わらのうし ウクライナの昔話/作:内田 莉莎子 絵:ワレンチン・ゴルディチューク/福音館書店/1998年
ある日、おばあさんが、わらで牛を作り、横っ腹にタールを塗ってくれるようおじいさんにいいます。
いったんは、ばかばかしいというおじいさんでしたが・・・
翌朝、おばあさんは、藁の牛を連れて丘に登ります。おばあさんが居眠りをしている間に、クマがやってきて、牛のタールをはぎとろうとしますが、牛にくっついてしまい、離れらくなります。おじいさんはクマを穴蔵に閉じ込めてしまいます。
次の日、おばあさんが丘に行くと、今度はオオカミが牛にくっついてしまいます。
三日目もおなじように、キツネが牛にくっついてしまいます。
クマ、オオカミ、キツネでいっぱいになった穴蔵のそばで、おじいさんがナイフを研ぎながら、クマの毛皮でいいオーバーができるかなと、独り言をいうと、クマはハチミツをたっぷりもってくるからに逃がしてくれといいます。
オオカミは羊を、キツネはにわとりとあひるとがちょうを連れてくるから逃がしてくれいいます。
おじいさんは、わしをだますなよと逃がしてやりますが・・・。
動物は約束を守ったでしょうか。
タールというイメージがわきにくいかもしれませんが、以前には道路の舗装につかわれていましたし、さび止めや防腐剤として、屋根や舟の修理に使われていたという注釈もあります。
クマもオオカミもキツネも腹(毛皮)をくいちぎられ、そのために藁の牛に塗ってあるタールがほしかったのですが、それをあらかじめ見通していたおばあさんの眼力もたいしたものです。
藁の一本一本、おじいさん、おばあさんの顔の皺、髭、動物の毛一本一本が丁寧に描かれています。