徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

熊本城の話題二つ

2016-06-24 20:47:05 | 熊本
▼観音石
 先般、崩落した加藤神社(旧熊本城北大手門)の石垣の中から、観音菩薩が刻まれた石が出現したことが話題になった。今ではすっかりお詣りの対象となっていて、石の上にはお賽銭も置かれている。
 崩落した石垣群を見ていると、あらためて熊本城の石垣づくりがいかに巨大な工事であったかを思い知らされ、その石材集めはさぞや大変なことだったろうと思うのである。加藤清正公の築城に携わった高瀬の大工善蔵の記憶を書き遺した「大工善蔵より聞覚控」には、「石は六甲山、祇園山、岡見岳、津浦あたりからも取り寄せられた」と書かれているが、この時代の築城は、どこの城も石の確保に苦労したようで、石仏、石塔、石碑、石臼、墓石などを転用するのは当たり前だったという。中でも石仏は石垣に城の安穏の祈りを込めるという意味でもよく使われたらしい。下の写真の加藤神社の観音石がもともと何だったかはわからないが、往時の築城の苦労を偲ばせる。




▼地震に遭っても凄い・・・
 先週土曜日、二の丸広場に行った時、しばらく大小天守を眺めていると、見覚えのある顔の人がすぐそばへ歩いてやって来た。しばらく誰だったっけ?と考えていたが、その人が連れの人と話す声を聞いてハッと思い出した。テレビ番組でお馴染みの歴史学者・本郷和人さん(東京大学教授)だった。講演にでも来られたのかなと思いながら、聞き耳を立てていると、大小天守をしばらくじっと眺めていた本郷さんが感動したような口ぶりで「地震に遭っても熊本城は凄いですね!やっぱりカッコいいですね!」と言われた。おそらく、しゃちほこや瓦が落ちていても凛として立ち続ける威容に感じ入るものがあったのだろう。152年前に勝海舟が感じたことと、現代の著名歴史学者が感じたことはきっと同じなのだろうと誇らしい気がした。