ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

あ の 道 ラ ン ~ 収 束 後 に 是 非

2022-02-12 12:40:30 | 思い
 ▼ まだ雪の季節が続く。
それでも以前は、路面の雪が解け始めた日は、
外でランニングをした。
 しかし、転倒が怖くなった。
ここ数年は、完全に雪が消えるまでは、我慢することにした。

 2月いっぱい、いや3月中頃までは、
体育館のランニングコース。
 カウンターを握りながら、淡々と周回するのだ。

 「仕方ない!」と思いながらも、
朝の日差しを浴び、四季折々の風と、
目に映る沿道の光景に心を動かされながらの外ランが、
待ち遠しい。
 
 1日でも早く、もう10年も走ってきた当地での、
お気に入り5キロと10キロのコースを走りたい。
 そして、いつも通り、笑顔で「ただいま!」って、
我が家にゴールしたい。

 そして、願いは先々へと向かい・・・。
コロナで規制され、旅行できない日々が続いているから・・。
 あるいは、ひたひたと押し寄せる衰えから・・。
「あそこもここも」と、
思い出のあの道を、走りたいと妄想する。
 今だがら、いやここ数年しかチャンスがないように思うから、
「収束後に是非、叶えたい!」と・・。

 ▼ 都内東部地区の9小学校に勤務していた。
住まいは、千葉市内の海浜地区にあった。
 従って、約40年間の通勤では、朝夕と必ず江戸川を渡った。

 その上、『フーテンの寅さん』がブームの頃に、
舞台となった葛飾柴又周辺の小学校に8年も勤務していた。 

 寅さんが、江戸川土手で映画撮影をしていると聞き、
急ぎ駆けつけ、参道の草団子屋さんのご主人を介して、
渥美清さんと握手をさせてもらった。

 その映画でもよく使われる河川敷の野球場は、
地元の方々との野球大会で、たびたび使わせて貰った。

 また、そこよりももっと下流の河川敷には、
サッカー場があった。

 20歳代の後半には、
そこで教職員の区選抜チームの対抗試合をした。
 足が速いと言うだけで、選抜チームに声がかかった。

 日曜日の午前中に、試合をした。
勝っても負けても、試合後は土手の近くにあったラーメン屋で、
ビールで乾いたノドを潤し、みんなでラーメンをすすった。
 3年ほど続いたが、若い先生にレギュラーを奪われ、
やがて声がかからなくなった。

 夏の花火大会を、間近で見たのも江戸川だった。
遠足で、子ども達と一緒に満開の花菖蒲を見たのも江戸川。

 先日、BSテレビで、寅さん映画の再放送を観た。
博さんと満男君の親子が、江戸川土手を朝ランする場面があった。
 それに触発された。

 帝釈天の参道を抜け、江戸川土手へ駆け上がる。
そこからは、土手の上の遊歩道を篠崎方面へ向かって走りたい。
 広い河川敷の先、川向こうには緑豊かな国府台が見える。
土手の上は、日陰を作るものが何もない。
 大空と一帯になった一本道が続くだけ・・・。

 さて、私は、その道を一歩一歩走りながら、
何を思うのだろう。
 自然とあのころのあのことが蘇り、
胸を張ったり、息を詰まらせたりするのでなかろうか。
 「それでいい!」「それしか!」とつぶやきつぶやき、
でも、最後は爽快感と一緒にゴールするだろう。

 それより、江戸川土手のランは、
私に大きな力をくれるはずだ。
 だって、40年もの間、毎日のように江戸川を渡り続けた。
なのに、土手を走るなんて、一度たりとも思ってみなかった。
 その私が、ゆっくりでも、風を切ってそこを走る。
私を満たすのに十分な、凄いことに思えてならない。

 ▼ 同僚たちの誘いにのって、家内が還暦記念にと、
マラソン大会で10キロを走ると言う。
 なので、休日の早朝、運動着に着替え練習すると張り切った。

 どういう訳か、私は放っておけない気持ちになった。
「なら一緒に走るよ」と、私も運動着に着替え、
自宅マンションを出た。

 遠浅の海岸を埋め立てた造成地にできた住宅地だ。
他地区に比べ、どの道幅も広い。
 その歩道を、2人で並んで走った。
やがて開放された気分になった。

 住宅街の外れに、直線のサイクリングロードがあった。
そこへ向かい、中間点あたりから、その道を進んだ。
 追い抜いていったランナーが、
気づくとあっという間に小さくなっていた。
 2人の足取りがいかに遅いかだ。
でも、息は荒く、前途多難な走りが続いた。

 なのに、マンションの玄関まで戻り、
額の汗を拭っていると、
経験したことのない心地よさがあった。

 だから、翌週も、その次も、家内が運動着に着替え始めると、
黙って私も着替え、同じ道を併走した。
 やはり、走る終えると汗を拭きながら、心地よかった。

 家内のマラソン大会が終わっても、
あの心地よさが忘れられず、今度は私が家内を誘い、
時々同じ道を走った。

 あれから、10年が過ぎた。
東京周辺は、疲弊する地方とは違う。
 日々、刻々と進化している。
だから、走り終えた心地よさを初めて教えてくれたあの道も、
その周辺も変わっていることだろう。

 再びあの道を走りながら、その変化を確かめたい。
それよりも、あれからずっと走り続けてきた私の違いに、
気づけたらもっといい。
 あの頃より、成長しているはず・・。
それとも!・・・。
 「そんなことない!」。




      春  の  予  感
                   ※次回のブログ更新予定は2月26日(土)です  

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