みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

中古住宅の診断で取引を促進 「内容提示」盛り込み法施行へ(白井康彦)/低所得者に住宅 自立支援

2016-09-25 20:14:47 | ほん/新聞/ニュース
一泊二日の京都旅行、
じゃなかった、
丸一日半のWANの会議をみっちりして、1時間ほど前に帰宅。
ハードでしたが、やはり顔を合わせて話し合うと、
課題や懸案事項の解決がはやいです。

帰って来たら、
シェルター設置工事はかなりすすんでいました。

床の断熱材は敷きおわって、照明もつけてありました。
    
木と金属のとりあわせ、わたくしてきには悪くないです。

あとは、杉の床材を張っていく作業が残っているだけ、とのこと。
完成がたのしみです。

クリック してね 


後半は、
出かける前に紹介しようと、下書きに入れておいた、
中日新聞生活面のの白井さんの記事。

毎日新聞の「ハウジングファースト」の記事も合わせて紹介します。

  中古住宅の診断で取引を促進 「内容提示」盛り込み法施行へ
2016年9月23日 中日新聞

 中古住宅を購入する際に買う側が気になるのは、その住宅の傷み具合だ。国は、住宅診断の検査項目や検査手法を示したガイドラインを定めたほか、売買の際に不動産業者が住宅診断結果を提示できる改正宅地建物取引業法を二〇一八年までに施行する。空き家増加に歯止めをかけ、消費者に信頼される中古住宅市場をつくるのが目的だ。

 改正法では、不動産業者が購入希望者に住宅診断を実施したかどうかや、実施済みの場合は診断結果の提示を義務付ける。住宅診断の実施は任意だが、法的に位置付けられたのは初めてで実施済みの中古住宅の取引を促進するとみられる。

 住宅診断は欧米諸国では普及しているが、日本では普及が遅れている。全国宅地建物取引業協会連合会は「空き家問題が深刻なので、中古住宅売買の活性化が必要となっている。法律に位置付けられたことで、住宅診断の普及に努めたい」としている。

 愛知県宅地建物取引業協会が実施している無料相談には、「中古住宅を購入したが、思わぬ不具合があった」といった買い主からの相談が多いという。同協会の幹部は「トラブル防止のために住宅診断の普及に力を入れたい」と話す。

 住宅診断の検査項目や検査手法は、国土交通省が「既存住宅インスペクション(検査)・ガイドライン」として策定済みだ。外壁や基礎などを、目視や計測などでチェックする。

 国が改正法を実施する背景には、中古住宅の売買が低迷していることがある。国交省によると、空き家は一三年に八百二十万戸に達したが、中古住宅の年間売買戸数は十七万戸弱とほぼ横ばいが続く。同省不動産業課は「改正法などを通して、消費者に信頼される中古住宅市場にしたい」としている。

◆調査の中立性がカギ
 住宅診断が法律で位置付けられたことに、不動産業界には期待する声もある。

 個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」(東京都渋谷区)は、住宅診断を月間二百件実施している。民間資格「ホームインスペクター」(住宅診断士)を持つ社員の川野武士さん(44)は「中古住宅を買った後で、予期せぬ補修で費用がかさんだら大変。住宅診断では、建物の傷みや不具合の兆候をつかめます」と話す。

 さくら事務所は、国のガイドラインに沿って住宅診断を実施している。「雨漏りの形跡がある」「建物が傾いている」ことなどが分かり、補修費用の目安が分かる場合もあるという。調査費用は、一軒当たり六万~十二万円程度という。

 注意点は、住宅診断は精密な検査ではないこと。このため、住宅診断を実施する業者が、住宅の売り主やリフォーム業者の意向をくんで、都合のいいアドバイスをすることが懸念されている。

 同省はガイドラインの中で、調査業者に客観性や中立性の確保を強く求めている。

 住宅診断する業者の調査能力の差も、診断結果を左右しかねない。住宅診断を数多く手掛ける株式会社住宅相談センター(名古屋市中区)代表の吉田貴彦さん(58)は「建築士でも、現場経験が足りない人では適切な診断が難しい場合もある。業者を選ぶ際には、これまでの診断実績を尋ねるといい」と勧める。
(白井康彦) 


くらしナビ・ライフスタイル 低所得者に住宅 自立支援
毎日新聞 2016年9月23日

生活困窮者や路上生活者のために住まいを確保しようという動きが進んでいる。民間団体がアパートを借り上げて困窮者に提供する「ハウジングファースト」活動を実施。国も低所得者らのセーフティーネットとして空き家を活用できないか検討中だ。

●路上生活戻る例も
 従来は施設や病院への収容が中心だったが、相部屋で人間関係がうまくいかなかったり、結局、路上生活に戻ったりする例が出ていた。ハウジングファーストでは、まず安定した住まいを提供したうえで、医療や福祉の専門家が支えていく。1990年代に米国で始まり、欧州にも広がった。しかし、住宅購入を促進する「持ち家政策」がとられてきた日本では、低所得者向けの賃貸住宅が少なく、公営住宅の倍率も高いため、住まいの対策はなかなか進んでいなかった。

 このため、生活困窮者の支援団体が中心となって2014年に「一般社団法人つくろい東京ファンド」(稲葉剛代表理事)を設立。東京都中野区のアパートを借りて、路上生活者やネットカフェ難民らを支援する個室シェルターを開設した。一時的に住宅を提供し、自立へとつなげる。これまで約60人が利用したほか、新宿区や墨田区などにも施設を設置した。

 ●仕事探しにも利点
 中野区のシェルターで暮らす派遣社員の男性(42)は、仕事が切れたためシェアハウスの家賃が払えなくなり、追い出されてシェルターを利用。その後、東京都の自立支援センターに移り、一度はアパートに入ったが、再び職がなくなり、ネットカフェ難民となったあと戻ってきた。男性は「雨露をしのげ、屋根があるところに暮らせるかどうかで天国か地獄になる。仕事探しのうえでも住所があるのは大きい」と話す。さらに、施設の集団生活でない点について「自分の好きな時間に風呂に入れたり、食事を作れたりすることも大きい」と歓迎する。

 この活動の延長線上で、豊島区ではアパートを丸ごと借り上げた「ハウジングファースト東京プロジェクト」が始まっている。契約時に必要となる敷金・礼金などの資金をインターネットで募るクラウドファンディングを9月末まで続行中。稲葉さんは「低収入で自分の家は夢のまた夢という人が増えている。ネットカフェや路上と施設を行き来させるのでなく、住宅のセーフティーネットが必要だ」と訴える。市民団体「住宅政策提案・検討委員会」の14年の調査では、年収200万円未満の20〜30代の若者の77・4%が親との同居を余儀なくされている。独立して住居費を払うのは困難だからだ。今後、親の高齢化が進めば、老朽化した住宅の修繕も難しくなり、相続税が払えず手放さざるを得ないケースが多発すると予想される。

 ●空き家の活用検討
 一方、国土交通省の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、低所得の高齢者についても、賃貸住宅の大家が家賃滞納や孤独死のリスクから入居を拒むケースがあると指摘。さらに、生活保護受給世帯を著しく狭い住宅に住まわせて不当な利益を得る「貧困ビジネス」の存在も問題視している。

 検討会では、公営住宅は建て替え優先で大幅な増加が見込めない一方、民間の賃貸住宅も供給が進んでいないと分析。空き家や民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティーネットの強化策を議論した。今後は住宅情報を都道府県または市町村に登録する仕組みを作り、家賃負担が困難な世帯には比較的低家賃が期待できる空き家の活用を促す。住宅改修や家賃の低廉化のために、地域の実情に応じて自治体が支援する仕組みも作れるようにする。

 9月5日には国会内でシンポジウムが開かれ、低所得者対策に取り組んでいる韓国・ソウル市住宅供給公社の担当者も参加した。ソウル市では住宅費補助のほか、団地内の作業場を活用した雇用創出にも取り組んでいるという。担当者は「仕事がないと家賃が払えないので自分たちで働いて住めるようにしている」と説明した。ミニ図書館をベースにしたコミュニティー作りもしているという。住宅を確保した後に、どのような支援ができるかは、日本でも課題になりそうだ。【柴沼均】  


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【言わねばならないこと】<特別編>民意 届いたのか 「全日本おばちゃん党」 谷口真由美氏/耐震シェルター設置工事4日目。

2016-09-24 18:08:40 | ほん/新聞/ニュース
耐震シェルター設置工事4日目です。
天井板が入りました。

床下も土が見えなくなりました。

日一日と形になっていくので、出来上がりが楽しみ
です。

月曜日には工事が終わって完成。の予定とのこと。
当初の予定より早いペース、
来週早々にはあたらしい部屋で仕事に復帰できそうです。

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WANの会議で京都に来ています。
今日は拡大理事会、明日は理事会とWAN基金運営委員会。

拡大理事会後の懇親会は、食べられるものがないのでパス。
ホテルの近くに10割蕎麦のお店があると調べておいたので、
ここで夕食を済ませたいと思っています。

WANつながりということで、
昨年、WANの総会シンポのパネルでごいっしょした、
谷口真由美さんの記事がwebに載っていたので紹介します。

  【言わねばならないこと】<特別編>民意 届いたのか 「全日本おばちゃん党」 谷口真由美氏
2015年9月18日 東京新聞
 
◆「口うるさい市民」継続
 全日本おばちゃん党は「うちの子もよその子も戦争には出さん!」を掲げて二〇一二年に設立した。その時は、この言葉がこんなに重みを持つとは思わなかった。

 集団的自衛権行使を容認した昨年七月の閣議決定以前から、私は集団的自衛権を「ツレが殴られたから俺も殴りに行く」という「ヤンキーのけんか」に例えてツッコミを入れてきた。安全保障関連法制にも「反対の気持ちはあきらめへんで」と言いたい。

 政府の姿勢や国会審議を見ていると「オッサン政治ここに極まれり」という感じがする。一つは、安倍晋三首相が他人の話を聞く耳を持たないこと。例えば、中東・ホルムズ海峡での機雷掃海は想定していないと自分で認めたのに、安保法制の条文を全く変えようとしない。前提が大きく変わってるのにそのままなのはおかしい。異論に耳を貸さずに「この道しかない」ではアカンでしょ。

 もう一つは、戦争は人が人を殺すというリアリティーが伝わらないこと。「積極的平和主義」と言うなら、シリアから欧州に流入している難民の受け入れなど、やるべきことはある。けんかが強いやつが偉いというのは「ヤンキー文化」の発想だ。

 安保法制は腹が立つことばかりだが、良い側面を挙げれば、国民がおかしなことに対して声を上げることを覚えたことだ。

 SEALDs(シールズ)などが主導しているデモはカラフルでポップ。ラップ調の若者が先頭で叫んで、ベビーカーを押す母親や風船を持った人もいる。若者に触発されて、中年も高齢者も声を上げ始めた。デモや集会で反対の声を上げることは、悪いことでもキモいことでもないという価値観が広がったのは良いことだ。

 安保法制の成立後、デモに参加していた人たちが無力感や虚無感にさいなまれることを心配している。政府は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と思っているはずだが、法律ができたら終わりではない。抗議活動が実らなかった「デモロス」に陥らず、これからも、できることをできる範囲で続けたらいい。

 自分の意見をなかなか言わない日本人が意思表示を始めたことで、日本の民主主義も変わっていくと思う。これを契機に日本人は口うるさい有権者、市民にならないといけない。

<たにぐち・まゆみ> 1975年生まれ。大阪国際大准教授。男性中心の政治を変えようと「全日本おばちゃん党」をフェイスブック上で設立し代表代行。女性議員の増加や地方選挙での投票率向上などを訴える。現在の党員は約5300人。


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9月23日(金)のつぶやき

2016-09-24 01:08:44 | 花/美しいもの
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運動で心身の衰え防止を 健康寿命脅かす転倒リスク/耐震シェルター工事三日目。

2016-09-23 17:54:14 | ほん/新聞/ニュース
耐震耐震シェルター工事、三日目が終わった時点の画像です。
がんじょうな天井が入りました。

床の土台になる部分もはいっています。

これで大地震で家がつぶれても、命だけは助かるとか。
     
この基礎の上に木の根太を渡して、
無垢の杉材をはっていきます。

そうそう、けっこう床は湿気があるので、除湿剤を敷き詰めて、
断熱材も杉床の下に入れます。
化学物質は避けたいので、床下の木に通常は塗る、
防腐剤のクレオソートを塗るのはお断りしました。

防腐剤を塗らなくても、20年ほどは持つでしょう。
その前に、今回直してない床のほうが抜けるかも、という判断。
いずれにして、
築100年は超えるような古民家は、定期的なメンテナンスが必要ですね。

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話しは変わりますが、
ノルディックウオーキングとスクワットをするようになってから、
足腰が強くなったと実感しています。

つれあいも、わたしの歩いている姿を見て「力強くなった」と。

腱板炎が肩を痛めていたあと数年は、
片足立ちで靴下も履けなくなっていたし、
床に何かあるとつまづきそうになって
転倒しないように注意していました。

幸いなことに転んだことは一度もありませんが、
筋力が落ちたことを自覚していました。

ちょうど9月20日の中日新聞の生活面に、
「運動で心身の衰え防止を 健康寿命脅かす転倒リスク」の記事が載っていて、
わたしは「フレイル」予備軍だったのだとナットクです。

  運動で心身の衰え防止を 健康寿命脅かす転倒リスク
2016年9月20日 中日新聞

 足腰の弱った高齢者が転ぶと、骨折で寝たきりになったり、最悪の場合は死に至ったりする。日本転倒予防学会は、健康寿命を脅かす転倒のリスクを減らしてもらおうと、心身が少しずつ弱っていく段階である「フレイル」という概念を普及させ、適切な支援につなげることを目指している。

 「ずいぶん上手になりましたね」

 九月上旬、愛知県大府市の国立長寿医療研究センターで、市内の女性(75)が、理学療法士の指導でバランスを取る筋肉を鍛える訓練を受けていた。リハビリロボットに立って乗り、前後左右に体重移動をすることでテニスやスキーなどのゲームをこなす。

 このロボットは、楽しみながらふくらはぎなど転ばないための筋肉を鍛えることができる。「最初は全然続けられませんでしたが、毎日訓練するうちに、足が疲れにくくなりました」と女性は話す。

 女性は七月中旬、卓球の試合中に転倒し、左脚の付け根を骨折。股関節を人工関節にする手術を受けた。それまで、複数のクラブを掛け持ちして週三、四日はラケットを振る日々。「まさか自分が骨折するとは。衰えを実感しました」

 同センター病院長の原田敦さん(64)は「転倒してはじめて、心身の衰えなどに気付く人が多い。しかし、転倒に至る原因はさまざまです」と指摘する。

 厚生労働省の人口動態統計(二〇一五年)によると、日本人の死因のうち「転倒・転落」は七千九百九十二人。十年前より千人以上増加し、減少を続ける交通事故死の五千六百四十六人を上回る。同省の国民生活基礎調査では、要支援・要介護になった原因のうち、「骨折・転倒」は12%で、四番目の割合を占める。

 転倒予防学会は転倒を社会全体の問題としてとらえようと、医療と介護関係者が一四年に発足させた。十月二日に名古屋市で開く学術集会では転倒防止をテーマに専門家らが議論する。

◆スクワットや「開眼片足立ち」が効果的
 転倒は、筋肉やバランスの衰えのほかにも、不整脈や視力障害、転びやすくなる薬の服用など、さまざまな原因で起こる。このため、転倒予防のために支援する対象者を絞り込めないのが課題だった。

 フレイルは二年前から使われだした概念で、要介護や生活機能障害、死亡などの危険性が高くなった状態を指す。同センターは▽体重が減った▽力が弱くなった▽倦怠(けんたい)感があり日常動作がおっくうになった▽活動性が低下した▽歩くのが遅くなった▽体重が減少した-のうち、三つ以上当てはまるとフレイルの可能性が高いとしている。

 心身の衰えだけでなく、うつなどの精神的な問題や、閉じこもりといった社会的な問題までを含むため、フレイルの人への対策が転倒予防につながる可能性が高い。

 フレイルや転倒を予防するために有効なのが運動。脚の筋力を付けるスクワットと、バランス能力を鍛える「開眼片足立ち」の簡単にできる二つの体操でも効果的だ=イラスト参照。

 転倒のリスクが高い人に、科学的に組んだ運動プログラムに取り組んでもらったところ、転倒が減少した研究成果も出てきた。

 原田さんは「自宅でできる安全な運動だが、長く続ければ転倒を確実に減らす。ひいては、将来介護が必要になる可能性も減らすことができる」と勧める。
 (稲田雅文) 


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9月22日(木)のつぶやき

2016-09-23 01:09:40 | 花/美しいもの
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もんじゅ「廃炉」 核燃料サイクルを揺るがすな/大転換の時代に移る もんじゅ、廃炉へ/お彼岸の曼珠沙華

2016-09-22 18:19:40 | ほん/新聞/ニュース
きょう9月22日は「秋分の日」。
朝から雨が降っていたのでウオーキングはお休み。

倉庫の東の坂に置いてある車を動かそうと道に出ると、
パイプハウスの北の曼珠沙華が満開になっていました。

お彼岸のころに咲くので「彼岸花」とも呼ばれます。

今年は夏が暑かったからか、早めに咲きはじめたのですが、
やっぱりお彼岸に合わせて満開になりました。

太陽が当たると真っ赤に光ってきれいなのですが、
あいにく小雨なので、花がちょっとくすんでてザンネンです。

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奥の狭い部屋にパソコンもテーブルも置いて生活しています。

ブログは夕方ささっとアップしているのでアクセスも減り気味(反省)。

ここ数日は、ちょっと気がかりなことがあって、
図書館で借りた本で調べたり、アマゾンで注文した本を読んだりしています。
そのことについては、またあらためて書くかもしれませんが、
とりあえず今日も「もんじゅ廃炉へ」の社説を紹介して終わりにします。

  社説:もんじゅ廃炉へ 無責任体制と決別を
2016年9月22日 朝日新聞

遅すぎたが、当然の決断だ。

 政府がきのう、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)について、廃炉にする方向で見直すことを決めた。

 もんじゅはこの20年あまり、ほとんど運転できていない。動かすには安全対策などに数千億円が必要だ。早期の実用化を求める声がないに等しいなか、多額の国費を使うことは許されない。地元自治体への説明など山積する課題と向き合い、廃炉への歩みを着実に進めてほしい。

 もんじゅに投じた事業費は1兆円に達するが、ほとんど成果をあげられなかった。一方で廃炉の決断も遅れた。ずるずると事業が続く無責任体制と決別しなければならない。

 原子力開発を進めるために原子力委員会と科学技術庁(現文部科学省)が設けられた1956年、政府は最初の長期計画で「主として原子燃料資源の有効利用の面から、増殖型動力炉の国産に目標を置く」とうたった。燃やした以上のプルトニウムができる高速増殖炉は、世界各国が夢見る技術だった。

 もんじゅは、実験炉から原型炉、実証炉、実用炉へと進む2段階目にあたる。85年に本格着工し94年に初臨界に達したが、95年に冷却材のナトリウムが漏れる事故が起きた。海外で事故例があったのに「ナトリウム漏れは起こさない」と強弁し、事故後も被害を小さく見せようと事実を隠したり偽ったりして、社会の信用を失っていった。

 その間に高速増殖炉の技術的な難しさやコスト高がはっきりし、開発を断念する国が相次いだ。2010年の運転再開で研究成果をまとめる機会を得たかに見えたが、燃料交換装置の落下事故を起こし、1万点に及ぶ機器の点検漏れも発覚した。

 にもかかわらず、年間約200億円もの維持費を使って「延命」されてきたのは、事業へのチェック機能が働かなかったからだ。原子力委員会や関係省庁、原子力分野の研究者が一体となり、予算を審議する国会も手をつけようとしなかった。

 今回、政府は関係閣僚会議を開いて廃炉方針を打ち出した。政治が責任を持つという意思表示なら、一歩前進だろう。

 だが、懸念は少なくない。政府は核燃料サイクルを堅持し、もんじゅ廃炉後をにらんだ新たな高速炉の開発に向けて会議の新設を決めた。もんじゅの二の舞いになる危うさをはらむ。

 広く国民が納得できる原子力行政をめざすべきだ。その一歩として、もんじゅ廃炉の実行と、核燃料サイクル全体の見直しが問われている。/td>


 社説:大転換の時代に移る もんじゅ、廃炉へ
2016年9月22日 中日新聞

 「もんじゅ」がようやく廃炉に向かう。高速増殖原型炉。使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルの要の石だ。日本の原子力政策は転換すべきである。

 原発停止、火力による代替が長引くと、石油や天然ガスの輸入がかさんで「国富」が消えていくという。

 だとすれば、展望なき核燃料サイクル計画による長年の国費の乱用を、どのように説明すればいいのだろうか。

 原発で使用済みの燃料からウランとプルトニウムを取り出す再処理を施して、新たな核燃料(MOX燃料)にリサイクルして、もんじゅでまた燃やす-。それが核燃料サイクル計画だった。

色あせた原子力の夢
 もんじゅは、計画の要とされた新型の原子炉で、理論上、燃やせば燃やすほどリサイクル燃料が増えていく“夢の原子炉”というふれ込みだった。

 現在の運営主体は、文部科学省が所管する独立行政法人の日本原子力研究開発機構、正真正銘の国策である。

 一九七〇年代の計画当初、もんじゅにかかる費用は、三百五十億円という見積もりだった。

 ところが、ふたを開けると、深刻なトラブルが相次ぎ、費用もかさむ。本格稼働から二十二年、原子炉を動かせたのは延べわずか、二百数十日だけだった。

 そんな“夢”というより“幻”の原子炉に、政府は一兆円以上の国富を注ぎ込んできた。止まったままでも、もんじゅの維持には年間二百億円という費用がかかる。

 冷却材として、水ではなくナトリウムを使うのが、高速炉の特徴だ。ナトリウムは固まりやすく、停止中でもヒーターで温めて絶えず循環させておくことが必要だ。月々の電気代だけで、一億円以上になることも。

飛べない鳥のように
 発電できない原発が、日々大量に電気を消費する。むだづかいを通り越し、皮肉と言うしかないではないか。

 米国や英国、ドイツは九〇年代に、高速増殖炉の実験から手を引いた。もんじゅでナトリウム漏れ事故が発生し、当時の運営主体による隠蔽(いんぺい)が指弾を浴びた九五年、日本も夢からさめるべきだった。

 青森県六ケ所村の再処理工場も九三年の着工以来二十三回、完成延期を繰り返し、建設費用は当初の三倍、二兆円以上に膨らんだ。核燃料サイクルという国策も、ほとんど破綻状態なのである。

 二〇一〇年策定の国のエネルギー基本計画は、高速増殖炉を「五〇年より前に実用化する」とうたっていた。ところが一四年の計画からは目標年が消えていた。

 政府の中でも、もんじゅは終わっていたのだろうか。

 それなのに、廃炉の決断は先延ばし。科学の夢を塩漬けにする愚を犯しただけでなく、金食い虫の汚名を着せて放置した。その責任は軽くない。

 プルトニウムは核兵器に転用できる。日本は日米原子力協定で、非核保有国では例外的に、プルトニウムを取り出す再処理を認められてきた。政界の一部には「特権を手放すべきではない」との声も根強くある。

 日本は現在、四十八トン、長崎型原爆六千発分とも言われるプルトニウムを国内外に保有する。

 核不拡散を主導する米国も、再来年に迫った協定の期限を前に、日本の「核の潜在力」に対する警戒感を強めている。

 プルトニウムは増殖どころか、そもそも減らすべきものなのだ。

 日本はおととし、フランスが、核廃棄物の減量や無害化をめざして開発を進める高速炉「ASTRID(アストリッド)」への技術協力に合意した。核燃料サイクルのシステム自体、減量に軸足を移すべきである。

 3・11を経験した日本で、もはや原発の新増設などあり得まい。これ以上ごみを増やさないように脱原発依存を進めるべきである。しかし、最終処分場の選定が容易ではない以上、保有するプルトニウムや、一時保管されている、すでに出た使用済み核燃料を減らす技術は必要だ。

 先月末に再稼働した四国電力伊方原発3号機のような、MOX燃料を通常の軽水炉で燃やすプルサーマル発電だけでは、とても追いつかない。

雇用や経済は維持を
 廃炉にしたもんじゅの設備を核廃棄物減量の研究拠点に転用できれば、地元の雇用や経済は維持できる。もんじゅと共生してきた自治体も納得できるに違いない。

 いずれにしても、もんじゅがなければ、核燃料サイクルは根本的に行き詰まり、日本の原発政策の大前提が崩れ去る。

 それは、核のごみを増やせない時代への転換点になる。 


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9月21日(水)のつぶやき

2016-09-22 01:10:22 | 花/美しいもの
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政府 もんじゅ 廃炉含め抜本的な見直しの方針/全原発廃炉、国民負担に 料金上乗せ

2016-09-21 19:04:29 | ほん/新聞/ニュース
耐震シェルター設置工事、二日目。

きのうは工事途中をうつしたのですが、
けさ見たら、床を外したところが大きくなっていました。

根太が傷んでいて、シェルターを入れるために準備したおび杉材を、
最大限広く入れてもらうことにしたとのこと。


午前中は病院に行ったり、買い物をしたりで家を空けていました。
夕方大工さんたちが帰られてから写したら、ここまで進んでいました。

下は床材の下と、上は梁ぎりぎりまで、
丈夫な鉄骨入れて、その中にいる限りは、つぶれないということです。。
  
通常は、鉄骨にさび止めのペンキなどを塗るそうですが、
化学物質フリーの家なので、溶剤を使うものは断りました。

ということで、完成しても銀色の鉄骨がむき出しです。
これはこれで、素敵、と思うことにしましょう(笑)。

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後半は、
「もんじゅ廃炉の方向性」のグッドニュース。
文部科学省や「もんじゅ」がある敦賀市などが存続を求めているそうです。

朝日新聞と毎日新聞は「もんじゅ廃炉へ」がトップニュースですが、
「原発廃炉、国民負担に 料金上乗せ」が一面トップです。

原発廃炉は、国民につけを回すという、許しがたい方針です。

  政府 もんじゅ 廃炉含め抜本的な見直しの方針 
9月21日 NHKニュース
 
政府は、安全管理上の問題が相次いだ高速増殖炉「もんじゅ」の今後の取り扱いを協議するため、21日、関係閣僚による会議を開くことにしています。会議では、「高速炉」の開発は継続する必要があるとしたうえで「もんじゅ」については、廃炉を含め、抜本的な見直しを行う方針を確認するものと見られます。

福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」をめぐっては、安全管理上の問題が相次いだことから、所管する文部科学省が、原子力規制委員会の勧告を踏まえ、ことし夏にも、日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すことになっていましたが、新たな運営主体は現在も決まっていません。
こうした状況を受けて、政府は、21日、総理大臣官邸で、菅官房長官、松野文部科学大臣、世耕経済産業大臣ら関係閣僚が出席して、「原子力関係閣僚会議」を開き、「もんじゅ」の取り扱いや今後の「高速炉」の開発などをめぐって、意見を交わすことになりました。会議では、核燃料サイクル政策を維持するため、燃料の有効利用や放射性廃棄物の減少につながる「高速炉」の開発を継続する必要があるとして、政府内に新たな会議を設置して、今後の「高速炉」の開発の方針を議論することを確認する見通しです。
そして、「もんじゅ」については、維持費が年間200億円程度かかっているほか、存続する場合、耐震補強などで数千億円規模の費用がさらにかかると見込まれる中、政府・与党内に存続に否定的な意見があることも踏まえ、廃炉を含め、抜本的な見直しを行う方針を確認するものと見られます。
政府は、「もんじゅ」の扱いや、「高速炉の開発の方針」などについて、年内にも結論を出したいとしていますが、文部科学省や「もんじゅ」がある福井県敦賀市などが存続を求めていることなども考慮して、慎重に議論を進める方針です。

これまでの経緯
高速増殖炉「もんじゅ」をめぐっては、文部科学省が存続を前提に新たな運営主体を検討してきましたが、運転の再開に多額の費用が見込まれることなどから、関係省庁や電力業界との調整は進んでいませんでした。
使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉として平成6年に試験運転が始まった高速増殖炉「もんじゅ」は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再び燃料として利用する核燃料サイクルの柱の1つと位置づけられてきましたが、事故やトラブルのため、この22年間の運転実績は250日とほとんどありません。
4年前の平成24年からの国の検査ではおよそ1万件にのぼる機器の点検漏れが明らかになり、その後も安全管理上の問題が続いたため、去年、原子力規制委員会はいまの日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すか、それができない場合は、廃炉も含め、事業を抜本的に見直すよう異例の勧告を出しました。
勧告を受け、文部科学省は、外部の専門家でつくる検討会での議論を踏まえて、原子力機構からもんじゅの運転部門を切り離し、電力会社やメーカーから協力を得たうえで、運営管理を担う特別会社を新たな運営主体とする案を軸に関係省庁などと協議を進めてきました。
しかし電力業界からは「技術的な知見がないうえに一般の原発の再稼働の対応で余裕がない」などとして、運営主体を担うのは難しいという見方を繰り返し示されています。
さらにもんじゅの運転再開には年間200億円の維持費に加え、新しい規制基準に対応する対策に多額の費用がかかることなどから経済産業省などには国民の理解が得られるか疑問視する声があり、調整は進んでいませんでした。
その一方で、政府内では、もんじゅについて廃炉も含めた抜本的な見直しをする場合でも核燃料サイクルを維持する必要があり、プルトニウムの有効利用や放射性廃棄物の減少につながる新たな高速炉の開発を進める意見が出されていました。


  全原発廃炉、国民負担に 料金上乗せ
2016年9月21日 中日新聞

 経済産業省は、東京電力福島第一原発の廃炉や事故処理にかかる費用のほか、他大手電力が保有する原発も含む廃炉費用を、原則としてすべての電力利用者に負担させる方向で調整に入った。大手電力が持つ送電網の使用料として、新規参入の電力小売会社(新電力)が支払う「託送料金」に費用を上乗せする案が有力だ。

 二十日に有識者会合「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」(東電委員会)と「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を設置することを発表。年内に正式な結論をまとめ、二〇一七年の通常国会に電気事業法の改正案を提出する考えだ。

 同省の方針通りに決まれば、四月の電力小売り自由化で大手電力会社以外と契約した消費者も費用を負担することになる。福島第一原発関連の費用に加え、すべての原発に必要となる費用がいくらかかるのか、上限が見えない中で、同省の方針通りに決まれば消費者の負担はさらに増えていく。原発を保有する大手電力会社ではなく、原発の電力を使っていない消費者にまで負担を強いる方針には批判が避けられそうにない。

 託送料金は、修繕費など送電網の維持管理に必要な経費を基に国が認可し、すべての電力利用者の電気料金に上乗せされている。主に原発の維持に充てられる電源開発促進税も含まれ、東京電力管内では一キロワット時当たり八・五七円。ここに福島第一原発の廃炉や除染、賠償に必要な費用やほかの原発の廃炉費用も上乗せする案を軸に調整する。

 同省は、原発による電力の一部をすべての電力会社が安く利用できる仕組みを整えることで「国民への恩恵がある」(経産省関係者)とし、消費者に上乗せの理解を求める方針だ。

 福島第一原発では廃炉や除染、被災者への賠償にかかる費用が一三年の見通しを上回っている。東電の数土(すど)文夫会長は今年七月に「越えるべきハードル(負担)が見えないと、責任を持てない」と政府に支援を要請。自民党も対応を求める提言をまとめていた。同様に一二年にも国に支援を求め、国民の負担を強めた。誰も責任を取らないまま国民負担が膨らむ構図は、今でも変わっていない。

 一方、ほかの原発の廃炉費用は、同省が一五年の有識者会合「廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ」で、すべての電力利用者から徴収する方針を示していた。電力の自由化で大手電力会社から顧客が流出すると、廃炉費用を工面できなくなる可能性があるためだとしている。 


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9月20日(火)のつぶやき

2016-09-21 01:09:58 | 花/美しいもの
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安保法成立1年 現実的な議論をもっと/違憲性は拭い去れない/耐震シェルター設置工事、開始。

2016-09-20 17:51:38 | ほん/新聞/ニュース
台風16号が、東海地方にいちばん近づいている時間、
雨が激しく降っています。

朝から雨が降っていたのですが、8時ごろから、
耐震シェルター設置工事をされる大工さんたちがやってきて、
杉材の床板をはがし始めました。

お昼には終わってこんな感じに、
下の土と土台が出てきました。

部屋のなかなので、ブルーシートで覆っての仕事ですが、
横を通ると泥くさいです。

大工さんも昼ごはんを食べに行かれたので、
わたしたちも気分転換にお蕎麦を食べに行くことにしました。

最初の蕎麦店がお休みだったので、長良のサガミに。
わたしは、まっ白な「復刻 さらしなそば」。
胡麻だけと麺つゆがついていました。

つれあいは、肉ねぎそば(大盛り)。

上に乗ってるネギが半端じゃない(笑)。

さらしな蕎麦は、上品なのど越しで、おいしくいただきました。

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ところで、昨日9月19日は、
「安全保障関連法の成立から一年」。

けさの中日新聞と社説と、
昨日の毎日新聞の社説を紹介します。

  社説:違憲性は拭い去れない 安保法成立1年
2016年9月20日 中日新聞

 安全保障関連法の成立から一年。「違憲立法」の疑いは消えず、既成事実化だけが進む。戦後日本の平和主義とは何か。その原点に立ち返るべきである。

 与野党議員が入り乱れる混乱の中、安倍政権が委員会採決を強行し、昨年九月十九日に「成立」したと強弁する安保関連法。今年三月に施行され、参院選後の八月には自衛隊が、同法に基づく新たな任務に関する訓練を始めた。


 政権は既成事実を積み重ねようとしているのだろうが、その土台が揺らいでいれば、いつかは崩れてしまう。その土台とは当然、日本国憲法である。

他衛認めぬ政府解釈
 七月の参院選では、安保関連法の廃止と立憲主義の回復を訴えた民進、共産両党など野党側を、自民、公明両党の与党側が圧倒したが、そのことをもって、安保関連法の合憲性が認められたと考えるのは早計だろう。

 同法には、「数の力」を理由として見過ごすわけにはいかない違憲性があるからだ。

 安保関連法には、武力で他国を守ったり、他国同士の戦争に参加する「集団的自衛権の行使」に該当する部分が盛り込まれている。

 安倍内閣が二〇一四年七月一日の閣議決定に基づいて自ら認めたものだが、歴代内閣が長年にわたって憲法違反との立場を堅持してきた「集団的自衛権の行使」を、なぜ一内閣の判断で合憲とすることができるのか。

 憲法の法的安定性を損ない、戦後日本が貫いてきた安保政策の根幹をゆがめる、との批判は免れまい。成立から一年がたっても、多くの憲法学者ら専門家が、安保関連法を「憲法違反」と指摘し続けるのは当然である。

 現行憲法がなぜ集団的自衛権の行使を認めているとは言えないのか、あらためて検証してみたい。

血肉と化す専守防衛
 戦後制定された日本国憲法は九条で、戦争や武力の行使、武力による威嚇について、国際紛争を解決する手段としては永久に放棄することを定めている。

 これは、日本国民だけで三百十万人の犠牲を出し、交戦国にとどまらず、近隣諸国にも多大な犠牲を強いた先の大戦に対する痛切な反省に基づく、国際的な宣言と言っていいだろう。

 その後、日米安全保障条約で米軍の日本駐留を認め、実力組織である自衛隊を持つには至ったが、自衛権の行使は、日本防衛のための必要最小限の範囲にとどめる「専守防衛」を貫いてきた。

 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力で阻止する集団的自衛権については、主権国家として有してはいるが、その行使は専守防衛の範囲を超え、許されない、というのが歴代内閣の立場である。

 日本に対する武力攻撃は実力で排除しても、日本が攻撃されていなければ、海外で武力を行使することはない。日本国民の血肉と化した専守防衛の平和主義は、戦後日本の「国のかたち」でもある。

 しかし、安倍内閣は日本が直接攻撃されていなくても「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」には集団的自衛権の行使が可能だと、憲法を読み替えてしまった。

 その根拠とするのが、内閣法制局が一九七二年十月十四日に参院決算委員会に提出した資料「集団的自衛権と憲法との関係」だ。

 安倍内閣は、自衛権行使の要件として挙げている「外国の武力攻撃」の対象から「わが国」が抜けていることに着目。攻撃対象が他国であっても、自衛権を行使できる場合があると解釈し、「法理としてはまさに(七二年)当時から含まれている」(横畠裕介内閣法制局長官)と強弁している。

 しかし、それはあまりにも乱暴で、粗雑な議論である。当時、この見解作成に関わった人は、集団的自衛権を想定したものではないことを証言している。

 国会での長年にわたる議論を経て確立した政府の憲法解釈には重みがあり、一内閣による恣意(しい)的な解釈が認められないのは当然だ。それを許せば、国民が憲法を通じて権力を律する立憲主義は根底から覆る。安倍内閣の手法は、歴史の検証には到底、耐えられない。

憲法の危機直視せよ 日本の安保政策を、専守防衛という本来の在り方に戻すには、集団的自衛権の行使を認めた閣議決定を撤回し、安保関連法を全面的に見直すしかあるまい。

 安倍政権は、自民党が悲願としてきた憲法改正に向けて、衆参両院に置かれた憲法審査会での議論を加速させたい意向のようだが、政府の恣意的な憲法解釈を正すことが先決だ。与野党ともに「憲法の危機」を直視すべきである。 


  社説:安保法成立1年 現実的な議論をもっと
2016年9月19日 毎日新聞
 
 集団的自衛権の行使などを認めた安全保障関連法が成立してきょうで1年になる。

 この1年だけでも日本を取り巻く国際情勢には大きな変化が見られた。金正恩体制下の北朝鮮は2度も核実験を強行し、ミサイルの発射も繰り返している。台頭を続ける中国は国際仲裁裁判所の判決を無視し、南シナ海で覇権的な姿勢を崩そうとしない。

 一方、米国では共和党大統領候補のトランプ氏が日本を含む同盟国との関係見直しをたびたび口にしてきた。こうした安全保障環境の変化に鈍感であってはならない。だからといって、力には力で対抗する発想は悪循環を招く。

 日本が取るべき道は、憲法9条の制約を踏まえつつ、自衛隊と在日米軍との効果的な連携を追求していくことだろう。その意味で、安保政策の積み重ねから飛び越えた安保法制は、政治的にも、自衛隊の部隊運用の面でも不安定さを残した。

 しかも集団的自衛権をめぐる憲法問題に議論が集中したため、他の重要な論点が手つかずのままになっている。この状態で、近く政府は平時から米軍の艦船などを守る「米艦防護」の訓練に入るという。

 米艦防護は、米側の期待も高く、「同盟強化」の核心をなすと見られている活動だ。米軍が弾道ミサイルの警戒監視や自衛隊との共同訓練、日本の平和や安全に重要な影響を与える「重要影響事態」で輸送・補給をしている時に攻撃を受けた場面が想定されている。

 米艦防護には、米軍が自衛隊と連携して「日本の防衛に資する活動」をしている場合という前提がある。だが、これがどこまでの活動を指すのか必ずしも整理されていない。

 例えば南シナ海で将来、自衛隊と米軍が共同で警戒監視をするような場合に「日本の防衛に資する活動」と言えるのか、はっきりしない。

 米艦防護には、地理的制約もなければ、集団的自衛権のように「武力行使の新3要件」や「国会承認」もない。米軍などの要請があり、防衛相が必要と認めれば実施できる。

 野党は昨年の国会審議で「集団的自衛権の抜け道」と批判した。その後も、運用の方針も基準も示されていない。内閣や国会の関与のあり方も決まっていない。

 基準があいまいなのは、米艦防護だけではない。集団的自衛権の行使を認める存立危機事態も、地球規模で後方支援ができる重要影響事態も、国民にイメージがわかないまま、政府判断にゆだねられる。

 臨時国会で野党はこれらの問題を追及し、政府は丁寧に説明してもらいたい。


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