うりこひめとあまんじゃく/松谷みよ子・文 土橋とし子・絵/講談社/1997年
日本の昔話はよく知っているつもりでも、じつはよくわかっていないというのもしばしば。
松谷みよ子さんの「うりこひめとあまんじゃく」を読みました。
昔話の冒頭には、子どもにめぐまれなった夫婦というのがよくでてきますが、この話も同様で、ある日、ばあさまが川で洗濯をしていると、うまそうな瓜がながれてきます。この瓜から生まれた女の子。うりこひめとなずけられます。
かぐや姫は竹のなかから、桃太郎は桃の中からうまれますから、いろんなものからうまれる物語があってもおかしくありません。
はたを織るの上手で、うつくしい娘にそだったうりこひめ。
ひとわん食べさせれば ひとわんだけ ふたわんたべさせれば ふたわんだけとすぐに成長します。
やがて、うりこひめは、長者のところへよめ入りすることになりますが、じいさまとばさまがよめいりの支度をしに、町に買い物にいったとき、一人留守番をしていたうりこひめが、あまんじゃくに連れ去られ、あまんじゃくがかわりによめいりのかごにのっていると、カラスがとんできて、あまんじゃくの正体をあばきます。
あまんじゃかくが、うりこひめを連れ出すあたりは「赤ずきん」をおもわせます。
あまのじゃくは、桃をたべるためうりこひめを連れ出しますが、自分だけ食べて、うりこひめには青い実や虫くの桃を木からなげます。
この木にうりこひめをくくりつけ、自分はうりこひめにばけて、じさまとばさまをまちます。
じさまとばさま、あまんじゃくのやりとりもおもしろい。
テンポよく話がすすむので、語るなら、松谷バージョンが適当のようです。
松谷さんのは、瓜が川に流れてくるのですが、畑の瓜というのになっているものもあります。