立冬が過ぎて、散歩道には山茶花が咲き、木の実が美しい。姫リンゴの実は珍しく可憐で、遠い昔に見た懐かしい実だ。久しぶりの青空が澄みわたって、見ているとそのなかに溶けこんでいくような気になる。近景に終りに近い紅葉、その先は葉を落とした冬の瀧山、その奥に真っ白な雪を湛える蔵王の峰。絵に描いたような景色が広がる。秋が深まるにつれて、散歩の楽しみは日一日と楽しくなる。
木枯に真珠のごときまひるかな 川端茅舎
火災のニュースがあまりに多い。火災予防週間で、誰もが注意しているのだろうが、暖房器具、空気の乾燥など条件がそろいすぎるのか。「ハテ、あとでこがす」という標語で、火災に備えるおまじないがあった。ハ(灰皿)、テ(テレビ)、あ(アイロン)、と(トースター)、で(電灯)、こ(コタツ)、が(ガス)、す(ストーブ)。昔の火事の火元を折り込んだものだ。家を離れるときに、火元を安全にしているか今一度注意して置くことの大切さ。いつの時代でも火事の注意を怠ると、本格的な冬を前に、大事な住み家を失うことになる。