「澄み透る」という単語の用例は、日本国語大辞典・第二版では、『四河入海』(17C前)からの例が早いのですが、300年ほどさかのぼる用例があります。
庭の池のそこのまさごにやどるまですみとほりたる月のかげかな
(沙弥蓮愉集、623)
『新編国歌大観7 私家集編3 歌集』角川書店、1989年、512ページ
空たかくすみとおる月は影さえてしばふにしろき霜の明けがた
(巻第八・冬、767、実明女)
岩佐美代子(『風雅和歌集全注釈・上巻(笠間注釈叢刊34)』笠間書院、2002年、534ページ
「澄み透る」という単語の用例は、日本国語大辞典・第二版では、『四河入海』(17C前)からの例が早いのですが、300年ほどさかのぼる用例があります。
庭の池のそこのまさごにやどるまですみとほりたる月のかげかな
(沙弥蓮愉集、623)
『新編国歌大観7 私家集編3 歌集』角川書店、1989年、512ページ
空たかくすみとおる月は影さえてしばふにしろき霜の明けがた
(巻第八・冬、767、実明女)
岩佐美代子(『風雅和歌集全注釈・上巻(笠間注釈叢刊34)』笠間書院、2002年、534ページ
「消えやらず」という用語の用例は、日本国語大辞典では1205年の『新古今和歌集』からの例をあげていますが、200年以上さかのぼる用例があります。
消えやらず雪は暫しも止らなむ憂き事繁し我に代りて
(古今和歌六帖、第一、雪)
『校註国歌大系 第九巻』国民図書、1929年、287ページ
立ちかへり君やとひくと待つほとにまたきえやらすのへのあは雪
(山家集・1067)~日文研の和歌データベースより
外の面に吹雪
外(と)の面(も)に吹雪(ふぶき)ふき荒れて
雹(ひょう)降り風は猛(たけ)りつつ
わが部屋の窓きしむとも
われ悲しまじ、この胸に
恋しき君の影住みて
いとど春めき輝けば。
(「ハイネ詩集」片山敏彦訳~新潮文庫)
大根(だいこん)の時雨(しぐれ)、干菜(ほしな)の風(かぜ)、鳶(とび)も烏(からす)も忙(せは)しき空(そら)を、行(ゆ)く雲(くも)のまゝに見(み)つゝ行(ゆ)けば、霜林(さうりん)一寺(いちじ)を抱(いだ)きて峯(みね)靜(しづか)に立(た)てるあり。鐘(かね)あれども撞(つ)かず、經(きやう)あれども僧(そう)なく、柴(しば)あれども人(ひと)を見(み)ず、師走(しはす)の市(まち)へ走(はし)りけむ。聲(こゑ)あるはひとり筧(かけひ)にして、巖(いは)を刻(きざ)み、石(いし)を削(けづ)りて、冷(つめた)き枝(えだ)の影(かげ)に光(ひか)る。誰(た)がための白(しろ)き珊瑚(さんご)ぞ。あの山(やま)越(こ)えて、谷(たに)越(こ)えて、春(はる)の來(きた)る階(きざはし)なるべし。されば水筋(みづすぢ)の緩(ゆる)むあたり、水仙(すゐせん)の葉(は)寒(さむ)く、花(はな)暖(あたゝか)に薫(かを)りしか。刈(かり)あとの粟畑(あはばたけ)に山鳥(やまどり)の姿(すがた)あらはに、引棄(ひきす)てし豆(まめ)の殼(から)さらさらと鳴(な)るを見(み)れば、一抹(いちまつ)の紅塵(こうぢん)、手鞠(てまり)に似(に)て、輕(かろ)く巷(ちまた)の上(うへ)に飛(と)べり。
(泉鏡花「月令十二態」~青空文庫より)
地名でも苗字でもない「ささ川」という単語がありますが、日本国語大辞典・第二版には項目がありません。漢字は「笹川」をあててもよいのですが、地名・苗字ではないことを示したいなら、「細小川」でしょうか。
見つけた用例を以下に古い順にあげます。
朝ぼらけ霜さへとづるささ川の氷ふみわけかよふさと人
(34・洞院摂政家百首、氷五首、正三位家隆、826)
『新編国歌大観 4』1986年、角川書店、358ページ
水の上に朝霜むすぶささ川の一夜のほどにこほる冬かな
(10・草根集、河氷、5450)
『新編国歌大観 8』1990年、角川書店、173ページ
さゝ川に絵筆を洗ふ絵師ありて薄う流るゝ紅(べに)美しき
(「我が歩める道」)
『三木露風全集 第2巻』三木露風全集刊行会、1973年、161ページ