常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

鹿島槍ケ岳(2)柏原新道

2016年07月26日 | 登山


山形を出て、鹿島槍の登山口のある扇沢に着いたのは、11時近くであった。扇沢駐車場はバスの終着駅であり、黒部ダムへの観光、針ノ木、鹿島槍ケ岳への登山客の車を収容する。市営の無料の駐車場もあるが、我々が駐車した有料を含めて700台を収容するが、土曜日ということもあってか、ほぼ満車の状態であった。空はガスのような薄い雲に覆われ、高い山は見えていない。扇沢の駐車場から種池山荘までが、一日目の行程である。登山口の標高が1350m、山荘の標高1450m、その差1100mを登ることになる。距離にして約4.5㎞、標準の歩行時間は休憩2時間20分となっている。リーダーの行程表によると、休憩を含んで5時間20分となっている。



扇沢登山口に登山相談所があり、リーダーが登山計画書を提出する。「明後日は天候が悪いようですから、気をつけて下山して下さい」と声をかけられた。登り初めは、全員が元気いっぱい。ケルンのある場所までは、モミジ坂と呼ばれる急登だ。足場の悪い崖に付けられた道も無事に通過。こ道が柏原新道と名付けられたのは、山小屋のオーナーが作った道だからという話だ。

この道ができる前にここを下った深田久弥の記述によれば、爺ヶ岳から大冷沢の河原に降り、そこから河原沿いに降って鹿島川との出合いから河原を下り、鹿島の集落へ着いた、とある。昭和10年頃話である。その当時からみれば、この山域に入る道路も登山道もすっかり整備されている。柏原新道は土留めに古タイヤを使い、石が動かないように鉄筋を打って固定してある。実に歩きやすい道になっている。



2200mを越えると急にハクサンフウロの濃い花が目だってくる。登り一方の道が、最後は階段のように作られている。疲れた足には辛い道だが、花たちの歓迎にほっと心が落ち着く。そして目の前に種池山荘の赤い屋根が見えた。
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鹿島槍ケ岳(1)

2016年07月26日 | 登山


山小屋2泊3日、鹿島槍ケ岳への山旅を終えて昨夜、無事帰還。山中では、3日間晴れ、天候に恵まれた山行であった。最終日、登山口を出ると同時に、我々の下山を待っていたように驟雨となった。鹿島槍の神様が、遠くから入山した我がパーティにくれた恵みであったろう。3日間の山旅を振り返りながら、楽しかった山行の様子をゆっくりと時間をかけて綴りたい。撮影した写真は240枚、どれも山行の思いでを語る貴重なものだ。

75歳を過ぎてからの山登りに、今回ほど教訓を得、そして感動を得た山行はない。土曜日、山中には多くの登山者が鹿島槍を目指し、また下山してきた。わがパーティは多くの場合道を譲る。下り坂で、ひとりの登山者が、後ろに来た。どうぞ、お先にと、声を掛けると、「あ、僕もゆっくりですから。」と言いながらも、ゆったりとした足取りで、山々の風景を全身で楽しむように追い越して行った。その姿は、山の風景の溶け込んで、まったく違和感を感じさせない。自分のペースに合わせて、ゆっくりと山を楽しむ。もうこの山は、人生で最後かも知れないという山行で、一番大切なこと、これが第一の教訓であった。

山の案内書には、週末にはあまりにも人が多く、細い道での他のパーティとのすれ違いに、時として苛立ちも、と書かれてあったが、反対に短い言葉を掛けあうことで、温かいコミュニケーションが成立した。登る道で待っていてくれる人の前を通ったとき、「ゆっくり行って下さい。登山は転ばないことが一番ですよ。」多分長い道のりで、足に疲れが来ているのを見取ったのだろう。不注意から転倒して足を痛めようものなら、この先の楽しい山行は望めるわけはない。しかし、こんな心からの温かい言葉に感動して、思わず「ありがとうございます。」後を振り向けば剣岳の雄姿が目に飛び込んで来た。

10人以上のパーティとすれ違ったとき、相手の最後を歩く人が、「長くお待たせしました。私が最終です。」と挨拶してくれた。なんとも感じがよく、思わず、「はい」と返事をした。それ以降、わがパーティで最後を歩く、私も、「すみません。ラストです。」というと、先方からも快い反応が返ってくる。たったこれだけの短いやり取りでも、山中で同じ目標を持って行動している者同士の連帯感が生まれる。



ゆっくり楽しむ、というのがこの山行の大きなテーマとなったが、そのためには事前の準備が大切になる。今回の山行人数は10名、男女5名づつだ。そのなかに82歳の男女1名づつが含まれる。もちろん二人とも、過去に大きな山を経験してきたベテランだ。二人に限らず、平均年齢が70歳というチームが心を合わせ、弱い部分をかばい、励ますチーム力が必要になる。リーダーの統率力は必要不可欠である。歩く間に、最高齢者とリーダーへのリスペクトが生まれて行ったことが、この山行が楽しいものになった一番大きな理由である。
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大暑

2016年07月22日 | 日記


早朝、畑で農作業。大暑の今日は、少し動いただけで大汗となる。気温が上がって、その上に湿度が高いため、30℃にならなくとも暑い。土から出て脱皮したばかりの蝉が飛べずに、その準備をしている。さらに気温が高くなると、やがて羽をふるわせて鳴きだすのだろう。

明日からの鹿島槍の机上登山をする。扇沢の登山口から、柏原新道を登る。朝日の当たる岩小屋沢岳を見ながら高度を上げると、雪渓が残るあたりでは、落石に注意しながら素早く通過。右手後には、日本三大雪渓の針ノ木雪渓が見える。足が疲れ始めたころ、稜線上に種池山荘の赤い屋根が見始める。登山道は短い夏の日を惜しむかのよう浴びて、咲ききそう高山のお花畑。タカネバラ、チシマギキョウ、イワツメクサなどなど。

種池山荘から剣岳、雄山、大汝山ら立山連峰の大パノラマが広がる。夕日はどっちの方へ沈むのか。星空を眺めると、アルプスの山々はどんな歌を合唱するのか。翌朝冷池山荘のあたりから見る双耳の鹿島槍はどんな表情を見せるか。天気予報、明日15時まで晴れ。後曇り、夜21時ころ小雨。24日晴れ、午後18時ころから曇り、夜0時小雨。25日、曇り時々雨。降水確率50%。天気予報がこのまま変わりませんように。(祈る)ブログは帰宅して体を休めるため25日まで休載。26日に無事であれば、撮影した写真などアップする予定です。
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ヤマドリタケ

2016年07月21日 | 日記


季節は多様な要素を含んで進む。セミの初鳴きを聞いたばかりだが、畑の雑草のかげにコウロギの姿がもう見える。千歳山に秋を象徴するキノコ、ヤマドリタケが早くも出、今日はブナシメジを採ってきた。ヤマドリダケはいかにもどぎつい色をしているが、石づきと傘の裏の網状の管孔の部分をとりさって、傘の部分をシイタケのように切り、豆腐と一緒に味噌汁にすると、やわらかい歯ごたえで実に美味であった。ブナシメジも同じように味噌汁で食べようと思う。夏野菜の盛りであるが、時として食卓に秋の香りがのる季節でもある。

茸を追ひ且つ屡は山を見る 相生垣瓜人

千歳山はきのこが多く出る山ではないが、時々ここにこんなキノコがも出たのかと、思う時がある。そんなとき、ついいつも通る登山道でなく、キノコを追って斜面に入ったりする。蔓に足をとられて転倒し、骨折したのは、もう5年以上も前のことだ。そういえば、そのことがきっかきだったのか、山道を歩くのに、気を配ることが多くなったような気がする。足が弱った分、周りの危険物に注意して、怪我を避ける習慣が、身についてきたと言うべきか。
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鹿島槍への準備

2016年07月21日 | 登山


いよいよ鹿島槍への山行の日が迫ってきた。トレーニングのための千歳山に登る。山中はユリの花が満開。鹿島槍へ参加するメンバー2人も、トレーニングに来ていた。山行は事前の準備が楽しい。駅前の登山用品店モンベルで、こまごまとして山の用品を買う。ここは、山の用品の専門店で、品数も豊富だ。昨年リュックのなかに雨がしみこんで衣類などが濡れてので、衣類を収納する防水の袋、ザックカバーも新しいものを求めた。

資料の読み込みも丹念に行っている。昭和35年に映画化された松本清張の「ある遭難」に出演した故児玉清の随筆がある。映画は冷池山荘に10日間滞在して、鹿島槍を舞台に撮影された。

「北と南、双耳峰と呼ばれる2つの屹立する槍と、それをえも言われぬ絶妙な曲線でつなぐ吊尾根の優美さ。とっさに頭に閃いたのは、凛としたシェパードの姿であった。(中略)冷池山荘で約10日間過ごした鹿島槍での生活の素晴らしさは他にたとえようがない。日々、時々刻々、天候と光線の移り変わりによって色調を変化させる鹿島槍の双耳峰の佇まいの言葉ではいいつくすことのできない美しさ。朝日を浴びての、夕日に照らされての、そして星空の下での美しさは、鳥肌が立つといった感動をもたらした。」(児玉清)

鹿島槍の天気も23日晴れ、24日晴れのち曇り、25日曇りのち雨(確率40%)と出た。畑の収穫も出かける前に終えなければならない。
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