祇園の南座の東側を走る大和大路。四条通りから、少し南に下がったところにあるビルの前に看板があります。
「ここだー」。昨年、おもてなし実践者の表彰式に、ミモロが出席したとき、いっしょに表彰された井上硅子(いのうえけいこ)さんが営む喫茶店「ラテン」です。「一度遊びにいらっしゃ」と言われていたミモロです。
通りから、少し奥まったところに喫茶店の入口があります。
「ここ、知ってないと、ちょっと入りにくいかも…。どんなお店かな?」と、ちょっとドキドキしながらドアを開けました。
なんかレトロな雰囲気。それもそのはず、このお店は、昭和26年創業。お店自体は、ビルに建てなおしましたが、家具や調度品、デコレーションなどは、創業当時のものをそのまま使っています。
「まぁ、ミモロちゃん、いらっしゃませー」「いつ来るかって、楽しみにしてたんよー」と笑顔で迎えてくれた井上さん。「お久しぶりでーす。ごめんなさい…なかなか来れなくて~」と。
「なんにする?好きなものどうぞー」「え~悩んじゃう…」ミモロは、メニューを見ながら、悩んでいます。
メニューには、いろいろなフルーツジュース、サンドイッチ、ホットケーキ、チキンライス、ピラフなど、デザートや軽食もいろいろ。どれもどこか懐かしい品ぞろえ。結局、おすすめでケーキとコーヒーを頂くことに…。
「美味しそう…」チーズケーキがミモロの前に。煎れ立てのコーヒーのいい香りが鼻をくすぐります。
「いただきまーす」。井上さんとのお話は、後にして、まずは目の前のケーキに集中するミモロです。
しばらくして、「美味しかったーごちそうさまでした」。口の周りを拭きながら、やっとお話を聞く、心のゆとりがうまれたよう。
いつもステキな笑顔の井上さん。このお店を始めて、すでに60年ほどに。もともとお父様から譲り受けた祇園の家で、なにか商売を…。そう考えていた井上さん。当時すでに祇園で評判の老舗喫茶「フランソア」のオーナーさんが、喫茶店をすることを勧めたそう。「それで3か月間、フランソアで修業したんですよ。喫茶店のことを、いろいろ教わったんです」と。
井上さんのご実家は、象牙や大理石の彫刻などを扱う商売をなさっています。今も、店には、その当時の大理石などのヨーロッパを思わせる彫刻が飾られています。
それと共に、印象的なのが、鮮やかなステンドグラスです。絵画のように壁を飾り、またランプが手元を照らします。
「キレイなステンドグラス…」とミモロが、見惚れていると「それ、みんな私が作ったんですよ」と。「え~井上さんの作品なの?スゴーイ美しいー」。ご自宅にある作業場で、製作なさったそう。
「今の喫茶店は、なんか落ち着かないでしょ?ここは、ゆっくり過ごしてもらうための場所なんですよ。だから、ちょっと奥まった場所にあって、静かでしょ…。南座にも近いので、よく俳優さんたちが過ごされるんです」と。多くの歌舞伎役者さんや京都に撮影に来る俳優さんたちも、常連だとか。
「この椅子、クラシックな感じでステキですねー」ひとつひとつ丁寧に彫り込まれた飾りが、アートな椅子。壁の彫り物も、見事です。「当時、有名な彫刻家さんに頼んだそうですよー」と。どっしりとした椅子で、動かすのが大変だとか…。
でも、座り心地は上々です。
常に、人出が多い大和大路。でも、こんなに四条通の近くに、落ち着いた喫茶店があったとは…。お友達とおしゃべりをしたり、ひとりお気に入りの本を読んだり…インターネットの設備はありませんが、こういう静かな喫茶店も知っておきたいもの。
京都は、昔から喫茶店文化が花開いた地域。最近は、古い喫茶店も次第に少なくなり、外資系コーヒーショップやファーストフード、コンビニでコーヒーを飲む人が増えています。でも、「こういう喫茶店…いいよねー。次はお友達と来まーす」。八坂神社や祇園界隈の散策の途中に立ち寄りたい、心和むレトロな喫茶店です。
*「喫茶ラテン」京都市東山区大和大路通四条下ル大和町8 075-561-4245 10:00~21:30 水曜休み
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