者の長谷川まり子さんが代表として
12年間にわたって被害者サポートの活動している
「NGOラリグラス・ジャパン」への、カンパの送り先が書いてある。



  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●「売春宿から少女を救え!プロジェクト」
●希望の先駆けプロジェクト
  (抗HIV薬提供プロジェクト)
●ホスピス運営費
●収入向上プログラム
【寄付方法】
郵便振替 
口座番号:00100-5-713661
加入者名:ラリグラスジャパン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして最後に紹介したいのは、、

ずっと心に抱きしめていた一冊。


『性犯罪被害にあうということ』
(小林美佳/朝日新聞社/2008)。

 性犯罪被害にあうということ [著]小林美佳
朝日新聞 2008年6月29日
[評者]多賀幹子(フリージャーナリスト)

■傷はこれほど深いかと愕然とする

 2000年8月末、当時24歳の著者は見知らぬ男2人にレイプされた。仕事帰りに道を聞かれ、教えようと近づいたら車内に引きずり込まれたのだ。事件とその後の葛藤(かっとう)を克明につづる。
 警察で質問に答え、変わらず仕事に行くが、1カ月で13キロも体重が落ちた。屈辱感と罪悪感で、自分を異臭を放つ動物のように感じた。2年後、形だけでも幸せと呼ばれたいと結婚。しかし夫とのセックス後に決まって嘔吐(おうと)、離婚を申し出た。性犯罪被害者の傷はこれほど深いかと、今さらながら愕然(がくぜん)とする。
 著者の視界が開けたのは、ネットで他の性犯罪被害者と交流してから。あるシンポジウムでは、実名で経験を話した。雑誌に紹介されると、事件後は「誰にも話さないで」とクギをさしていた母親から「あんたが死んだら死ぬって決めていた」と打ち明けられた。家族も必死で、自分だけがつらかったわけではなかったのだ。
 気持ちを「伝える」ことはなんと難しく、そして重要なことなのだろう。伝われば周囲の理解が得られやすく、被害者の気づきにも通じる。結びの「私なりの活動がしたい」とは、歩み出す宣言なのだろう。ちなみに犯人は不明のまま時効に。男性にこそ読まれるべき一冊だ。
(2008.6.29 朝日新聞)


「最後に伝えたいこと」(P211)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
周囲の理解だけでも、きっと性犯罪の被害者は救われるはずだ。
少なくとも、私が求め、支えてくれたものは、制度や法律ではなく、周りの人たちだった。

理解を得るために、それぞれが伝えあわなくては。
私たちは「理解したい」という気持ちを求めている。



Mr.Children「タガタメ」より

でももしも被害者に 加害者になったとき

かろうじて出来ることは

相変わらず 性懲りもなく

愛すこと以外にない

タダタダダキアッテ(ただただ抱き合って)

カタタタキダキアッテ(肩たたき抱き合って)

テヲトッテダキアッテ(手をとって抱き合って)

タダタダタダ(ただただただ)
 
タダタダタダ(ただただただ)

タダタダキアッテイコウ(ただた抱き合っていこう)
 


Mr.Children タガタメ "Tagatame"

心に沈めていた思いが、もやもやと得たいの知れないものとなって
のどもとまでわきあがってくる。


ひとはひとを理解できるのだろうか

抱き合うことも 愛し合うこともできないとき

ただおろおろと見つめ
ただたたずんで寄りそうしかないのかもしれない。


最後まで読んでくださってありがとう
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 明日もまた見に来てね
  

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