「ミモロちゃん、今年も厄除け粽づくりのお手伝いしてもらえる?」と、お友達の三宅さんに言われたミモロ。「もちろん、今年もお手伝いできるのうれしい…」と。7月1日から始まる京都三大祭りのひとつ、祇園祭。そこでは、厄除け粽という玄関先に飾るお守りが、各山鉾で授与されます。そのため、各山鉾町の人たちは、現在、その準備に大忙し…。
よく「粽の賞味期限はいつまでですか」と聞かれますが、この粽は、形こそ同じですが、端午の節句に食べるものとは違い、食べられません。玄関などに飾り、厄除けにするお守りなんです。京都の町家をはじめ、ビルの入り口など、いろいろな場所で、この粽が見られます。
「これを付けていると、禍が通り過ぎてくんだよ~」と、ミモロも、自分のうちの玄関に、しっかり飾っているんです。
33基の山鉾は、ずべてそれぞれの名前をつけた粽を用意します。その数は、それぞれ3000くらいといわれますが、人気の長刀鉾や菊水鉾、月鉾などは、その数は5000以上とか…。山鉾が町に立つ宵々山(山鉾巡行の2~3日前)から、それぞれの町家で求めることができます。1つ700円~1000円くらい…。その売上げは、山鉾の修復など、祭りを運営・維持するために使われます。
八坂神社でも粽は用意されていて、こちらは、7月1日から社務所などで求めることができます。
2年目となる粽づくりのお手伝い…。「今年もよろしくお願いしま~す」と、すでに作業を始めている蟷螂山のみなさんにご挨拶。蟷螂山は、大きなかまきりが、山車の上で動く人気の山。「さぁ、がんばるぞ~」とエプロンを付けて張り切るミモロです。
集会場の隅に、粽の束が…
まずは、それを自分の席のそばに運びます。この粽は、上京区や左京区などの農家の方々が、毎年作っているそう。もちろんすべて手作り、「ふつうの神社のお守りより、手間がかかってる~」と。小さな粽は、10個を一束にまとめられています。それに、お札を付けて、ビニール袋に入れるのが、ミモロたちの作業です。
「ヨイショ…」
作業机の上に運んで、いよいよ作業開始です。「あのーもう一度、やり方教えてー」とミモロ
隣の席の三宅さんに、粽づくりのやり方を確認…。
「粽の上にお札を載せて…それから蟷螂山のラベルをグルリと回して、後ろにカマキリのシール貼ってね…」
「こう・・・?」「そうそう、上手…」お詣りにいらした方が、求める厄除け粽ですから、ひとつひとつ丁寧に心を込めてセットします。
作業にも慣れたミモロです。
「みんなと一緒に作業するの楽しい…」すっかり京都のネコとして、地元になじんでいるミモロです。
この粽作業は、山鉾町に住む人たちだけで行われるもの。まったく関係ない地域に住むミモロは、特別に参加させてもらっています。観光客の人でも、やりたいという人は多いのですが、祇園祭は、京都の町衆のお祭り。外部の人がふらりと来て、参加できるものではないのです。
「さぁ、もう一束、やろう…」
また、粽の束を机に運んだミモロ「あ、始まった~」とテレビを…。そう日曜日は、サッカーのワールドカップに日本が出場する日。集会場のテレビもつけて、作業しながら、みんなで応援しました。「わーゴールだって…」「うー逆転されちゃった~」と、ゴールごとに一喜一憂。
作業は、午後まで続きました。
ビニールに袋詰めされた粽は、ちゃんとできてるか、品質確認。
「はい、おしまい…」と、すべての粽のセットが終了したのは、14時過ぎ。朝の9時から始まった作業が終わりました。
「また、祇園祭の時にもお手伝いに来まーす」とミモロは、挨拶してみなさんにお別れ…。
蟷螂山は、先祭17日の山鉾巡行の組です。ミモロの作った粽を買いに来てくださいね。
7月になると、ミモロたちが作業した粽は、ご祭神に供えられ、お祓いを受けます。「その時からお守りになるんだよ」
「わーいよいよ祇園祭って感じ…」7月1日から31日まで、一か月間続く、日本で一番期間が長いといわれるお祭り。京都の町に、祇園囃子が響くのも、もうすぐです。
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