monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

雁(かり)

2011年08月25日 | 日本古典文学-和歌-秋

秋風にこゑをほにあげてくる舟はあまのとわたる雁にぞありける(古今和歌集)

秋風に大和へ越ゆるかりがねはいや遠ざかる雲隠りつつ(万葉集)

ゆきかよふ雲ゐは道もなきものをいかでか雁のまどはざるらむ(人丸集)

山の端(は)の雲のはたてを吹く風にみだれてつづ く雁のつらかな(玉葉和歌集)

雲間もる入り日のかげに数みえてとほぢの空をわたるかりがね(風雅和歌集)

夕さればいや遠ざかり飛ぶ雁の雲より雲にあとぞ消えゆく(玉葉和歌集)

夕日影さびしく見ゆる山もとの田のもにくだる雁の一つら(風雅和歌集)

大江山かたぶく月の影さえて鳥羽田(とばた)の面(おも)におつるかりがね(新古今和歌集)

つれてとぶあまたのつばさよこぎりて月のした行く夜半(よは)の雁がね(風雅和歌集)

さ夜中と夜はふけぬらし雁が音(ね)の聞こゆる空に月わたる見ゆ(万葉集)

霧こめてあはれもふかき秋の夜に雲ゐの雁もなきわたるかな(中務内侍日記)

しのびあまり恋しきときは天(あま)の原そらとぶ雁のねになきぬべし(金槐和歌集)

いかにせむ雲の上とぶ雁がねのよそになり行く人の心を(続後撰和歌集)

(2009年11月3日の「雁」の記事は削除しました。)


初雁(はつかり)

2011年08月24日 | 日本古典文学-和歌-秋

秋風のさむき朝けに来にけらし雲にきこゆる初雁のこゑ(玉葉和歌集)

霧はれてあさ日うつろふ山の端(は)の雲にすぎゆく初雁のこゑ(新続古今和歌集)

みねこえて今ぞ鳴くなるはつ雁の初瀬の山の秋霧の空(夫木抄)

ふるさとのあさぢが末は色づ きてはつ雁がねぞ雲に鳴くなる(玉葉和歌集)

ものや思ふ雲のはたての夕ぐれに天(あま)つ空なる初雁のこゑ(続千載和歌集)

初雁のはつかにこゑを聞きしより中ぞらにのみものを思ふかな(古今和歌集)

雲がくれ鳴きてゆくなる初雁のはつかに見てぞ人は恋しき(金槐和歌集)


あきさ(鳥の名)

2011年08月23日 | 日本古典文学-和歌-秋

あはぢしま松ふく風のおろすかと聞けば磯べにあきさ立つなり(夫木抄)

あきさゐる河ぞひ小田のあぜづたひほのめきわたる夕づきよかな(万代集)

すみのぼる月の光によこぎれてわたるあきさの音のさむけさ(頼政集)

刈りて干すいなばそよぎて小山田をわたるあきさの音のさびしさ(草根集)

あきさゐるあらき浜べの松が根にころもでしきてさ寝(ぬ)るかなしさ(夫木抄)

わが恋はねにのみぞなく山ぎはにわたるあきさのゆくへ知らずも(宝治百首)

(2009年11月2日の「あきさ」の記事は削除しました。)


山鳥(やまどり)・遠山鳥(とほやまどり)

2011年08月22日 | 日本古典文学-和歌-秋

雲ゐより遠山鳥のなきてゆくこゑはるかなる恋もするかな(躬恒集)

山鳥のなくこゑ聞けばいとどしくわがとほづまの恋しかるらむ(楢葉和歌集)

思へどもおもひもかねつ足引の山鳥の尾のながきこの夜を(万葉集)

秋風の吹きよるごとに山どりのひとりし寝(ぬ)ればものぞかなしき(古今和歌六帖)

山かげや山鳥の尾のながき夜を我(われ)ひとりかも明かしかねつつ(拾玉集)

逢ふことはとほ山鳥のおのれのみ思ひみだれてなかぬ日はなし(隣女集)

あしひきの山鳥の尾のながらへてあらば逢ふよをなくなくぞ待つ(続後撰和歌集)

かひなしや山鳥の尾のおのれのみこころながくは恋ひわたれども(玉葉和歌集)

山鳥のをろのなが尾のうちはへていひとりうき世になくなくぞ経(ふ)る(竹風和歌抄)

草の庵遠山鳥のしだり尾のながくうき世をへだててやすむ(猿鹿居歌集)

(2009年11月1日の「山鳥」の記事は削除しました。)


鶉(うづら)

2011年08月21日 | 日本古典文学-和歌-秋

暮れそむる夕日は野べにうつろひて山もと遠くうづ ら鳴くなり(茂重集)

秋風にした葉やさむくなりぬらむ小萩が原にうづら鳴くなり(後拾遺和歌集)

うら枯れてした葉いろづく秋萩の露ちる風にうづ ら鳴くなり(続古今和歌集)

小萩さくみやぎが原のゆふぐれに露にそほちてうづら鳴くなり(経盛集)

見わたせば野かぜをさむみ日は暮れて尾花がくれにうづら鳴くなり(新撰和歌六帖)

うづら鳴くふりにしさとゆおもへども何をぞ妹(いも)にあふよしもなき(万葉集)

野とならばうづ らとなりて鳴きをらむかりにだにやは君は来ざらむ(伊勢物語)

来ぬ人をまつ夕暮れの秋風にうづら鳴くなりみやまべの里(言葉和歌集)

秋をへてあはれも露もふかくさの里とふものはうづ らなりけり(新古今和歌集)

夕されば野べのあきかぜ身にしみてうづ ら鳴くなり深草の里(千載和歌集)

しのにおく露ふかくさの秋風にうづら鳴くなり野べのゆふぐれ(後鳥羽院御集)

(2009年10月30日の「鶉(うづら)」の記事は削除しました。)