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今朝の熊本市内(寺原周辺)
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そして、今日1月11日は「鏡開き」。わが家では昔から「猪の爪鹿の爪(いのつめかのつめ)」と呼ぶ。なぜそう呼ぶかというと、「鏡開き」の「ぜんざい」に付け合せる「たくあん」を、猪や鹿の爪に見立てた形状に切っているからだ。もともと「鏡開き」は武家社会の慣習となっていた「具足開き」が一般化したものだという。具足というのは武士がいくさの時に身に着ける「甲冑(かっちゅう)」のこと。正月には床の間に飾った甲冑に神饌である餅や酒、魚、野菜などを供えたという。1月11日の「具足開き」にそれらの供え物を食べた慣習が「鏡開き」になったわけだが、わが家に伝わる「猪の爪鹿の爪」の由来がどうもわからない。わが家では当たり前になっていたので、生前の父や祖母にたずねることもなかった。多分、ずっと昔は猪や鹿の肉を供えていたのが形だけ残り、「たくあん」を猪や鹿の爪に見立てて供えるようになったのではないかと思っている。同じような風習が残る家がないかと多くの方に聞いてみたのだが、今のところそんな家は見つかっていない。ところが、ネット検索していると、静岡県伊豆の国市に千年の歴史を有する江川家という名家があり、そこのフェイスブックに、「鏡開き」に馬蹄に見立てた「たくあん」を供するという記事が写真とともに掲載されていた。やはり同じような風習が残っていることにちょっぴり安堵感を抱きつつ思った。これは相当古いぞ!
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わが家の「鏡開き」
【備考】右写真の甲冑
「黒糸威二枚胴具足(くろいとおどしにまいどうぐそく)」(東京・永青文庫所蔵)
細川忠興(三斎)が関ヶ原の戦で用いたもの(「細川家の至宝展」より)