曇り、最高気温22.1℃。農作業、種まき。春菊、春大根、アスパラ菜、小松菜などを畝たてしたところへ筋条にに蒔く。ウルイ移植、そしてニラの刈り取り。気温、風の状況とも農作業に適して3時間ほどの作業がはかどる。妻との共同作業だったが、畑の草取り、耕し、施肥など基本的な作業ができた。
札幌のM君から電話。きょうの札幌は26℃、桜満開、芝桜など色んな花がいっせいに開花したという話である。まだ、山形県内で桜の開花がまだだというのに、はるか北の地での開花は珍しい現象だ。北から寒気をつれて来る偏西風の曲線と、南からの暖気が北にある低気圧へ流れ込むという現象がからんだ列島ちぐはぐ気象である。
ククミラというのがニラの古名だ。漢字を当てると茎韮である。この辺りではニラボンボというが、花茎が立ったニラのことをさしている。ニラもわらびと同様に早くから食用とされて、野生のものを栽培したものと思われる。
万葉集にククミラの歌が見える。
伎波都久の 岡の茎韮 我れ摘むめど 籠にも満たなふ 背なと摘まさね
東歌の巻で、韮を摘みながら女たちが、掛け合いでこんな歌を歌いながら戯れた。わたし、この岡のニラをせっせと摘んでいるんだけどなかなか貯まらない、あんた、いい人と一緒に摘んだら籠はすぐいっぱいよ。
この歌の面白さは、ニラのおいしさが人々に共有され、ニラを食べて男も女も元気になれるという食文化がすでにあったことを物語っている。
春のニラの一番取りは本当においしい。何度も引用させてもらって恐縮だが、辰巳浜子の随筆はすばらしい。(『料理歳時記』)
「朝の味噌汁の豆腐がひらひらと浮き上がる瞬間、きざんだにらをひと握りほうり込んで、煮立ちばなに七味をふって召上ってみてください。急に元気がみなぎるようです。」
わが家では、ネットレシピ(クックパッド)をみて、「塩麹できゅうりとニラの酢の物」を作ってみた。定番の卵とじやお浸しはもちろんおいしいのだが、クックパッドには定番に一工夫があるのがうれしい。万葉の時代からある食材を自ら栽培し、現代の食文化に挑む方法としてネットの力を借りる、これが私の流儀だ。
もちろん、その味は深く、身体の底から力をもらうような気がする。