10月22日、「時代祭」と同じ日の夜、京都の北、鞍馬の由岐神社では、京都三大奇祭のひとつ「鞍馬の火祭」が行われます。ちなみに、「京都三大奇祭」とは、ほかに「今宮神社」の「やすらい祭(4月)」と、「広隆寺」の「太秦の牛祭(10月)」だそう。
ミモロは、「時代祭」の行列を見送り、下鴨のおうちで、準備を整え、出町柳駅に向かいました。
「祭りは、20時が見どころらしいよ~。まだ十分間に合うね~」と、あちらで食べようとおむすびと飲み物などを用意。17:30に駅に到着すると、そこには、叡山電車の鞍馬行きを待つ人たちの長蛇の列が…。
「わ~すごい人…噂には聞いてたけど、スゴすぎる…」と、すでに怖気づいています。
なんとか電車に乗ったものの、中は、ラッシュアワー状態。「東京の通勤列車みたい…」小さなミモロは、押しつぶされそうな混雑です。もみじ見物のための観光車両だったため、車内には、つり革がなく、電車が揺れるたびに、乗客は、バランスを保つのに必死に踏んばらなくてはなりません。
この日は、「火祭ダイヤ」で、12から15分ごとに運行され、2台ほど待てば、乗車できます。
さて、「鞍馬駅」に到着すると、そこからは、警備の人たちの指示に従い、駅前でしばらく待機状態。大勢の人たちが、駅の前を埋め尽くしています。「どうなるんだろ?」と心配そうなミモロ。
待っている間に、祭りの松明が次々に前を通ってゆきます。

やっと、人の波が動き、ミモロは、見物の列に入ることができました。
「立ち止まらないでくださ~い」と、メガホンで警告する警察官。ミモロは、人の波に流されながら、進んでゆきます。
「もう逆戻りもできないし、このまま流されてゆくしかないね…」と、見物人に選択の余地はありません。


今までは、人の流れの規制はなく、沿道には、大勢の人が立ち止まって身動きができない状態でしたが、それを改善するために、3年ほど前から、見物人は、駅から一方通行で、由岐神社の前を通り、鞍馬街道の一部を進み、畑の道へと迂回し、再び駅へと戻る周回コースにそって歩くことが決められました。1周約1時間というコースですが、それ以上はかかり、また見物できるのは10分から15分ほど、人ごみの中に立っている時間の方が断然長いのです。
それでも、鞍馬街道沿いの道では、祭りの様子を見物できました。


道には、大きな松明が灯され、そのそばには、祭り装束の男衆が、松明を担ぐときを待っています。
そもそもこの鞍馬の火祭りは、パンフレットによると、940年、世の平安を願い、朱雀天皇の詔により、御所にお祀りしていた由岐明神を都の北方の守護として、鞍馬に遷す折、松明や神道具などを携えた約1キロにもおよぶ行列がつづいたのだそう。その儀式と由岐神社の霊験を後世に伝えるために、この火祭りが行われるのだそうです。
祭りのハイライトは、20時ごろから始まる、神社の前に、各集落から集まった多数の松明、そして神社から下り、御旅所に向かう2基の神輿の巡行。さらに深夜におよぶ御旅所での神楽奉納などです。
ミモロが到着した時刻は、まだ20時には、間がありましたが、街道を「サイレイヤ サイリョウ」(祭礼や、祭礼)という掛け声が響き、松明を担いだ子供や大人が進みます。


松明をもつ人は、氏子の家の人たちです。
この祭りの装束は、他の祭り装束とは、明らかに異なる、ある種の不思議さを湛えたもの。

頭には、向こう鉢巻き、肩当を片方の肩から下げ、さらに船頭篭手という片袖の派手な模様の布を装着します。「これ、海に関係する文様が描かれてる~この布、甲冑を着るときの籠手みたい…でも、あまりに派手だから刺青みたいに見える…ここは山の中なのに、なんで海の模様なんだろ…」と不思議に思うことだらけです。
「その装束どういう意味があるんですか?」と、大胆にも尋ねるミモロ。

「この鉢巻きは、武将の勇ましさ、船頭篭手は、船頭のもつ腕力の強さ、黒の締め込みと下がりは、相撲取りの強力、脚絆は、足の速さを表しているんですよ」と親切に教えてくださいました。「え~つまり、力強さが集約されたもんだなんだ~。なんか合体ロボの発想みたい…」とミモロ。さまざまなパワーを合体させたロボットは、まさにこういう発想から生まれたものかもしれません。
「わ~迫力ある~」と、パチパチ火の粉を落としながら進む松明…見物人が引き込まれる景色です。

「あ、鞍馬街道の見物コース、もうおしまい?」そこから見物人は、祭りから離れた畑道へと誘導されます。
「うわ~ちっとも前に進めない…」道は、2人ほどしか歩けない細道へと続くため、その前には、人が大勢たまってしまいます。


「10メートル進むのに10分くらいかかるんじゃないの~」でも、そこから逃れることはできず、ただ人の流れに乗るしかありません。
「まだ、お祭りのハイライト見てないよ…どうしようかな~」とミモロ。松明が集まる神社の前に行くためには、再度この周回コースを歩かなくてはなりません。
すでに人ごみにもみくちゃにされ、疲れ切ったミモロ…「もう、おうちに帰る~」と、ぐったり…。
そこで、「鞍馬駅」から電車で出町柳駅に行くことに…でも、すでに駅には、帰りの電車を待つ人たちの長蛇の列が…。
「わ~ん、電車乗るのに、また並ばないといけないの…おうちに帰れない…」と、そう少なくとも1時間は、必要かも…。
泣きべそ状態のミモロです。

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