熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

研究成果報告会

2017-03-04 19:16:09 | Weblog
知的財産研究所主催の「平成28年度特別研究員研究成果発表会」に参加してきました。

発表テーマは2つです。

「イノベーションを促進する企業の報酬制度と特許制度について」

発明の成果に応じた金銭的な報酬制度や研究者間の競争を促進する組織デザインが発明を活発にするのかという問題点を提示して、企業における発明を促進する望ましい報酬制度を明らかにすることを目的とした研究です。

発表者によると、創造性を必要とする作業の場合は、単純な成果報酬制度は生産性を下げるため、研究の初期では失敗に寛容な報酬体系で、研究の後期に成果報酬制度に移行することが研究者のモチベーションを向上させる(難しい研究へのチャレンジ)そうです。

また、チームベースの業績評価と連動した報酬制度もイノベーションへの貢献が大きいことも分かったそうです。

言われてみれば当然の結果ですが、経済理論と実証研究に裏付けられた点がポイントですね。


「中国企業の対外M&Aとイノベーション活動の実態ー特許データを用いた実証分析」

中国企業の対外M&Aにより買収された企業の研究者の研究実績の状況を分析して、中国企業と買収された企業とがウィンーウィンの関係を築くことができるのかを明らかにするという研究です。

実証研究には、ハイアールに買収された三洋電機を取り上げて分析しています。

ハイアールによる三洋電機の買収事例の分析結果からは、

①研究開発活動が活発な若手研究者より経験豊かなベテラン発明者を獲得している。
②日本人発明者の移籍後の発明実績が少ない。

という結論を得ています。

今回の研究結果から断定的なことは言えないので、さらなる検証が必要ですね。

今回の研究成果発表のは、何れも経済学の研究者によるもので、法学研究者とは異なる視点でアプローチしている点が参考になりましたね。







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