「(略)春の空のたどたどしき霞の間より、おぼろなる月影に、静かに吹き合はせたるやうには、いかでか。笛の音なども、艶に澄みのぼり果てずなむ。女は春をあはれぶと、古き人の言ひ置きはべりける。げに、さなむはべりける。なつかしく物のととのほることは、春の夕暮こそことにはべりけれ」
(源氏物語・若菜下~バージニア大学HPより)
入道一品宮に人々まいりてあそひ侍けるに、式部卿敦貞のみこふえなとおかしくふき侍りけれは、かのみこのもとにはへりける人のもとに又の日、よへの笛のおかしかりしよしいひにつかはしたりけるを、みこつたへきゝて、おもふことのかよふにや、人しもこそあれ、きゝとかめけることなと侍ける返ことに 相模
いつか又こちくなるへき鶯のさへつりそめし(イさへつりそへし)夜はの笛竹
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
たいしらす 読人しらす
笛のねの春おもしろくきこゆるは花ちりたりとふけは也けり
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)