ある日、ミモロは、お友達から「たこ焼きパーティあるから、ミモロちゃんも来ない?」とうれしいお電話をいただきました。
「タコ焼き大好き!行く行く…」と二つ返事のミモロです。
「ミモロもお手伝いしま~す」と、エプロンと三角巾持参で、張り切ってお友達のお家へ出かけました。
すでに、テーブルの上には、刻んだ紅生姜とネギ、天かす、そして、ブツ切りのタコの準備が整っています。


さっそくタコ焼きプレートを熱し、油を引いて…あまりに手際よく進む作業に、ミモロは、そばでぼう然と立ち尽くしています。

次に、タコ焼きの粉を溶いた生地を穴に注ぎ、タコ、ネギ、天かすをその上に振り掛けるように置いてゆきます。

「あの~ミモロ、タコ大好きだから、お願い2個入りにしてね~」とリクエスト。「はい、じゃ、豪華にタコ2個入りで作るね~」とお友達。最後に紅生姜を振り掛けて、焼けるまで、しばらく待つことに。
「まだかなぁ~」とじっとプレートを見つめるミモロです。

「でも、こんなにプレートいっぱいに生地のせていいの?」と、ちゃんと丸くなるのか心配でたまりません。
「ねぇ、タコ焼きプレートて、お家にあるんだ~」と東京生まれのミモロ。「そう、関西のうちには、大抵あるんじゃないの?」と、サラリと答えるお友達。「そう、ミモロのうちには、ないよ~。だって、そんなにタコ焼きお家でやらないもの…」と。
「え~そうなの、子供のころなんか、毎週のように焼いてたわよ~」と、お友達。「え~そんなに頻繁に…」と、目を丸くして驚くミモロです。
なんでも、関西では、それぞれの家のタコ焼きの味があるそう。生地の材料や調合、中身にそれぞれの家の個性が光ります。
お友達の家の味は、シンプルなもの。「山芋入れたり、いろいろやってみたけど、シンプルなのが一番おいしく感じたので、我が家は、これね」と。
「ミモロちゃんのお家は、お好み焼きは、作らないの?」「う~ん、あんまり…だって、プレートないんだもの…」と答えます。
そう、ミモロがお邪魔した京都のお友達のお家には、ずべてタコ焼きプレートになる、ホットプレートがキッチンの必需アイテムのひとつになっていました。
さぁ、そろそろ丸くまとめる焼き具合になったよう…。

プレートいっぱいに広がった生地を、中身の具を巻き込みながら、これまた手際よくまとめてゆきます。

「ミモロもやりた~い」と、すでに丸くなったタコ焼きを、ひっくり返すミモロです。


美味しそうに焼きあがりました。「ミモロちゃん、みんなタコ2個入ってると思うけど、中には3つ入ってるのもあるかも…」
「え~3つも…」ミモロは、焼きあがったタコ焼きをじっと見つめ、タコが入っていそうな大き目のタコ焼きを、一番に自分のお皿に取り分けます。
「これ、大きいから、きっと3個入りだね」


タコ焼きには、海苔と鰹節を振り掛けて…。「ねぇ~ソースつけないの?」とミモロ。「うちでは、そのまま何も掛けないで食べるのが人気なの…」と。いろいろな市販のタコ焼きソースを試したり、また、さまざまなソースやケチャップなどを調合し、独自のタコ焼きソースを作ったものの、結局、美味しいタコや素材の味をあじわうには、何も掛けないのがいいということになったそう。
こんがり焼けたタコ焼きは、いかもに美味しそう。
「タコ3個だもんね~」と嬉しそうに、大きなタコ焼きを見ては、今にも、涎がこぼれそう…。

「ミモロちゃん、中身、すごく熱いから、やけどしないようにね~」とお友達。慌てて、丸ごと口に入れると、中のアツアツの生地が、口の裏にくっついて、やけどをするのだそう。これ、関西の人なら、一度は経験するらしいです。
「じゃ、お箸で、割ってから、ゆっくり食べる…」ネコ舌のミモロは、少しさましてからいただくことに…。

「タコ3つ、タコ3つ…」と呪文のように唱えながら、タコ焼きを割ると…
「あれ~?」

次の瞬間、「わ~ん」と突然、その場に泣き崩れるミモロ。「え?どうしたの?ミモロちゃん、なにかあったの?」と心配するお友達。

「タ、タコが、一つしか入ってない…」。3つ入ってると期待したミモロは、あまりのショックに涙が…。「そう、おかしいなぁ~みんな最低2個は、入ってるはずなのに…。じゃ、もう一つの方に、3個はいってるんじゃないの?」「そうかなぁ~」と、涙を拭いて。もうひとつのタコ焼きをお箸で割ってみました。


「変ねぇ~、私のは、2つ入ってるわよ」「私も…」一緒にテーブルを囲んでいた、ほかの4人のお友達のタコ焼きには、ちゃんと2個づつタコが…。「ダ、ダメ…みんなシー」と、ミモロに気を遣うお友達。「わ~ん、ミモロだけ1つのハズレなんだ~」と、さらにミモロのショックは大きいものに…。
初のタコ3個入りの豪華版のタコ焼きに大きな期待を寄せていたミモロだったのです。そんなにショックだったの?「だって~」と、涙目で、答えます。「じゃ、ミモロちゃん、たくさん食べていいからね~」と、お友達。「いいの?たくさん食べて…」「ミモロちゃんが食べきれないほど、材料あるから大丈夫。次は、ミモロちゃんの目の前で、タコ3個入れるからね…」とお友達。「うん、3個入れたタコ焼き、焼く場所動かさないでね~」とミモロ。
次に焼いたタコ焼きは、ミモロの希望通り、3個入り。でも、その分、他の中身が少なくなります。
「やっぱり、1個か2個の方が美味しいみたい…」と。それから、タコは、1個か、2個に。こんがりとした皮と中身のトロリ感。そしてタコとほかの食材の調和は、抜群。やっと満足して、笑顔になったミモロです。ものには、加減というものが…多ければいいというものではないことを、身をもって知ったミモロでした。
タコ焼きを思う存分食べたミモロ。「こんなに食べたの初めて~。やっぱり焼きたてって美味しいね~」ポッコリ膨れたお腹を撫でていると、突然、部屋の照明が消え、カワイイケーキが登場です。
お友達のひとりのお誕生日のケーキです。「ハッピーバースディー」の唄をみんなで歌って、お祝いします。

「はい。ミモロちゃんのケーキ、いちごたくさんあるところね~」と切り分けてくれたお友達。

みんなでタコ焼きプレートを囲んで楽しむタコ焼きパーティ。
日本の料理には、すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、焼肉など、みんなで調理しながらいただく料理が多く、それが人気。
できたてを食べたいという日本人の心情が、感じられると共に、みんなでコミュニケーションを取りながら、いただく食事がすきなようです。京都で人気のカウンター割烹なども、お客様の目の前で料理を盛り付ける、日本人らしい料理スタイルなのです。
「やっぱりみんなで焼くタコ焼き美味しかったね~」と、関西の人たちが楽しむタコ焼きパーティ。
「うちでもやろうよ~」と、タコ焼きプレートをねだります。

ブログを見たら、金魚をクリックしてね。ミモロより