徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

揃うた 揃うたよ 踊り子が揃うた

2023-06-03 16:36:41 | 音楽芸能
 ラフカディオ・ハーンが五高教師時代に書いた「知られぬ日本の面影」を読み進めている。5月24日に投稿した「古泉の宿とハーンの夢」に書いたように和訳版ではよくわからない箇所がいくつかあるので、今日、英語版を図書館から借りて来て、必要に応じ対照しながら読むことにした。
 ハーンが初めて松江へ向かう途中、伯耆上市の宿に泊まる場面がある。そこで初めて遭遇した盆踊りの風景が描かれているのだが、その中に盆踊りで唄われる歌詞が紹介されている。
(英語版)
  Sorota swoimashita odorikoga sorota,
  Soroikite, Kita hare yukata.
(和訳版)
  揃ふた、揃ひました、踊り子が揃ふた、
  揃ひ着て来た、晴れ浴衣。

 この唄が何という曲名なのかわからないが、歌詞は明らかに「潮来音頭」や「潮来甚句」などで唄われる

  「揃うた揃うたよ 踊り子が揃うた 秋の出穂より よく揃うた ションガイー」

という歌詞をアレンジしたものと思われる。
 実はこの歌詞は、以前取り上げた「伊勢音頭」に由来する「目出度目出度の 若松様よ 枝も栄えて 葉も茂る」と同じように、各地の民謡の中に取り入れられている。はたして「潮来音頭」を起源とする唄なのかどうかは調べる必要があるが、ハーンが日本へやって来て初めて聞いた民謡がおそらくこれだったのではないかと思うととても興味深いものがある。