八十八夜は立春から数えて88日目。辺りの野山の緑が急に息吹はじめる。唱歌に歌われる通りだ。「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る」水辺に行くと、鳥の鳴き声も種類が多く頻りである。
農家の畑に梨の花が咲いていた。桃の花が紅く大きいのに対して梨は白くて大きい。木は実を採りやすくするために、枝を低く切り詰めてある。野菜を植え付けるための畑は、小さな耕耘機で、きれいに整地されている。黒い土の絨毯で、足を踏み入れるのができないような美しい畑だ。
庭には家々のお気に入りの花たちが咲き誇っている。雑草が勢いを増す前のひととき、一年で一番和むことのできる季節である。