こぐまと二ひきのまもの/作・絵:西川 おさむ/童心社/2004年初版
りっぱなまものになるためには悪行を積み重ねなければならないので、どこか剽軽で愛嬌があるベロンとゴッシは旅に出ます。
はじめて会った人間から銃をうたれ、おもわず人を倒してしまいますが、あかんぼうが残されていました。
ベロンとゴッシは、やぎの乳を飲ませながら旅を続けます。
ある日、人間がクマがりをしているのに出会い、こぐまが草むらに隠れて、涙を浮かべているのを見た二匹は狩りをする人間に立ちむかいますが、用心が足りなく、あかんぼうをころされてしまいます。
かなしみにおそわれた二匹は、ほんもののまものとなって人間におそいかかります。
ベロンの舌には恐ろしい棘が生え、ベッシの体の毛の一本一本が剣となって、何日もたたかい続けます。
やがて二匹はこぐまを守って、成長を見届けます。
しかし、なさけをかけた代償は大きく、二匹のまものは、ごうごうと風がふいいたとき、こわれて闇の中に飛んで行ってしまいます。
魔物といっても、ここにでてくるのはネコやハリネズミ?、大きなカエル、イノシシといった面々で怖くはないのですが。
悪行を積むことができず、チリになってとんでいく最後は、何か切ない感じが残ります。
人と動物のかかわりに、魔物がでてくるのですが、切り口をかえると、いろいろな見方ができるようです。