徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

「草枕」と グレン・グールド と ペトゥラ・クラーク

2018-04-12 14:01:03 | 日本文化
 旧聞に属する話で恐縮だが、2014年11月、「漱石記念年」のオープニングイベントとしてホテル熊本テルサで行われた「“SOHSEKI”トークス」において、20世紀の天才ピアニスト、グレン・グールドが「草枕」の大の愛読者だったことが話題になった。グールドが漱石ファンであることはつとに知られていたが、彼の死の枕辺には「聖書」と「草枕」の二つが置かれていたという。
 彼がなぜ「草枕」に魅かれたのか理解しようと、「『草枕』変奏曲―夏目漱石とグレン・グールド」(横田庄一郎著)などを読んでみたことがあるが、結局、「なぜ?」という疑問が解けないまま読み終えた。僕らが魅かれてやまない「草枕」の世界と、グールドがイメージしていた「草枕」の世界は全然違っていたのかもしれないし、意外と似ていたのかもしれない。今となっては永遠の謎である。
 そのグールドは、ロック・ミュージックにもビートルズにも興味を示さなかったそうだが、彼が愛した数少ない歌手の一人が英国のポップス歌手であり女優でもあるペトゥラ・クラークだそうだ。ちょうど僕の大学時代に「ダウンタウン」が全世界でヒットし、スターダムに駆け上った。当時は英国の女性ポップス歌手も多士済々だった。中でもよく聴いていたのが、ペトゥラ・クラーク、ダスティ・スプリングフィールド、マリアンヌ・フェイスフルらだった。グールドがペトゥラ・クラークを好きになったのは少女趣味的な、今日の「アイドルおたく」みたいなものだったらしく、奇才ともよばれたグールドが可愛らしく思えてきた。


「草枕」の舞台 那古井の里(小天温泉)へ続く道

レナード・バーンスタイン指揮「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」ピアノ:グレン・グールド

エド・サリバンショー(1965)でペトゥラ・クラークが歌う「ダウンタウン」