徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

お囃子(はやし)のはなし。

2015-03-02 18:59:39 | 音楽芸能
 明日はひな祭り。
 ひな祭りといえばおなじみの童謡「うれしいひなまつり」にも登場する「五人ばやし

あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り


 この五人囃子というのは、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(うたい)を加えた五役のこと。謡を除く4つの楽器を四拍子ともいう。歌舞伎などでは三味線を除く他の楽器も含めて「鳴物(なりもの)」などと呼ぶ。
 もともと「はやし」の語源は「はやす(栄やす/映やす)」からきていて、「映えるようにする」とか「引き立てる」といった意味合いの言葉。これが、「手拍子を打ったり、声を出したりして歌舞の調子をとる」意味の「囃子(はやし)」に転化して行ったようだ。
 日本最古の「はやし言葉」と言われるのが、「伊勢音頭」でおなじみの

彌長久(いやとこしえ) 吉哉な(よいやな) 安樂樂(あらら)
是者伊勢(これはいせ) 善所伊勢(よいとこいせ)

 江戸時代後期の天保元年(1830)、空前の「お伊勢参りブーム」が到来し、日本の総人口3200万人のうち400万人以上が伊勢を目指したという。そのおかげで「伊勢音頭」は日本全国に伝播し、祝い歌・祭り歌・踊り歌・座興歌・宴席歌・労作歌などとして様々なバリエーションが加えられた。特に「伊勢音頭」という名称は付かなくても「伊勢音頭」に起源を持つ民謡は数えきれないという。しかし、どの唄にも共通しているのは「ヤートコセーノ ヨイヤナ・・・」という「はやし言葉」。実はこれ、二千年以上も昔、神代の時代から伊勢に伝わる御霊歌の詩なのだそうだ。つまり江戸時代に生まれた「伊勢音頭」よりもずっと昔からあったというわけ。「はやし」にもそんな悠久の歴史があるのである。



五人囃子


伊勢音頭/木遣