今週末の中央競馬、春のGIレース「桜花賞」に熊本県産馬の「ヨカヨカ」(3歳牝馬)が出走する。競走馬の98%が北海道産で、九州生まれの競走馬が中央競馬の重要なレースで走ること自体が珍しいといわれるなか、「ヨカヨカ」はこれまで快進撃を続け、ついに最高の舞台に昇り詰めた。いよいよ11日、「ヨカヨカ」は熊本県民の夢を乗せて走る。

ところで「ヨカヨカ」というのは熊本や九州各地で「よしよし」という意味で使われる言葉だが、元はと言えば、「よい」の連用形「よかり」がつづまった言い方。だから「よか」というのは九州以外の地域でも使われる。一例をあげれば、明治から昭和初期にかけて関東一円で見られた「ヨカヨカ飴屋」という飴売りは九州由来というわけではない。明治から昭和にかけて活躍した作家・長谷川時雨が、同じく作家の田沢稲舟のことを書いた短編に次のような一節がある。明治24年頃の神田神保町の風景を描いているようだ。

書生たちが見おろしていたのは、ヨカヨカ飴屋が来ているからだったが、飴屋は、錦子を見ると調子づいた。
ヨカヨカ飴屋は二、三人連れで、一人が唄うと二人が囃した。手拭で鉢巻きをした頭の上へ、大きな盥のようなものを乗せて、太鼓を叩いているが、畳つきの下駄を穿いた、キザな着物を東からげにして、題目太鼓の柄にメリンスの赤いのや青いきれを、ふんだんに飾りにしている、ドギツい、田舎っぽいものだった。
ドドンガ、ドドンガと太鼓を打って、サイコドンドン、サイコドンドンと囃した。錦子が通ると錦子に呼びかけるように、
――お竹さんもおいで、お松さんも椎茸さんも姐ちゃんも寄っといで。と
いやらしく言って、
――恋の痴話文ナ、鼠にひかれ猫をたのんで取りにやる。ズイとこきゃ――と一人が唄うと、
サイコドンドン、サイコドンドンとやかましく囃したてた。
▼サイコドン節の熊本バージョン「肥後の俵積出し唄」

ところで「ヨカヨカ」というのは熊本や九州各地で「よしよし」という意味で使われる言葉だが、元はと言えば、「よい」の連用形「よかり」がつづまった言い方。だから「よか」というのは九州以外の地域でも使われる。一例をあげれば、明治から昭和初期にかけて関東一円で見られた「ヨカヨカ飴屋」という飴売りは九州由来というわけではない。明治から昭和にかけて活躍した作家・長谷川時雨が、同じく作家の田沢稲舟のことを書いた短編に次のような一節がある。明治24年頃の神田神保町の風景を描いているようだ。

書生たちが見おろしていたのは、ヨカヨカ飴屋が来ているからだったが、飴屋は、錦子を見ると調子づいた。
ヨカヨカ飴屋は二、三人連れで、一人が唄うと二人が囃した。手拭で鉢巻きをした頭の上へ、大きな盥のようなものを乗せて、太鼓を叩いているが、畳つきの下駄を穿いた、キザな着物を東からげにして、題目太鼓の柄にメリンスの赤いのや青いきれを、ふんだんに飾りにしている、ドギツい、田舎っぽいものだった。
ドドンガ、ドドンガと太鼓を打って、サイコドンドン、サイコドンドンと囃した。錦子が通ると錦子に呼びかけるように、
――お竹さんもおいで、お松さんも椎茸さんも姐ちゃんも寄っといで。と
いやらしく言って、
――恋の痴話文ナ、鼠にひかれ猫をたのんで取りにやる。ズイとこきゃ――と一人が唄うと、
サイコドンドン、サイコドンドンとやかましく囃したてた。
▼サイコドン節の熊本バージョン「肥後の俵積出し唄」
馬券は買われますか?
私は全く知識がありませんでしたが、馬じゃなくってオッズの中穴を時々人に頼んで時々当たっていました(笑)・・・現役中です。
>「よかり」がつづまった言い方
へーっ、変形だとは想像できますね。
人を殴ることを、博多で「くらす」と言いますが、広島で「くらわす」という表現を聞いて変に納得したものです。
関西では「ど突く」っていいますね~。
ところで、画像検索すると「ヨカヨカ飴屋」がたくさん出てきますね。
はじめて知りました。
盥(たらい)という字を見たのも初めてです(笑)
その下のサイコドンドンは「西郷ドン」とは違うのですね?
いやはや、サイコドン節の熊本バージョン「肥後の俵積出し唄」と、あらゆるものが謡われんですね。
祭りに使われるのでしょうか?
有難うございました。
熊本では「くらすっぞ!」と言います。(*_*)
明治時代の文学作品には「ヨカヨカ飴屋」がよく登場しますね。それだけ各地に現れていたんでしょうね。
サイコドンドンの意味はよくわからないようです。囃子言葉で特に意味はないのかもしれません。
「肥後の俵積出し唄」はお座敷歌として歌われてきましたが、今は保存会がお祭りなどで披露するくらいのようです。