連日の雪もようの空が続いて、さすがに青空が恋しい。贅沢にも温泉で温まってから空を見上げると、雲がとれて青空が広がった。姿を現したのは、新雪の瀧山。毎年この季節に見ている光景だが、一年振りで見る新雪の瀧山は輝いていて、新鮮な感動を覚える。その一方で、この景色に溶けこんだ山中では、自然にさらされて心細い冬の暮らしもある。
み雪ふる片山かげの夕暮れは
心さへにぞ消えぬべらなり 良寛
心が消えるとはどういう状態か。風前のともしびという言葉がある。国上山の庵のなかでは、灯火が消えそうなこころもとない状況を詠んでいる。現代ではそのような心配もなく暖かい部屋のなかで冬を送るが、その生活を維持するためにどれほど地球環境が傷んだか。人が生きるということの陰に、犠牲になったものは少なくない。せめて、明治の唱歌に思いを馳せたい。
燈火ちかく衣縫う母は
春の遊びの楽しさ語る。
居並ぶ子どもは指を折りつつ
日数かぞえて喜び勇む。
囲炉裏火はとろとろ
外は吹雪。