炎天下の除草作業はつらい。それでも、この作業をしなければ、野菜の収穫はおぼつかない。高濱虚子の句に
汗をもてするよりほかはなかりけり
というのがある。汗と言えば、先日の蒜場山では、タオルが重くなるほどの汗と格闘した。家に帰って、手塚富雄のゲーテの箴言集を題材にしたエセーを手にした。ゲーテほど老年に厳しい言葉を発した人を知らない。
君の頭と心のなかが
きりきり舞いをしているなら
それは何よりめでたい話、
恋にも迷いにも縁の切れた人間は
墓に埋められてしまうがよい。
老年に安逸で、心配のない時間を与えるのをよしとする、今日の日本の風潮とは全く違う考え方をしていた。老年になってなお、苦しみ悩み、我慢をしながら、為すべきことに挑む人間であるべき。それが、ゲーテの考えであった。「箴言と省察」にある言葉こそ、私に勇気を与えてくれる。
我慢づよさを実証しなければならぬ者は誰か。大きい行為をしようとする者、山を登る者、魚を釣る者。