どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

<みっつボタン>の家

2016年01月21日 | 創作(外国)

     みっつ>ボタンの家/兵士のハーモニカ/ロダーリ童話集/関口英子・訳/岩波少年文庫/2012年


 あだなが<みっつボタン>の家具職人、とても貧しい村なので仕事がありません。そこで別の村に行くため、車のついた小さな木の家をつくり、村をさっていきます。自分と金づちと鉋を入れるともういっぱいの小さな家です。

 ところが途中大雨がふってきて、ひとりの老人が中に入れてくれるよう頼みます。入れる広さはないはずだったのですが、老人はなんとか家にはいることができます、
 雷が鳴り続けるなかで、三人の子どもをかかえた母親が雨宿りのために家の中にいれてくれるよう頼みます。今度も4人が家の中に入ることができます。
 さらに、濁流に小屋を流されたきこり、外国に働きに行く二人連れの若者などが次々にやってきます。
 王さまもやってきて、不思議な家は、材木の問題ではなく、心の問題なのかもしれぬといいます。


 訳者のあとがきに、ロダーリの創作のコツが紹介されています。
 「よく知られた童話に思いがけない要素を加えてみる」、「童話の要素をひっくりかえしてみる」というのですが、この<みっつボタン>の家は、ウクライナの「てぶくろ」を思い出させます。

 雪の森の中に落としてあった手袋に、まず最初に、ねずみが手袋の中にはいります。次にやって来たのは、かえる、それから、うさぎ、きつね、おおかみ、いのししが次々とやって来て手袋に入ります。
 手袋ですから、こんなに入れるわけはないのですが、そこはお話で、素直に楽しめます。

 手袋を小さな家に置き換えると、<てぶくろ>の話そのもです。