Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

悩めるバラキレフ、そして交響詩「タマーラ」

2007-06-23 06:25:47 | 古典~現代音楽ロシア編
昨日は横浜から和田町まで歩いた。
ちょっとうれしかったことは、
何人かに痩せたですねと言われたこと。
確かに2月の時に比べれば、5~6キロは痩せている。
焦らず、毎日地道に歩いている成果である。

昨日途中で聴いた音楽はバラキレフの作品である。
1837年生まれのバラキレフは、
ロシア国民楽派の中で重要な位置を占める作曲家である。

交響詩「タマーラ(タマール)」は、
1866年に作曲に着手した作品である。
詩人レールモントフが書いた魔の女王タマーラの詩をもとにし、
古いロシアの民話に基づく20分程度の作品である。
作曲されてから17年後の1882年に完成した。
ロシアの作曲家はリャードフ、ムソルグスキーに限らず、
実に妖女・魔女の民話をテーマにした作品が多い。

曲は、幻想的で、ロマンティックな雰囲気が漂う。
ロシアにリストが始めた交響詩の分野の作品を、
根付かせようとして、頑張ったバラキレフだが、
この作品を作曲している間の1871年の34歳の時には、
ノイローゼに一時期なって、音楽界から引退し、
その後復帰し、47歳にようやく完成した。
山の中で魔法使いに育てられたキキモラは、
リストのような交響詩を作ろうとした気合が、
プレッシャーとして逆にのしかかったのかもしれない。
この曲全体にみられる重々しい雰囲気の中に、
彼がたどった17年間の苦難の道があらわされているのだろう。

交響詩「ボヘミアにて」は1905年に作曲された作品で、
モラヴィア民謡の結婚の歌と踊りの旋律を用いたもので、
プラハ滞在中に書かれた作品だという。
聴けば確かにチェコのメロディーらしいが、
その旋律がロシア風にアレンジされている。
30歳代の精神的苦痛を克服した彼が、
60歳代に取り組んだ親しみやすい曲である。

人間、若いうちに苦しいことはどこかで経験した方がいい。
それを何とか自分で時間をかけて克服してようやく、
毎日生きることの素晴らしさを実感できるんじゃないかなあ。
バラキレフもそれを30歳代に経験したからこそ、
「ボヘミアにて」には、そういった人生の問題や悩みから
吹っ切れたかのような、聴いていて、さわやかさがある。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする