「平家花ぞろへ」より、平敦盛を花にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」横山重・松本隆信編、角川書店、1984年)
まだ年わかきふゆ梅の、つぼみひらくるよそほひを、はつかに見つけたる心地(ここち)したまふ。若う、をかしく、あてやかなるさましたまひて、上臈しく、やさしき人の、さるは、心も高(かう)にあはれなしりありさまなり。
「平家花ぞろへ」より、平敦盛を花にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」横山重・松本隆信編、角川書店、1984年)
まだ年わかきふゆ梅の、つぼみひらくるよそほひを、はつかに見つけたる心地(ここち)したまふ。若う、をかしく、あてやかなるさましたまひて、上臈しく、やさしき人の、さるは、心も高(かう)にあはれなしりありさまなり。
竹
夕まぐれ降るとも見えでしら雪のつもればなびく庭のくれ竹(玉葉和歌集)
降る雪に軒ばの竹も埋もれて友こそなけれ冬の山里(千載和歌集)
松
高砂の尾上の嵐ふくほどは降れどつもらぬ松の白雪(続千載和歌集)
うづ もるる風やしたよりはらふらむ積もればおつる松のしら雪(新後拾遺和歌集)
降りつもる梢や今朝はこほりぬる風にもおちぬ松の白雪(玉葉和歌集)
世の中にひさしきものは雪のうちにもと色かへぬ松にざりける(貫之集)
ふりまさる年をかさねて見つるかな ならびの岡の松の白雪(続千載和歌集)
冬きては雪の底なる高砂の松を友とぞいとどふりぬる(続拾遺和歌集)
杉
三輪の山 夜(よ)のまの雪にうづ もれて下葉ぞ杉のしるしなりける(続拾遺和歌集)
下折れのおとのみ杉のしるしにて雪の底なる三輪の山もと(続後撰和歌集)
こがらしにつれなく残る奥山の杉のこずゑも雪折れにけり(正治二年初度百首)
梅
けふ降りし雪にきほひてわがやどの冬木の梅は花咲きにけり(万葉集)
花のいろは雪にまじりて見えずとも香(か)をだににほへ人の知るべく(古今和歌集)
たちかはる春をも待たで咲く梅やまれなる色に匂ひそむらむ(前摂政家歌合)
消えつつもなほふるものは人恋ふるわが魂(たましひ)と雪となりけり(古今和歌六帖)
みやま辺(べ)やすすきおしなみふる雪にきえてもものを思ふころかな(長綱百首)
かきくらし降る白雪の下ぎえに消えてもの思ふころにもあるかな(古今和歌集)
冬の夜の雪とつもれるおもひをば言はねどそらに知りやしぬらむ(新勅撰和歌集)
空に知る人はあらじな白雪のきえてもの思ふわが心かな(古今和歌六帖)
たのめおくほどをいつともしら雪の待たで消ぬべき今日の暮れかな(風葉和歌集)
降る雪の空に消(け)ぬべく恋ふれども逢うふよしなしに月ぞ経(へ)にける(万葉集)
(2009年12月30日の「寄雪恋」の記事は削除しました。)
花の春 月の秋こそ恋しけれ雪に人来ぬ冬のやまざと(正治二年初度百首)
さらでだにとふ人もなき山里にみち見えぬまで降れる白雪(二条太皇太后宮大弐集)
けふいく日(か)とふ人なしに跡たえて雪にこもれる宿のさびしさ(新続古今和歌集)
とふ人もなくて日数ぞつもりぬる庭にあと見ぬ宿の白雪(玉葉和歌集)
とはでふる日かずのみこそつもりけれ今日も跡なき庭のしら雪(新後拾遺和歌集)
たづ ねきて道わけわぶる人もあらじ幾重(いくへ)もつもれ庭の白雪(新古今和歌集)
積もれただ道は絶ゆとも山里に日をふる雪を友とたのまむ(続千載和歌集)
おもひやれ雪も山ぢもふかくして跡たえにける人のすみかを(後拾遺和歌集)
たれをとひ誰を待たましとばかりに跡たえはつる雪の山里(秋篠月清集)
雪ふりて人もかよはぬ道なれやあとはかもなく思ひきゆらむ(古今和歌集)
踏みわくる跡よりほかは旅人のかよふ方(かた)なき野べの白雪(続千載和歌集)
やすらはば猶(なほ)ぞつもらむ降る雪にしひてや越えむ冬の山道(新拾遺和歌集)
高砂の尾のへも雪にうづ もれて道たえぬらむ志賀の山越え(夫木抄)
降るままに跡(あと)絶えぬれば鈴鹿山雪こそ関のとざしなりけれ(千載和歌集)
いづ くにか今宵はさ寝(ね)むいなみ野のあさぢが上も雪ふりにけり(新後拾遺和歌集)
松が根に尾花かりしきよもすがら片敷く袖に雪は降りつつ(新古今和歌集)
ひとり寝(ぬ)る草の枕はさゆれども降りつむ雪をはらはでぞ見る(後拾遺和歌集)
山おろしに猪名の笹原ふぶきして寝覚めがちなる雪の下臥し(三井寺新羅社歌合)