かあさんをまつふゆ/作:ジャクリーン・ウッドソン 絵:E.B.ルイス 訳:さくま ゆみ/光村教育図書/2009年初版
表紙の、外を見つめる少女は肖像画のようにも見えます。
おばあさんと二人暮らしのエイダ・ルースは、なんどもお母さんに手紙をかきますが、返事がとどきません。
お母さんは、「黒人の女でもやとってくれるんですって」といって、シカゴに出かけて行ったのです。
降り積もる雪の中で、おばあさんと外を眺め、郵便屋さんをまつ日々。
「せんそうはおわらない」とありますが、いつの戦争であったかは定かではありません。お父さんのことはなにもでてきませんが、多分戦地におもむいていたのかもしれません。
黒人差別が厳しい中で、懸命に生きる母と子、おばあさん。
迷いネコをかわいがってはいけないよとエイダ・ルースにいうおばあさんですが、口とは裏腹に、ネコに乏しい食べものから、ミルクをあげます。
やがて、ストーブの上に つるした うわぎから、ゆげがたちのぼり、あつあつのココアを目にしているとき、郵便屋さんがやってきます。
留守番中に、エイダ・ルースは、「おさとうみたいな におい。」「お日さまみたいな におい。」「せんたくせっけんの においがすることもあった。」と母を思います。
多くは語っていないのですが、背景に戦争があり、人種差別がありますので、大人にこそ読んでほしい絵本です。
外は雪。ストーブとココアの温かさが、母子関係のの温かさもしめしているようです。