徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

初めての東京

2015-03-07 20:53:25 | 
 僕が初めて上京したのは昭和36年(1961)、高校1年の夏休みの東京合宿のこと。夕方6時、熊本駅から急行「阿蘇」に乗り、東京に着いたのは翌日夜の8時。26時間の長旅でヘトヘトの状態だった。それでも有楽町あたりの華やかなネオンを見た時は、「これが夢に見た東京か!」と感動したものだ。
 東京第一夜の宿舎は、当時高田老松町(現目白台)にあった「有斐学舎」。熊本県出身の学生のための寮で、旧熊本藩主細川邸の一角を譲り受けて建てられたという寮だった。夜中に連れて行かれたので、東京駅からどこをどう乗り継いで行ったのか全くわからなかったが、電車の中で勤め帰りの人たちの東京弁での会話があまりに興味深くて食い入るように見ていたら、お兄さんに「なんだバカヤロー!」というような目でにらみつけられた。翌朝宿舎で目を覚ますと東京とはいいながら結構な田舎であることがわかった。下の写真はその前年の昭和35年に撮影された「有斐学舎」の全景である。


 合宿は大学の寮を借りることになっていたが、まだ夏休みに入ったばかりで寮が空いておらず、数日間は「有斐学舎」から早大や日大のプールなどに通い、日本選手権への出場に備えた。合宿本番に入ると大学チームとの練習試合を中心としたハードな毎日が続いたが、僕らはまだ1年生の見習いみたいなもので楽しい想い出しか残っていない。なかでも一番の楽しみは練習休日の映画だった。熊本では数週間遅れでしか見られないような新作映画のロードショーを見られるのが何より嬉しかった。同級生と一緒に映画館のハシゴをしたことを懐かしく思い出す。