Mars&Jupiter

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リャードフ、ロシア民謡、そしてババ・ヤガー

2007-06-22 06:21:29 | 古典~現代音楽ロシア編
昨日は時間的余裕がなくウォーキングを休みました。
ここのところ忙しい日が続いている。
今日とりあげるのはリャードフの作品である。
1855年生まれのリャードフは、ペテルブルク音楽院で、
師リムスキー=コルサコフに管弦楽法を学んだ。
作品は、演奏時間の短い作品が多い。

交響詩「ババ・ヤガー」は、1904年に作曲され、
ロシア民話に出てくる妖女ババ・ヤガーを描写している。
ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」でも出てくる名である。
音楽からは、その妖しい感じは伝わってくるが、
なにしろ短い曲なので少し物足りなさを感じるだろう。
その点では、ムソルグスキーの方がまさっていると思う。

交響詩「キキモラ」も同じように妖女を描いた作品で、
弦楽器で始まる冒頭から、妖しい雰囲気が漂う。
魅力的なロシア民謡が流れてから、
音楽はこの妖女キキモラの不気味さを伝えていく。
あらゆる人々の幸福を呪い続けるキキモラ、
悪魔のようなキキモラがなぜ人々を呪うのか、
それは自分の生い立ちから続くわが身の不幸にある。
山の中で魔法使いに育てられたキキモラは、
朝から晩まで一匹の猫から異国の物語を聞かされる。
しかし、成長したキキモラの色は黒く、やせすぎており、
胴は藁ほどの太さで、頭は異常に小さかった。
朝から晩までは騒ぎまわり、
夕方から真夜中までは口笛を吹き続ける。
何かその内容を聞くとこの話の裏からは
現実生活の中での矛盾というものが反映されているような、
そんな感じがしてしまい、少しだけキキモラに同情しそうだ。

「八つのロシア民謡」は1905年に作曲された作品で、
ロシア民謡を収集し、管弦楽化したものである。
「宗教的な歌」、「クリスマスの歌」、「哀歌」、「道化歌」、
「小鳥の物語」、「子守歌」、「踊りの歌」、
「村人たちの踊り」の8曲からなるが、
それぞれの曲は長くとも3分足らずで短い。
彼のオリジナリティーがあるわけではないが、
重要なことは、これら消えつつあったロシア各地の民謡を
この時期に収集し、その民謡にみられる音楽的豊かさを
管弦楽という形式で記録し、その魅力を我々に伝えている。

リャードフには大作とよべるものはないのだが、
ロシア民謡の魅力をこのような形で残し、
後世に伝えているという面での功績は大きいのだろう。
コメント
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