黒澤明の「生きる」をテレ朝がテレビドラマ化したというので観てみた。戦後間もない頃に作られた映画とは時代背景は異なるが、死に直面した人間の心の葛藤というテーマは古くて新しいものだから何ら違和感はない。また、ここに描かれてるお役所仕事の腹立たしさは、50年以上経った今でも基本的には全く変わっていないというのもある意味驚きだ。全体的な印象としては、原作のイメージを損なわないようにそつなくまとめたという感じか。松本幸四郎演じる主人公(原作では志村喬)に影響を与えるキーパーソンの娘役の深キョンは、原作で演じた小田切みき(チャコちゃんのお母さん)ほどの生命力に溢れるという感じがないのが難点だが、これはやはり時代の違いか。俳優の中では、主人公を一夜の夜遊びに連れまわすカーディーラーの男・北村一輝がよかった。原作では伊藤雄之助が演じた小説家にあたるのだろうが、この役はキャラクタを変えて成功している。この物語に主人公が唄う「ゴンドラの唄」は欠かせないのかもしれないが、正直、やはり時代的に違和感は拭えない。
昨夜は同じく黒澤明の「天国と地獄」をテレビドラマ化したものが放送されたが、こちらの方は、映画が公開された時、高校3年で物語の背景となる時代の空気感みたいなものを鮮明に憶えており、今日の時代背景では難しいだろうと思って見なかった。
昨夜は同じく黒澤明の「天国と地獄」をテレビドラマ化したものが放送されたが、こちらの方は、映画が公開された時、高校3年で物語の背景となる時代の空気感みたいなものを鮮明に憶えており、今日の時代背景では難しいだろうと思って見なかった。
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そうですよね!私もそうでした(笑)この映画を面白いという子供がいたら気持悪いですよね!
> 久し振りに父と話したくなりました。でもやっぱり志村喬がはまり役ではなかったかと。
お父様との想い出になっているんですね。いいなぁ…
スクリーンの中での志村喬の存在感は凄いですね!