① 料理は苦手。
だから、3食とも家内が作る。
「せめて食器洗いくらいは・・」と、
朝夕は私がする。
だが、金曜と土曜はそれも免除してもらう。
この2日は、『ブログの日』なのである。
金曜は、朝食を済ませると、
朝刊へ目を通す時間も惜しみ、
2階の自室へと階段を上る。
いつもは開けっ放しの扉も、
この日ばかりは遠慮なく締めることに。
「さあて、何を書こうか」。
ノートパソコンを起動させる前に、
雑記ノートを机上に置く。
日頃から思いついたことを、このノートにメモしている。
まずは、ブログに書けそうな題材をここから探るのだ。
それを探し当てた時は、次に同じノートに、
ブログの骨子を、書き始める。
ところが、1時間も2時間も粘っても、
ノートが何のヒントもくれない時がある。
そんな日は仕方ない、散歩に出ることにしている。
朝の散歩とは違う。
ブラブラ、トボトボとした調子で、
しかも両手を上着のポケットに入れ、
伏し目がちスタイルで歩く。
人目など気にしない。
ただただ、ブログの題材に思考を巡らし、
ゆっくりダラダラ・・。
実は、今の今まで、そんな調子の散歩だった。
しばらく歩いていると、
スーッと私の横に対向車が止まった。
車に気づいて驚く私に、ドアウィンドウを降ろし、
見慣れた顔が声をかけてきた。
「散歩ですか?」
「アッ、はい。そう・・」
「どこまで?」
「その辺を、ブラブラ・・」
こんな時の私は、いつもと違う。
気のない返事だ。
だから、気づいたのだろうか、突然彼は言った。
「もしかして、ブログ?」
ビックリした。
「そうです!」と答えながら、
夏に同じような出会いがあったことを思い出した。
その時、金曜日は散歩しながら、
ブログの題材を探していると話した。
「やっぱり、そうだったか!
気をつけて、頑張って!」
ドアウィンドウを上げながらそう言うと
私の「ありがとう」を聞かないまま、彼は走り出した。
突然、思い出した。
今年も、年賀状が250枚も届いた。
その中に、ブログを読んでいるからこその一筆が添えてあるものが、
何枚もあった。
励まされた。
彼の車に急いで手を振りながら、力が湧いてきた。
② 年末からレンタルビデオにはまっている。
邦画も洋画も構わない。
新作も旧作も構わない。
手当たり次第、目に止まった映画を借りては観る。
それを返却しては、また次を借りるの、繰り返し。
動機になったのは、大型テレビの購入だ。
サッカーのワールドカップが近づき、
急に大きな画面で見たくなった。
地元のケーズデンキとヤマダ電機をはしごした。
居間の広さにあった大きさで1年前の型が、
思いのほか安い値だった。
『今でしょ!』と衝動買いした。
画像も音色も綺麗なのだ。
「これならDVDも観てみたい!」。
レンタルした映像は期待通りだった。
この間、レンタルビデオで観た映画から、
惹かれたものを2つ記す。
1つ目は『髪結いの亭主』だ。
フランス語の映画だが、
制作はいつ頃なのか全くわからない。
このタイトルを聞いたのは、相当前だった気がする。
観ながら、『男はつらいよ』を思い出した。
確か第45作だ。
マドンナが風吹ジュンで、
床屋を営む蝶子の店で寅さんが散髪をしてもらうところから、
ストーリーは展開した。
『髪結いの・・』もよく似ていた。
はじめて訪れた客は、
一人で店を切り盛りする女性に一目惚れをする。
そして、支払をしながら「結婚して欲しい」と言って、店を出ていく。
客は、3週間後再び来店する。
散髪後、叶わないと思いつつも、
店の女性に返答を尋ねる。
すると、女性は男性の求婚に応じると答えるのだ。
その日から、夢のような「髪結いの亭主」生活が始まるのだった。
さて、寅さん映画だが、
ある日、蝶子は店のドアを見て言う。
「その鐘をね、チリーンって鳴らして、
いろんな男の人が入ってきて、
またチリーンって鳴らして出て行くの」と。
そして、こうも、
「ずっと前、はじめて来た人が、
オレと結婚しないかって言って、
出て行ったの。
今度、その人が来たら、
私いいよって・・」。
脚本は山田監督に違いない。
『髪結いの・・』のパロディなのだろうが、
2つに共通した哀愁が、心に響いていた。
それにしても、『髪結いの・・』の女性は、
2人の幸せ絶頂期に、突然、増水した河川に飛び込むのだ。
「幸せのままでいたいから・・」。
彼女の残した言葉が、薄幸な人生を物語っていたようで、
いつまでも切なかった。
2つ目は、最近の話題作『ドライブ・マイ・カー』だ。
巨匠・村上春樹氏の短編小説集『女のいない男たち』の1編が、
原作である。
『女のいない・・』が発刊されたのは、2014年だった。
すぐ購入した。
短編の内容よりも、きしみのない展開と文体に、
魅了されたことだけが記憶に残っていた。
映画は、舞台俳優・家福と女性ドライバーみさきを
中心に展開するのは同じだが、
設定やストーリー性は大きく違った。
でも、映画だからこそと思うシーンが多く、見応えがあった。
映画の終末、家福は急逝した妻への
みさきは事故死した母への、
複雑な想いを払拭する場面が圧巻だった。
自分の醜さを心に秘め、
それと1人で向き合い苦しんできた家福とみさき。
その心情が、痛いほどに伝わってきた。
苦しみから脱皮する2人に共感した時、
そっと私の扉をノックされたような気がして、
思わず身構えてしまった。
でも、みさきの運転する真っ赤なターボ車の
エンジン音が、何故かその力を抜いてくれた。
やっぱり、家福やみさきのように、
自分と向き合うなんて 中々!
春の陽気 水かさを増す気門別川
だから、3食とも家内が作る。
「せめて食器洗いくらいは・・」と、
朝夕は私がする。
だが、金曜と土曜はそれも免除してもらう。
この2日は、『ブログの日』なのである。
金曜は、朝食を済ませると、
朝刊へ目を通す時間も惜しみ、
2階の自室へと階段を上る。
いつもは開けっ放しの扉も、
この日ばかりは遠慮なく締めることに。
「さあて、何を書こうか」。
ノートパソコンを起動させる前に、
雑記ノートを机上に置く。
日頃から思いついたことを、このノートにメモしている。
まずは、ブログに書けそうな題材をここから探るのだ。
それを探し当てた時は、次に同じノートに、
ブログの骨子を、書き始める。
ところが、1時間も2時間も粘っても、
ノートが何のヒントもくれない時がある。
そんな日は仕方ない、散歩に出ることにしている。
朝の散歩とは違う。
ブラブラ、トボトボとした調子で、
しかも両手を上着のポケットに入れ、
伏し目がちスタイルで歩く。
人目など気にしない。
ただただ、ブログの題材に思考を巡らし、
ゆっくりダラダラ・・。
実は、今の今まで、そんな調子の散歩だった。
しばらく歩いていると、
スーッと私の横に対向車が止まった。
車に気づいて驚く私に、ドアウィンドウを降ろし、
見慣れた顔が声をかけてきた。
「散歩ですか?」
「アッ、はい。そう・・」
「どこまで?」
「その辺を、ブラブラ・・」
こんな時の私は、いつもと違う。
気のない返事だ。
だから、気づいたのだろうか、突然彼は言った。
「もしかして、ブログ?」
ビックリした。
「そうです!」と答えながら、
夏に同じような出会いがあったことを思い出した。
その時、金曜日は散歩しながら、
ブログの題材を探していると話した。
「やっぱり、そうだったか!
気をつけて、頑張って!」
ドアウィンドウを上げながらそう言うと
私の「ありがとう」を聞かないまま、彼は走り出した。
突然、思い出した。
今年も、年賀状が250枚も届いた。
その中に、ブログを読んでいるからこその一筆が添えてあるものが、
何枚もあった。
励まされた。
彼の車に急いで手を振りながら、力が湧いてきた。
② 年末からレンタルビデオにはまっている。
邦画も洋画も構わない。
新作も旧作も構わない。
手当たり次第、目に止まった映画を借りては観る。
それを返却しては、また次を借りるの、繰り返し。
動機になったのは、大型テレビの購入だ。
サッカーのワールドカップが近づき、
急に大きな画面で見たくなった。
地元のケーズデンキとヤマダ電機をはしごした。
居間の広さにあった大きさで1年前の型が、
思いのほか安い値だった。
『今でしょ!』と衝動買いした。
画像も音色も綺麗なのだ。
「これならDVDも観てみたい!」。
レンタルした映像は期待通りだった。
この間、レンタルビデオで観た映画から、
惹かれたものを2つ記す。
1つ目は『髪結いの亭主』だ。
フランス語の映画だが、
制作はいつ頃なのか全くわからない。
このタイトルを聞いたのは、相当前だった気がする。
観ながら、『男はつらいよ』を思い出した。
確か第45作だ。
マドンナが風吹ジュンで、
床屋を営む蝶子の店で寅さんが散髪をしてもらうところから、
ストーリーは展開した。
『髪結いの・・』もよく似ていた。
はじめて訪れた客は、
一人で店を切り盛りする女性に一目惚れをする。
そして、支払をしながら「結婚して欲しい」と言って、店を出ていく。
客は、3週間後再び来店する。
散髪後、叶わないと思いつつも、
店の女性に返答を尋ねる。
すると、女性は男性の求婚に応じると答えるのだ。
その日から、夢のような「髪結いの亭主」生活が始まるのだった。
さて、寅さん映画だが、
ある日、蝶子は店のドアを見て言う。
「その鐘をね、チリーンって鳴らして、
いろんな男の人が入ってきて、
またチリーンって鳴らして出て行くの」と。
そして、こうも、
「ずっと前、はじめて来た人が、
オレと結婚しないかって言って、
出て行ったの。
今度、その人が来たら、
私いいよって・・」。
脚本は山田監督に違いない。
『髪結いの・・』のパロディなのだろうが、
2つに共通した哀愁が、心に響いていた。
それにしても、『髪結いの・・』の女性は、
2人の幸せ絶頂期に、突然、増水した河川に飛び込むのだ。
「幸せのままでいたいから・・」。
彼女の残した言葉が、薄幸な人生を物語っていたようで、
いつまでも切なかった。
2つ目は、最近の話題作『ドライブ・マイ・カー』だ。
巨匠・村上春樹氏の短編小説集『女のいない男たち』の1編が、
原作である。
『女のいない・・』が発刊されたのは、2014年だった。
すぐ購入した。
短編の内容よりも、きしみのない展開と文体に、
魅了されたことだけが記憶に残っていた。
映画は、舞台俳優・家福と女性ドライバーみさきを
中心に展開するのは同じだが、
設定やストーリー性は大きく違った。
でも、映画だからこそと思うシーンが多く、見応えがあった。
映画の終末、家福は急逝した妻への
みさきは事故死した母への、
複雑な想いを払拭する場面が圧巻だった。
自分の醜さを心に秘め、
それと1人で向き合い苦しんできた家福とみさき。
その心情が、痛いほどに伝わってきた。
苦しみから脱皮する2人に共感した時、
そっと私の扉をノックされたような気がして、
思わず身構えてしまった。
でも、みさきの運転する真っ赤なターボ車の
エンジン音が、何故かその力を抜いてくれた。
やっぱり、家福やみさきのように、
自分と向き合うなんて 中々!
春の陽気 水かさを増す気門別川
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