monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 一月 子日(ねのひ)

2013年01月07日 | 日本古典文学-春

子日祝といへる心をよませ給うける 法皇御製 
松ならて何をかひかん行末の千とせの春のけふの子日に 
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

春の歌の中に 前大納言良教
末とをき子の日の松に引そへてわかなも千世の春やつむへき
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

 雪中子日といへる心をよめる
子日してよはひをのへに雪ふれは二葉の松も花さきに鳧
(散木奇歌集~群書類従15)

 正月七日子日にあたれりけるに、松とわかなとを人の許へつかはすとて
きみがためわかなに松をひきそへておいせぬちよをいのりつるかな
(逸名歌集-穂久邇文庫~新編国歌大観10)

ちごの五十日(いか)、子(ね)の日にあたりて侍りけるによみ侍りける われからの式部卿親王
今年生ひの若葉の松をためしにて千世の子の日にたれも引かなん
侍従のめのと
今日よりはいかに久しきためしをか子の日の松に引かんとすらん
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

朱雀院の御屏風に、子日に松ひく所に鶯の鳴をよみ侍ける 大中臣能宣朝臣
子日する野へに小松を引つれてかへる山路に鶯そなく
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

おほきさいの宮に宮内といふ人のわらはなりける時、たいこのみかとのおまへにさふらひけるほとに、おまへなる五葉に鶯のなきけれは、正月はつねのひつかうまつりける
松のうへになくうくひすのこゑをこそはつねの日とはいふへかりける
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

今日は子の日なりけり。げに、千年の春をかけて祝はむに、ことわりなる日なり。
姫君の御方に渡りたまへれば、童女、下仕へなど、御前の山の小松引き遊ぶ。若き人々の心地ども、おきどころなく見ゆ。北の御殿より、わざとがましくし集めたる鬚籠ども、破籠などたてまつれたまへり。えならぬ五葉の枝に移る鴬も、思ふ心あらむかし。
(源氏物語・初音~バージニア大学HPより)

昼つ方、小さき童、緑の薄様なる包み文の大きやかなるに、小さき鬚籠を小松につけたる、また、すくすくしき立文とり添へて、奥なく走り参る。
(源氏物語・浮舟~バージニア大学HPより)

初子の日、早朝、疾く起きて、姫君の御方へ渡りたまへば、さらなりや、御しつらひ改まるけぢめ、異ならず、めでたき女房、童、人に劣らじといどみつくろひて、ところどころ群れ居たる、わらはげたる雛扱ひなどするに、姫君は、紅梅の薄きを六つばかりに、梅の五重の御衣、やがて枝織り付けられたる萌黄の五重なる、雛をつくり据ゑたらむやうに、我が御程はをかしげなるに、御衣がちに引かれて、「今咲きたらむ花も、いとかかるにほひは、いつかはある」と見るより、ところせくこ
ぼれ出でたるやうなるは、恨めしき人、ふと思ひ出でらるるに、御硯の蓋に、小さき松どもうち置きつつ、青き唐の薄様に御文書きたまひけるを、見たてまつりたまへば、恥ぢしらひてうち置きたまヘるを、「御文は、いづこに書かせたまふぞ」と、うち笑みつつ問ひきこえたまへば、恥づかしとおぼして、御顔いと赤くなりたまへる、いとはなばなとうつくしげなり。見たまへば、
 (石山の姫君)ひきそふる松見てもなほ思ふかな同じ尾の上に生ひぬ契りを
(夜の寝覚~新編日本古典文学全集)

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古典の季節表現 春 一月七日 白馬節会

2013年01月07日 | 日本古典文学-春

承和元年正月戊午(七日) 天皇が豊楽殿に出御して青馬を観覧し群臣と宴を催した。
(続日本後紀〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

七日、白馬節會也。春の日かげもうらゝかなるに、内辨のよそほひゆゝしくみえしかば、辨内侍、
とねりめす春の七日の日のひかり幾萬代のかげかめぐらむ
その夜、はくばのわたるをみて、辨内侍、
ひきつれてうちもたゆまぬ駒の足はやく此よは更けやしぬ覽
(弁内侍日記~群書類從18)

七日は(略)
白馬(あをむま)見るとて、里人は車きよげにしたてつつ行く。中の御門のとじきみひき入るるほどに、かしらどももひとところにゆきあひて、さし櫛も折れ、落ちなどしたるを、かたみに笑ふも、またをかし。左衛門の陣に殿上人あまた立ちて、舎人の弓どもをとりて馬どもおどろかし笑ふもあり。はつかに見入れたれば、立蔀・御簾殿などわづかに見えて、主殿司(とのもづかさ)などの行きちがひたるがほのかに見えたる、いとをかし。いかばかりなる人、九重をかく立ちならすらむと思ひやる、をかし。帝のおはしますらむさまなど思ひやりまゐらせて、宴の松原といふ人はなけれど、すずろにねたけれ。いとせばきほどに舎人のかほのきぬきもあらはれ、白き物のゆきつかぬところは、まことに黒き庭に雪のむらむら消えのこりたるここちして、いと見ぐるし。馬のあがりくるふも、いとおそろしくおぼゆれば、ひき入られて、ようも見えず。
(枕草子・前田家本)

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