徒然なか話

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花を愛でる ~ 肥後六花撰に思う ~

2012-06-29 21:00:04 | 熊本
 熊本には「肥後六花」と呼ばれる花がある。肥後椿、肥後芍薬(しゃくやく)、肥後花菖蒲(はなしょうぶ)、肥後朝顔、肥後菊、肥後山茶花(さざんか)の六つをいう。江戸時代もしくは明治時代からそれぞれ独自の歴史をもっており、「肥後六花」とひとくくりで呼ばれるようになったのは戦後のことである。中でも肥後菊は宝暦年間(1751-1763)に8代藩主細川重賢公が藩士の精神修養として奨励したと伝えられるように、日本人にとって花の育成は精神的な意味を持つ。花を「愛(め)でる」という言葉がある。あらためて国語辞書を引いてみると、「美しさを味わい感動する」「いつくしみ、愛する」「かわいがる」「感心する」「ほめる」などと書いてあるが、「愛でる」という言葉のニュアンスは、これらの意味がないまぜになっていると思う。この「愛でる」を和英辞書で引いてみると、「love、admire、appreciate、enjoy」などが出てくるが、正直どれも違和感がある。おそらく「花を愛でる」ということ自体が日本人独特の精神世界なのだろう。


肥後六花撰の一つ肥後花菖蒲